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事故当事者の記憶は意外と曖昧だから、客観的な記録機器が役に立つ

警察官時代に、私は白バイ隊員以外にも交通事故を専門で扱う部署などにも一時期在籍していました。今回はその時に経験し、実感したオートバイでのドライブレコーダーの必要性や重要性について、書きたいと思います。
ドライブレコーダーが必要な大きな理由のひとつが、事故の際、それが客観的な証拠となる場合が多いことです。ご存知のとおりドライブレコーダーには事故の状況や車両の動きなど、様々な情報が正確に記録されます。最近のGPS付きの製品だと、速度、走行経路が記録され、時間も電波により補正されるなど、事故発生時の状況等の把握は正確に行えるようになりました。
警察官時代、現場で事故当事者から事故状況を確認しても、話が食い違っていたり、事故現場に残された痕跡と証言が全く噛み合わない場合が多々ありました。そんな時、ドライブレコーダーがあるのとないのとでは雲泥の差があります。
人間の記憶は非常に曖昧です。事故を起こした時はパニックになったり、感情や状況に影響を受けたり、後から聞いた話と混在してしまうなど、誤った記憶となりやすいのです。
私が警察官時代に体験したのは、当て逃げの現場へ臨場して被害者から事故当時の状況を事情聴取した後、入手した防犯カメラの映像を確認したところ、証言と大きく状況が異なっていることがありました。ぶつかって逃げた車の色が実際は違っていたり、信号灯火の色が実際には異なっていたなど、人間の記憶の曖昧さを実感しました。
自分の責任を逃れるために嘘を付く人もいますが、ほとんどの人は嘘を言おうと思って誤った証言をしている訳ではないのです。人間の記憶は忘却や諸々の状況の干渉によって、記憶が編集されて自分の都合のいい記憶となってしまうことがあるのです。
バイクだからこそ必要だと思う、ドライブレコーダー
どちらか一方の車両の重大な過失により事故が起きた場合であっても、双方の運転手の話が食い違う場合は多くあります。その際、必要となるのがドライブレコーダーや現場付近に設置されている防犯カメラ、目撃者の証言などの客観的証拠です。
しかし、客観的な証拠が全く得られず、どちらかの運転手に重大な過失があったことを証明できなければ、憶測だけでは判断出来ないため、本来は過失の少ない側の運転手さんが不利益を被ってしまう場合もあります。
近年、ドライブレコーダーの必要性が認知され、四輪車にドライブレコーダーを装着する方は増えたと思いますが、オートバイへ装着している方はまだそんなに多くないと思います。
理由は様々だと思いますが、四輪用のドライブレコーダーに比べ装着作業が煩雑であったり、カメラ本体が四輪用のものと比べ高価な傾向で、手が出にくいこともあるだろうと思います。また、取付けスペースの問題などでハードルが高いことからも、オートバイにドライブレコーダーを装着していない方が多いのかもしれません。
バイク側の事故状況の証言は、不利になりやすい!?

オートバイの事故では、ライダー側がはねられる側になることが多くあります。また、生身であるライダーは、車などと衝突した際に強い衝撃や転倒により、事故直後はパニックになったり、記憶が残っていない場合などがあり、ライダー側の証言が不利になりやすいという問題もあります。
さらに、車を運転しているドライバーからすれば、普通に走っているオートバイであっても、「スピードを出して走行していた」「急に飛び出してきた」などと、認識される場合があります。そのように、事故の際にライダーの証言だけでは言い分が通りにくい立場となることもあるため、映像による証拠を残すのが最善の策と言えるでしょう。
ただし、ドライブレコーダーはいざという時に頼りになりますが、万能というわけではありません。電源が入っていなかったり、メモリーカードの異常があったり、ドライブレコーダーの方向がズレていたりと、きちんと作動していない場合などもあります。
また、どんなに高価なドライブレコーダーでも、事故の衝撃などによりきちんと記録されていなかったり、逆に安価なドライブレコーダーだけどしっかり事故の状況が記録されていたなんてこともありました。そのため、たまに自分の四輪やバイクに装着されているドライブレコーダーがあるなら、正常に作動しているか映像を確認してみることをお勧めします。

現場でよく質問される事故の過失割合のこと、しかし警察は関与しない
ところで、事故を起こしてしまった場合に最も気になるのは、事故の過失割合の話ではないでしょうか。しかし、警察側からはこれについてお伝えすることはありません。
私が事故の係をしていた時に、事故の当事者によく聞かれたのはこの過失割合の話ですが、警察は捜査機関であり、事故時の状況や運転手の過失の度合いがどちらが高いかを判断しても、過失割合を決めることはありません。過失割合はあくまでも保険会社が決めることなのです。
とはいえ、保険会社が過失割合を判断する際にもドライブレコーダーの記録は重要な証拠となってくれます。そもそも、ドライブレコーダーが必要となる場面が訪れないことが一番良いのですが、万一の時に備えていると、バイクの運転の余裕にも繋がると思います。
最近はコストパフォーマンスのいいバイク用ドライブレコーダーも徐々に増えているので、通勤・通学・ツーリングに関わらず、ドライブレコーダーの装着をお勧めします。
ドラレコ装着例:機種によってカメラの取付け位置はさまざま
カウル付きのスーパースポーツ、ネイキッドモデル、小排気量系レジャーモデルなどで、ドラレコ用前後カメラの設置方法や設置位置は、それぞれ異なってきます。ここでは、知人が所有する車両のドラレコカメラの取付け例を紹介します。車両はスズキ隼、ホンダCB1300SF、ホンダ・クロスカブ110です。
■スズキ隼の場合


フルカウルに覆われた隼の場合は、フロントカメラはヘッドライト下のカウルの内側に装着。リヤカメラはテールランプ後部中央のナンバー灯の上に両面テープで接着。
●製品名:AKEEYO バイク専用モトスマートモニター 前後2カメラ搭載 AIO-5 Lite
●参考価格:7万4500円

■ホンダCB1300SFの場合


ビッグネイキッドのCBでは、フロントカメラはフォークのストローク域に干渉しないように、インナーチューブの上側に設置。リヤカメラはナンバープレート左上にステーを介して装着しています。
●製品名:VANTRUE F1モーターサイクルドライブレコーダー(前後用2カメラとF1メインカメラ、リモートコントローラー、ケーブル類等付属)
●参考価格:4万9999円

■ホンダ・クロスカブ110の場合


ヘッドライトガードを持つクロスカブでは、フロントカメラはヘッドライト下のガードパイプを利用して設置。リヤカメラはテールランプ後部のナンバー灯上の突起を利用して設置。
●製品名:ミツバサンコーワ EDR-21G(前後2カメラと本体、GPSアンテナやケーブル類等付属。
●価格:※生産終了品。後継モデル(2カメラタイプ)は参考価格3万9380円~でラインアップされている。

文●睦良田 俊彦 取材協力●モトケンチャンネル(You Tube)

睦良田 俊彦(むらた・としひこ) 1986年北海道生まれ
趣味:クルマ、バイク
歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。
県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuber「臨時駐車場チャンネル」として活動。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。





































