雑ネタ

走行するバイクをサーモグラフィーで撮影したら?「エンジンだけじゃなく、タイヤやブレーキも熱を持つのがよく分かる」

表面温度を色で可視化する
サーモグラフィーカメラ

新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、お店や公共施設の入り口にサーモカメラが置かれることも増えました。
このカメラで人間を撮影した場合、体の中心部が赤く=温度が高いと表示されることが多いです。では、走行するバイクを撮影するとどのように写るのでしょうか。

今回の実証に使用したのはフリアーシステムズの「サーモグラフィーカメラ フリアーE4 Wi-Fi」。価格はオープン価格。

走行開始後、真っ先に熱を持つのはエンジン

今回の実験に使用した車両はヤマハ MT−03 ABSです。エンジン形式は320ccの水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒。
走行開始直後のバイク。エンジンまわりは温度が上昇し始めていることが分かりますが、タイヤなどはまだ低温です。

今回のテスト車両は、水冷並列2気筒エンジンを搭載するヤマハMT-03。エンジンの発熱量は大排気量モデルほどではないにしても、サーモグラフィーカメラを通して見ると相当の熱を発しているのが分かります。そのなかでも特に熱くなっているのは、エンジン前方の部分、エキパイ(エキゾーストパイプ)のようです。

水冷エンジンは、冷却水をウオータージャケットを介して循環させることでエンジンを冷やします。とはいえ走行直後のエンジンは手で触れるようなものではないのですが、ガソリンを燃焼した高温の排気ガスが通るエキマニ(エキゾーストマニホールド)やエキパイは走行風以外に冷却するものがないこともあり、エンジン以上の高温になります。

なお、上の写真で白=最も温度が高い部分がA、B、Cの3つに分かれているのは、アンダーカウルがあるからです。向かって右上のAがエンジンとエキパイの結合部、右下のBがカウルの大きな穴の奥にエキマニが見える部分です。左下のCは、アンダーカウルとエキゾーストのプロテクターとの間で、MT-03の場合はエキパイと触媒が一体となっているので触媒の直前あたりと思われます。なお、車体後方の熱源はサイレンサーとそこから出る排気ガスです。

このようにエンジンだけでなくエキパイやサイレンサーなども非常に高温になるため、帰宅直後にバイクカバーを掛けるのは避けましょう。中には耐熱性を持ったカバーもありますが、多くは瞬間的な接触に対応するものなので、長く高熱に接すると簡単に穴が空いてしまいます。お気を付けください。

30分ほど高速道路を走行し、停車した直後のバイク。エンジンまわりだけではなく、タイヤのトレッド面やブレーキディスクまで温まっているのが分かります。

走り始めるとさらに熱を帯びる部位があります。それがタイヤとブレーキです。摩擦抵抗の少ない氷の上ではタイヤが空転してしまい前に進めないように、タイヤがグリップ力を発揮するためには路面との摩擦が必要です。そして、タイヤと路面の間で摩擦が起こると摩擦熱が発生します。

前後のブレーキも温度が上昇しています。これは、走行中でも速度調整のために僅かにブレーキを掛けている証拠。今回はサーモグラフィーカメラで温度計測をしながらの撮影で、ストップ&ゴーを繰り返したこともあり、ブレーキを掛ける頻度が多かったようです。

ディスクブレーキはパッドとローター、ドラムブレーキの場合はライニングとドラムの内壁の摩擦によりタイヤの回転力を落とします。バイクが前に進もうとする運動エネルギーをブレーキが熱エネルギーに変換しているというのがよく分かります。

通常走行中は、前輪よりも後輪の温度が高い

高速道路を走行しはじめて15分ほど経過した走行中のバイク。いわゆる「タイヤが温まってきた」状態。前輪と比較すると、後輪のほうが温度が高い。

この横からの走行写真を見ると、前輪よりも駆動輪である後輪の方が温度が高いことがわかります。クルマや自転車もそうですが、アクセルをオフにした空走状態のバイクは次第に速度が落ちて行きます。これは先の路面との摩擦のほか、走行中の空気抵抗や各部パーツの摩擦抵抗があるためで、加速時だけでなく速度を保つのにもエンジンの出力は必要です。駆動輪である後輪は常に路面を蹴り続けており、さらに駆動力が掛かると後輪の荷重が増えるので路面との摩擦が増え、温度が高くなるのです。一方、駆動力が掛からず荷重の少ない前輪の温度はそれほど上がらないことも、サーモグラフィーカメラから分かります。

ちなみに、タイヤは路面の凹凸や段差により常に変形しています。微細な凹凸はトレッド面で、小さな段差などはサイドウオールも使って衝撃を吸収します(もちろん大きな段差はサスペンションが吸収します)。この変形によるエネルギーの損失をヒステリシスロスと言いますが、これが路面との摩擦力と熱になります。荷重が少なく駆動力も掛かっていない前輪が熱を持つのは、摩擦以外にこのヒステリシスロスの影響もあるのです。

フロントブレーキを掛けると前輪の温度がググッと上がる

フロントブレーキを掛けた際のバイク。
フロントブレーキをかけている状態のバイクの前輪。タイヤまわりだけに注目してみると、ブレーキディスクが温まり、トレッド面にも熱が入っていることが分かる。

直線を走行中の前輪の温度はそれほど高まりませんが、上の写真のように温度が上がる場面もあります。制動時です。

特にフロントブレーキを掛けて前輪に荷重がかかる場合、ブレーキはパッドとローターの摩擦が大きくなり、さらにタイヤのトレッドと路面との摩擦も増え、結果として両方の温度が上がります。なお、写真ではトレッドの中心部が特に高温になっていますが、これは高速道路で撮影したため。ワインディングはもちろん一般道でも右左折を繰り返せばタイヤのエッジ部分にも熱が入るはずです。

ちなみに、最近のバイクで発熱量が大幅に減った部位があります。それが灯火器です。サーモグラフィーカメラで撮ったヘッドライトを見れば分かりますが、MT-03はLEDを採用しているためあまり温度が上がっていません。これがハロゲンランプであればもっと赤や白=温度が高いと表示されているはずです。

レポート●片倉義明/中牟田歩実 写真●モーサイ編集部 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

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