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街なかで見かけると「あのバイクは何だろう!?」と気になってしまうのがアジアンバイクと呼ばれる輸入モデル。そんなアジアンバイクの輸入販売に力を入れ、多様な車両展開をおこなっている「バイク館」主催の試乗会に参加。注目のモデルを中心に様々な車両を乗り比べてきた!
HONDA
CB190SS
●価格:40万9000円
シャープな見た目と走りが魅力
日本国内ではまだ見かけることが少なく、ライダーにとってもレアな存在であるアジアンバイク、今回の試乗会では数あるモデルの中でも心惹かれた車両を中心に試してみた。
まず目に止まったのは、ホンダの中国の合弁会社である五羊ホンダが生産したCB190SS。その見た目は、アジア独特の個性を放つものではなく、近年人気のネオクラシカルな雰囲気を漂わせるデザインに、扱いやすそうなスリムなボディ。街なかにも映え、カジュアルに使えそうな印象の車両となっている。
灯火類は全てLEDで、タンクのチェッカーフラッグラインやヴィンテージ感を盛り上げるタックロールシート、そしてスポーティな見た目のステンレスマフラーがライダーの気持ちを盛り上げてくれる。
実際に跨ってみると確かにスリムでニーグリップがしやすく、足つき性も高い。これならビギナーやリターン、そして女性ライダーも安心して乗りこなすことができそうだ。
エンジンをかけると軽快なエンジン音と鼓動にテンションが上がる。スロットルを開けて走り出すと力強い出だしから爽快な加速と心地よい鼓動感につながる。スムーズなコーナリングには思わず笑みがこぼれる。「これは楽しい」と率直に思った。見た目、走り、扱いやすさと全体的にバランスがよく、メインバイクとしても十分楽しめる一台となっている。
■引き締まったスタイリッシュなボディに搭載されているのは、出だしから力強い走りを披露してくれる184ccの空冷4ストローク単気筒エンジン。
■メーターはアナログのタコメーターとデジタルの多機能メーターを組み合わせ、視認性とデザイン性を兼ね備えたスタイルに。
■ボディもシートもスリムでまたがりやすく、シート高の設定もそこまで高くはないので、両踵は余裕を持って着地する。ポジションはハンドルまでの位置がやや遠いので気持ち前傾になるが、その分スポーティな走りを楽しむことができる。
●CB190SS主要諸元
【エンジン・性能】種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ボア×ストローク:-- 総排気量:184.4㎤ 最高出力:12.4kW<16.9ps>/8,000rpm 最大トルク:16.0Nm<1.63kgf・m>/7,000rpm 燃料タンク容量:15.3L 燃料消費率:35.7km/L 変速機:5段リターン 【寸法・重量】全長:2,020 全幅:775 全高:1,070 ホイールベース:1,360 シート高:--(各mm) 車両重量:145kg タイヤサイズ:(F)110/70-17 (R)140/70-17 【カラー】ホワイト、ブラック、レッド、マットグレー
YAMAHA
FZ-X
●価格:31万9000円
存在感の高さと力強い走り
正直なところ、小排気量のアジアンモデルと少々侮っていたのだが、そんな気持ちはすぐに覆され、気持ちを改めて次のモデルの試乗へと移った。FZ-Xは人気のネオクラシカルを再現した車両だが、先ほどのスリムなCB190とは一変、骨太なデザインとなり、クラスを超えた存在感を放っていた。
少々厳つめな印象で、国産のスポーツヘリテージシリーズにも似た雰囲気を持つこのモデルは、先進のLEDライト&フルLCDメーターにフォークブーツやタックロールシート、グラブバーといったモダンとレトロを融合させたスタイルを特徴とし、個性をしっかりと主張している。
早速跨ってみるとまず感じたのは独特のポジション、一般的なネイキッドスポーツというにはアップライトな上に、ハンドル位置も手前にあって、ロードスターに近い。そんなポジションをふまえつつ、走ってみた。スタートはスムーズでコーナリングはキビキビとは言わないまでも素直に曲がってくれる、そして鼓動感は心地よい。
だがこのモデルの走りで最も印象的だったのはスロットルを開けた際の加速感だ。想像以上に気持ちよくエンジンがまわり、小排気量クラスながらも力強く爽快な加速感を味わえた。ただ、アップライトなポジションなので、基本的にはゆったりと走りを楽しむのが合っているかもしれない。
■存在感が溢れているスタイルのボディに搭載されているのは、低速からトルクフルな走りを発揮してくれる149ccの空冷4ストローク単気筒エンジン。
■メーターは大型の反転式液晶モニターを採用し、速度、距離、燃料、回転数がシンプルに分かりやすくレイアウトされている。
■シート高設定は810mmでシート幅はやや広め。サスペンションが柔らかめで車高が下がるので両踵は余裕で地面に着地する。ポジションはハンドルが手前にあるためにアップライトな姿勢となり、スポーツライド向きではないかもしれない。
●FZ-X主要諸元
【エンジン・性能】種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ボア×ストローク:57.3×57.9mm 総排気量:149㎤ 最高出力:9.1kW<12.4ps>/7,250rpm 最大トルク:13.3Nm<1.4㎏f・m>/5,500rpm 燃料タンク容量:10L 燃料消費率:-- 変速機:5段リターン 【寸法・重量】全長:2,020 全幅:785 全高:1,115 ホイールベース:1,330 シート高:810(各mm) 車両重量:139kg タイヤサイズ:(F)100/80-17 (R)140/60-17 【カラー】ブルー、マットブラック、マットオレンジ
HERO
X-PULSE 200 4V
●価格:36万9000円
インドでシェアNo.1ブランドのライトアドベンチャー
CB190、FZ-Xと見事なまでにデザインや走りにおいて予想を超えてきたアジアンバイク。最後に乗ったのはインドバイクメーカーの最大手であるヒーロー・モトコープのX-pulse 200 4V。
ボディサイズは国産250ccクラスのデュアルパーパスモデルと同格、デザインはオフロードテイストがやや強めで、モダンかつスタイリッシュに仕上げられている。200ccながらもパワー面ではライバル車と大きな差はなく、タンク容量13Lが大きなメリットとなり、ロングライドも安心して楽しむことができる。
装備はフルLCDメーターをはじめ、ショートスクリーン&ナックルガードにスチール製のスキッドプレート、またエンジンガードやタンデムも快適なダブルシートと充実していて、後はツーリングバッグを手に入れればすぐにでも旅に出られそうな雰囲気。
アドベンチャーモデルとあって跨ってみると、シート高はやや高めだが平均的体格の男性であれば気にはならないだろう。走りに関しては低回転域で力強く、中高回転域ではマイルドで扱いやすい印象を受けた。また段差やクランクを抜ける際も安定感があり、それはツーリング時の多様なシチュエーションにおける快適性へと繋がってくる。
刺激的な走りを求めるライダー向けというよりは、様々な場面で快適な走りを楽しみたいという人にマッチするモデルになっている。
■メーターは視認性に優れる大きめの液晶モニターが採用され、メインに速度、時計、距離を表示し、サイドに距離、平均時速、走行時間が表示され、見やすい。
■シートは幅広な形状とやや硬めの設定もフィット感が良く、ロングライドもしっかりとこなしてくれそうだ。
■シート高は825mmと数値的にはそこまで高くはないが、シート幅が意外と広く、またサスペンションもやや固めとなっているので車高の下がりも少なく、両踵がギリギリ着地。ライディングポジションはデュアルパーパスらしく視界が良好なアップライトなものとなっている。
■200ccながらもボディの存在感は十分で、デザインもスタイリッシュ。また本格的な足まわりを備えているので、林道も楽しむことが可能だ。カラーはアクティブな雰囲気のツートーンデザインを採用し、写真のマットネクサスブルーのほか、ブルー、レッドの3色をラインナップ。
●X-PULSE 200 4V主要諸元
【エンジン・性能】種類:油冷4ストローク単気筒OHC4バルブ ボア×ストローク:66.5×57.5mm 総排気量:199.6㎤ 最高出力:14.0kW<19.1ps>/8,500rpm 最大トルク:17.35Nm<1.77㎏f・m>/6,500rpm 燃料タンク容量:13L 燃料消費率:-- 変速機:5段リターン 【寸法・重量】全長:2,222 全幅:850 全高:1,258 ホイールベース:1,410 シート高:825(各mm) 車両重量:158kg タイヤサイズ:(F)90/90-21 (R)120/80-18 【カラー】レッド、ブルー、マットブルー
バイク館には独自輸入車がいっぱい!
元々はエントリーバイクとして若い人に向けて取り扱いをはじめたが、近年ではリターンライダーがその取りまわしの良さと手に入れやすい価格帯に惹かれて購入するようになっているバイク館のアジアンバイク。
30万円台のモデルがメインとなり、高いものでも50万円程度。その生産国はインド、中国、タイ、そしてベトナムなどで、現状その8割近くが新車の自動ブレーキ搭載義務化に対応可能なモデルが多いことからインド製となっている。
バイク館としては、このクラスの扱いやすさと日常域における十分な活用性と娯楽性、そしてコストパフォーマンスの高さから輸入販売に力を入れているようだ。
ラインナップは幅広く、個性的なものから流行りのスタイルを採り入れたものまで約35車種を用意。見慣れないバイクとしての不安もあるが、そこは累計3万台以上の輸入バイクを販売してきた実績のあるバイク館、国内メーカーと同等の車両保証(*)もあり、また消耗品の在庫確保やオプションパーツ等の取り寄せも独自のシステムによって対応している。興味を持った人はぜひお近くの店舗に足を運び、その目で見て選んでほしい。
*バイク館にて定期点検を受けた車両に限る
HONDA
WINNER X 150
●価格:37万9000円
スクーターとスポーツバイクを融合させたデザインが特徴のベトナム製モデル。CBR150Rと同様の149.1ccの水冷単気筒エンジンを搭載し、痛快な走りを堪能できる。6速マニュアルを採用しているのもポイント。
HONDA
CB200X
●価格:31万9000円
インドHONDAのホーネット2.0をベースとしたアグレッシブ&モダンなスタイルのクロスオーバーモデル。エンジンは力強い走りを発揮してくれる184.4ccの空冷単気筒。ハンドリングも軽く走りもスマートな印象。
YAMAHA
YZF-R15M
●価格:43万9000円
YZF-R1Mを彷彿させるスタイリングが特徴のスーパースポーツモデル。パワフルな走りを発揮する155ccの水冷単気筒エンジンと軽量なボディ&上質な足まわりによって、爽快かつ安定感のある走りを体感できる。
YAMAHA
MT-15 Ver.2
●価格:36万9000円
日本国内でも展開されるモダンかつ精悍なスタイルが特徴のMTシリーズの最小排気量モデル。インドヤマハ製となり、155ccの水冷単気筒エンジンを搭載。軽量なボディで扱いやすく、キビキビとした走りも楽しい。
YAMAHA
FZ-S FI DELUXE
●価格:27万9000円
フロントマスクが印象的なインドヤマハ製のスポーツネイキッド。エンジンはFZ-Xと同系の149cc空冷単気筒エンジンを搭載。スタートから楽しいトルクフルな走りと鼓動感も魅力、軽量で扱いやすいのもポイント。
YAMAHA
AEROX 155 ABS
●価格:34万9000円
ライダーの気分を上げる攻撃的なスタイリングが特徴のインドヤマハ製のスポーツスクーター。力強い加速感を味わえる155ccの水冷単気筒エンジンを搭載、低速域からパワフルでストップ&ゴーも楽しみに変わる。
APRILIA
SR125
●価格:29万9000円
コンパクトなボディにスポーティなルックスが特徴のスポーツスクーター。124.45ccの空冷単気筒エンジンを搭載、走りは低速域では力強く加速も十分、また前後14インチのホイールが安定感をもたらしてくれる。
レポート●安室淳一 写真●山内潤也