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パニガーレV2/V2Sドゥカティ史上最軽量のスーパーバイクを理解するための3つのポイント

パニガーレV2S

先代V2より最高出力35psダウンだけど、重量17kgダウンが強力な武器!?

昨年秋にイタリアのEICMAショーで発表され、このほど日本に上陸したドゥカティのVツインスーパースポーツ、パニガーレV2と上級仕様のV2S。先代のパニガーレV2シリーズからエンジンが新型に変わり、排気量は955ccから890ccに。そして最高出力は先代から35psダウンの120psに。

数値上は排気量もパワーも少なくなった新型V2シリーズに、魅力があるのかと疑いたくもなるが、実は数値が大きければいいってもんでもない。それを証明すべく登場したとも言える新型パニガーレV2シリーズの特徴を、先ごろ行われた発表会での説明を元に紹介しよう。肝はエンジンの緻密な電子制御、車重の17kgもの軽量化にありそうだ。

ドゥカティワークスライダーのマルク・マルケスが新型V2を早速試乗

■オフシーズンのトレーニングとして、ドゥカティワークスのMotoGPライダー、マルク・マルケスが新型V2を早速試乗したことが話題に! タイヤをスリックにした以外ほぼ吊るし状態のマシンでのサーキット試乗で、この新型にお墨付き。「ハンドリングは軽いしライディングポジションもラクで、すごく乗りやすかった」と語った模様。

【まず最初に、V2とV2Sの違いは?】

左パニガーレV2S、右が同V2

■上級仕様のV2S(価格240万8000円)には、前後オーリンズ製サスペンションのほかリチウムイオンバッテリー、ドゥカティ・パワー・ローンチ/ピットリミッターが標準装備され、装備重量は177.6kg。対する標準仕様のV2(価格211万9000円)は、フロントマルゾッキ製フォーク、リヤKYB製ショックで、鉛バッテリーを標準装備。前述のローンチコントロールやピットリミッターはオプション扱いで、車両重量は179kg。日本へのV2S:V2の導入比率は約9:1とのこと。
※なお、日本へ入荷するV2Sが後述する車重176kgでないのは、最初から二人乗り仕様(イタリア語でビポスト)の装備が加わっているため。176kgは欧州のV2Sでの一人乗り仕様(イタリア語でモノポスト)の車重である。

新型パニガーレV2Sのキースペック:120ps・176kg(欧州S仕様)・パワーウエイトレシオ0.68

小気味よく扱いやすい新型V2エンジン

先代の955ccスーパークワドロに対して−9.5kg軽量な新型V2エンジン

■先代V2に搭載された955ccスーパークワドロエンジンに対し、9.5kgも軽量化された新エンジン。先代の寸法は公表されていないが、前後長614mm、高さ532mm、幅362mmの新型は、サイズ的にもぐっとコンパクトになった。

90度Vツインという形式は変わらずに継承

■ドゥカティを象徴する90度Vツインのエンジン形式は踏襲するが、最適な重量配分を考えて、新型V2シリーズは前シリンダーを20度後方に回転させて搭載。

新たなバルブ駆動はリターンスプリング式

■ドゥカティ伝統のデスモドロミック=バルブ強制開閉方式をやめ、新型V2はバルブスプリング式を採用。ドゥカティは自社の高回転高出力エンジンでも、バルブスプリング式で問題ないし、高いポテンシャルを保てると判断したわけだが、21世紀以降のドゥカティ非デスモエンジンはこれが最初ではない。2021年型V4グランツーリスモエンジンがバルブスプリング式で、ムルティストラーダV4やディアベルV4に搭載された。なお、バルブスプリング式の採用によりメンテナンスインターバルが延び、バルブクリアランスの点検は3万kmごとに。ちなみにオイル交換は1.5万kmごととアナウンスされる。

インテーク可変タイミング機構の「IVT」

■近年は採用例が多くなっているが、インテークバルブ側にバリエーターを設けて、位相を変える機構を新型V2でも採用。低回転域では吸気バルブを遅く開くことでガスの充填効率を高めてトルクを引き出しやすくし、高回転時には吸排気バルブのオーバーラップを増やして高出力化。

新型V2エンジンの性能曲線

■ピーク域の回転数は先代V2と変わらないものの、3000rpmから最大トルクの70%以上を発生し、4000〜1万1000rpmで最大トルクの80%以上を発生するのが、新型V2エンジンの大きな特徴。低回転域から引き出しやすいスムーズなトルクが、サーキット・一般道のワインディングを問わず、様々なレベルのライダーが乗って走りやすいと感じる要因になるようだ。

軽量コンパクトなシャシー

エンジンを剛性メンバーとするコンパクトなモノコック構造のメインフレーム
リヤショックはリンクを持たない圧縮式カンチレバーを採用。車体が軽量なこともあり、破綻を感じずにダイレクトな作動が味わえるという

■コンパクトな鋳造アルミ製モノコックのメインフレーム。これに吊り下げられたエンジンも、剛性メンバーになるシャシー。リヤは鋳造アルミサブフレームを接続。エンジンに支持される両持ちの鋳造アルミ製中空スイングアームも含め、適度にしならせることで自然なハンドリングに感じさせる構造体としている。

軽量コンパクトなボックス構造になっている、メインのフロントモノコックフレーム

■メインのフロントモノコックフレーム内はインテークボックスも一体化され、この中にスロットルボディが配置されるなど、コンパクトで合理的な構造。

旧型V2のモノコックフレーム(左)と新型(右)

■旧型V2のモノコックフレーム(左)と新型フレーム(右)。ステアリングヘッドまわりのボリュームや肉抜きの具合で見た目が大きく異なるが、持ち上げてもヘッドまわりの重量に明らかな差があり、新型の軽さを実感できる。

V2/V2Sの標準サスペンションは、それぞれメーカーが異なる

■フロントのインナーチューブ43mm径倒立式フォークは、V2=マルゾッキ製、V2S=オーリンズ製ともにフルアジャスタブルで、120mmストローク。独立式リザーバー付きのリヤショックはV2=KYB製、V2S=オーリンズ製。ともにフルアジャスタブルで、140mmストローク。

使いやすさ快適性にも配慮したスーパーバイク!

快適性、気軽な操作性にも配慮された新型V2

■サーキットでのスポーツランも楽しめながら、ハンドルを若干高めとしてキツすぎない乗車姿勢もねらった新型V2。また、ライダー側への熱対策として、カウル内に導風板を入れてクーリングエアをライダーに意図的に当てる一方、ラジエターを通った熱気はライダーの外側に飛ばす構造としたのも同車の特徴。

後席ライダーの居住性も重視されたというタンデム部の造形

■意外なポイントはタンデムライダーへの配慮。日本ではV2/V2Sともにタンデム仕様が標準だが、後席ライダーの快適性も考え、ライダーとの距離、後席シートの前後長も十分なサイズを確保したという。

視認性の高い5インチTFTカラーディスプレイの表示パターン

■5インチTFTカラーディスプレイの表示は、速度・回転などの表示配置を中心にロード/ロード・プロ/トラックと3つのパターンを切り替えで選択できる。

豊富な操作ボタンを配置する左グリップ

■浅い階層でのわかりやすい操作性に配慮したスイッチ。手前下のホーン、ハザード、ウインカーのほか、その上が4方向矢印&中央ボタンのセレクト&設定ボタン。その前方にはライディングモード切り替え(右)、クルーズコントロール(左※オプション設定)のボタン、ヘッドライト切り替えレバーなどを配置。

右グリップのスイッチ

■右グリップは、赤いキルスイッチ、セルボタン、一番下がDRL用ボタン。グリップの前方にはヒーテッドグリップ用ボタンを配置。

V2/V2Sに搭載されるライダーアシスト機構

■V2/V2Sに搭載される各種ライダーアシスト機構。バンク角に基づき作動する各種ライディングコントロールのほか、4つのライディングモード(レース/スポーツ/ロード/ウェット)、3つのパワーモード(ハイ/ミディアム/ロー=出力を95psに制限)を搭載。さらにV2Sには、サーキット専用のローンチコントロール、ピットリミッターを標準装備。このほかオプションとしてクルーズコントロール、ターンバイターンナビゲーション、タイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)、USBポートなどが設定される。

狙いは、だれもが「速い」「乗りやすい」を実感しやすいパッケージ

発表会で示された、先代V2と新型V2Sのラップタイム差

ここまで新型パニガーレV2シリーズの特徴を紹介してきたわけだが、まだ実車の走行は試せていない。しかし、新型パニガーレV2シリーズに言えるのは、これまでドゥカティのスーパーバイクについてまわっていたイメージ「ハードルが相応に高い上での速さ」を、よりわかりやすく実感しやすい速さに落とし込んできたことだろう。

それを示すのが同車の発表会で紹介された、イタリア・ヴェレルンガサーキットでの旧型V2と新型V2Sのラップタイム比較だ。ドゥカティの試乗やテストをよく行う勝手知ったるサーキットで、ドゥカティのテストライダーDavide Stripeは、旧型で1分43秒86のラップを記録。新型V2Sは0秒22遅れだったという。ストレートが比較的長いサーキットゆえに、パワーで35psを上回る旧型は相応にアドバンテージがあったはず。しかし、新型との差はコンマ22秒しかない。

一方、速いレベルのアマチュアライダーに同じコースを走ってもらった場合、ラップタイムは1分48秒88で新型V2Sが上。旧型に対して0秒58速かったという。曲がるきっかけがつかみやすくて軽く、ブレーキがコントロールしやすい。そしてパワーをワイドレンジで引き出しやすい。それをどんなレベルのライダーでも実感しやすい。ここに、新型V2Sの本質があるのだろう。

先代よりも排気量は小さくなり、パワーも抑えられた。しかし、それはパニガーレV4とV2シリーズを明確にセグメント分けし、「新型V2エンジンが最高出力120ps前後でひしめくスポーツカテゴリーで、トップシェアを獲得することもねらい」とドゥカティサイドはコメントしている。

確かに600〜900ccクラスにはこの120ps前後に該当するモデルは数多い。そしてこの890cc新型Vツインは、パニガーレに続き、ストリートファイター、パワー特性を少し違えたムルティストラーダなどにも搭載されて間もなく登場する。ドゥカティの新生V2の第一弾としてのパニガーレV2の、万人にわかりやすいであろう実力、それに続く新型エンジンシリーズにも要注目だ。

サーキットでも、一般道でも「楽しい」がわかりやすいことが新型V2の本質だろう

パニガーレV2/V2S主要諸元

※< >内はV2S
■エンジン 水冷4ストローク90度V型2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク96×61.5mm 排気量890cc 圧縮比13.1  燃料供給装置:フューエルインジェクション 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力88kW(120ps)/10750rpm 最大トルク93.3Nm(9.5kgm)/8250rpm 燃費18.8km/L(WMTCモード値)
■変速機 6段リターン 変速比1速2.714 2速2.000 3速1.600 4速1.318 5速1.143 6速1.040 一次減速比1.84 二次減速比2.800
■寸法・重量 全長─ 全幅─ 全高─ 軸距1465 シート高837(各mm) キャスター23.6° トレール93mm  タイヤF120/70ZR17 R190/55ZR17 車両重量179<177.6>kg※燃料除く
■容量 燃料タンク15L エンジンオイル─
■車体色 ドゥカティレッド
■価格 211万9000<240万8000>円

ドゥカティ パニガーレV2S

まとめ●モーサイ編集部・阪本  写真・資料●ドゥカティジャパン

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