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2019年12月に免許証再交付の条件が変更されていた
運転免許証を身分証明書として利用している人も多いでしょう。
とはいえ、引っ越しなどで住所が変わると「裏面の記載変更を示さないといけないのが面倒だなぁ」と思っていないでしょうか。
あるいは、免許証の写真に納得がいかず「身分証明書として提示するときに恥ずかしい」と思っている人も少なくはないのではないでしょうか。
新たに免許証の発行したくとも、免許証の再発行は紛失もしくは汚損したときにしかできないから……という認識をしているのだとすれば、それは古い情報です。
住所や条件変更があった場合、免許書の再発行ができる
2019年12月の道路交通法改正により、2022年1月現在では、転居などによる住所変更、婚姻などによる氏名変更といった理由でも、免許証を再発行することが可能になっています。
改正前は、免許証の再発行は紛失もしくは汚損したときにしかできず、住所や条件変更があった場合には免許証裏面に設けられた備考欄に追記されていました。
また、写真の写りが悪くてもそれを理由に免許証を再発行することはできず、中には写真に納得がいかないあまり「免許証を紛失したことにして再発行することで写真を変える」なんていう不届き者の話を耳にすることもありました。
また婚姻による氏名変更については、旧姓併記をすることも可能になりました。従来通り、裏面に旧姓併記をすることもできますし、再交付を受けて氏名欄を旧姓併記とすることもできます。いずれにしても、旧姓が記載された住民票の写しもしくはマイナンバーカードを持参して運転免許センターに行けば、対応可能となっています。

あらためて2019年12月以降の運転免許証再交付の主な要件を整理すると以下の通りです。
- 免許証を紛失・汚損・破損した場合
- 氏名や住所の変更があった場合
- 免許条件の付加・変更があった場合
- 免許証の写真を変更する場合
- 有効期限の元号を変えたい場合
- 臓器提供の意思表示欄を変更する場合
驚くことに「免許証の写真を変更する場合」、つまり顔写真が気に入らないからという理由でも免許証を再発行できるようになっているのです。
顔写真が気に入らないときにも再交付は可能
運転免許証で使う顔写真は基本的に持ち込み可能です。カラー写真で規定サイズ(縦3cm×横2.4cm)や単色の背景、半年以内に撮影したものといった条件を満たしていればいいので、写真館などで気に入った写真を撮ってもらい、それを免許証に使うこともできるのです。
ちなみに、カラーコンタクト、帽子、マスクなどを装着して撮影したものは免許証の写真としては使えません。その辺りの条件についても写真館などのプロフェッショナルは通じていますから、依頼するのがベターといえます。
有効期限5年のいわゆるゴールド免許を持っている人の中には、まだ平成表記のままでなんだか座りが悪いと感じているケースもあるかもしれませんが、そうした場合でも令和表記に変えることができます。なお、2019年3月15日以降に発行された免許証では西暦と元号が併記されるようになっています。
再交付は2250円、道路交通法改正で1250円も値下げされていた!!
2019年12月の道路交通法改正前と比較すると再発行へのハードルが低くなった運転免許証ですが、再発行には2250円の手数料が必要になります。
住所変更などを裏面に記載する従来通りの対応であれば無料なので、あえてお金を払ってまで作り変えなくてもいいかもしれません。
そして意外に知られていないのは、この再交付手数料についても改正前の3500円から大幅に減額されていることです。おかげで気軽に顔写真を変えることができると感じている人も多いのではないでしょうか。
マイナンバーカードの旧姓併記対応に伴う変更
こうした運転免許証周りの改正にはマイナンバーカードの影響があることは間違いありません。氏名の旧姓併記についてはマイナンバーカードでは2019年11月から可能になっています。そうした社会的ニーズへの対応として運転免許証に関する道路交通法が改正されたというわけです。
そして、マイナンバーカードは初回無料交付、紛失などによる再交付でも1000円となっています。運転免許証の手数料減額には、マイナンバーカードに近づけるという意識が働いているといえるでしょう。
最近では、警察庁が2024年を目途にマイナンバーカードに運転免許証を紐づけすることを可能するという報道もあります。もっとも、マイナンバーカードと運転免許証を紐づけできるようになっても、運転免許証は独立して存在し続けることになっていますから、完全に一元化されることは当分なさそうです。
レポート●山本晋也 写真●警視庁/モーサイ編集部 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実