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CB1300SFを愛車にしたダレノガレ明美さんvsマウントおじさん
少し前の話ですが、間もなく生産終了となってしまうCB1300SFを、女性タレントのダレノガレ明美さんが購入して話題となりましたね。CB1300SFは現在の私の愛車でもありますが、今回は前述の話題に接して筆者が個人的に感じたこと、そして女性白バイ隊員と白バイ専用車のCB1300Pについても書いてみたいと思います。
160cmで細いやつがCB乗るなよ!とか
体格にあったバイク乗れ!とか
女子が乗るバイクじゃないとか。
出し入れキツくなって乗らなくなるんだら軽いの選べよ。など。
コメントの1割くらいの人がご心配をしてくれてますが、、
あなた達は乗れなくても私は乗れるのでご安心ください☺️
心配ありがとう☺️… pic.twitter.com/EHlJoSYD4S— ダレノガレ明美 (@The_Darenogare) March 31, 2025
■ダレノガレ明美さんのX。スリムな華麗な彼女の身長は161.5cmだそう。
ホンダCB1300SF(およびSB)は、バイク好きなら一度は聞いたことがある車名でしょう。初代のSC40以降一度SC54にモデルチェンジしたものの、20年以上にわたって基本設計を変えることなく、今日まで生産が続けられたモデルです。またご存知の通り、全国の白バイにも同車ベースのCB1300Pが採用され、操縦のしやすさと信頼性の高さで、過酷な現場でも任務を遂行できる性能の高さが評価されています。走り出してしまえば非常にバランスがいいものの、ネックとなるのは、取り回しの重さかもしれません。
そのボリュームも重さもかなりあるバイクに、女性が乗ったらダメなどということはありません。CB1300SFはとても乗りやすくてオーソドックスなネイキッドモデルなので、重量を考えなければ女性でも個人的にはお勧め出来るバイクの一台です。しかし、ダレノガレ明美さんが愛車のCB1300SFを公開したときは、批判的な意見も出てきて、一時期話題となりました。その重さやパワー、足着きの悪さなど、ネガティブポイントを例に「女子には扱えない」「身の丈にあったバイクに乗れ」などの意見も出ていたようです。
世の中には男性色が強い趣味が多くありますが、言うまでもなくバイクもそうした趣味の一つだったかもしれません。しかし、今や男性、女性に関係なく、バイクを楽しむのは自然なことです。
そんな時代であるにも関わらず、昔からバイクに乗っていた、整備していたなどを理由にマウントを取ってくる男性がいらっしゃいます。バイクに乗っている女性が可愛い、格好良いと思ったりして、つい構いたくなってしまうのかもしれません。また、女性に格好良い姿を見せたいという思いは男性の本能かもしれませんが、マウントを取られる女性側としては、いい迷惑だと思います。
男性陣は認めたくない事実かもしれませんが、女性がスマートにバイクに乗っていると、数倍格好良く見えてしまうと思います。割合的に女性ライダーの数が少ないことも一つの理由かもしれませんが、女性ライダーがバイクで颯爽と駆け抜けていると、つい目で追っかけてしまうのは私だけじゃないはずです。
事実、警察への密着テレビ番組などで、注目されるのも男性の白バイ隊員よりも女性隊員であることが圧倒的に多いです。それはもちろん、おじさん隊員よりも爽やかな女性隊員の方が視聴率が取れるからです。そして残念ながら、白バイ隊員時代の筆者にも声が掛かったことはありませんでした(苦笑)。

女性白バイ隊員vsCB1300P【その1】 白バイ隊員になるための女性限定の選考基準は特にない
女性白バイ隊員がさっそうと走って勤務している様子は、華やかで格好いいですが、その影では相当な努力、苦労をしています。ここからは、そんなお話を少し紹介します。私も白バイ隊員時代に、新隊員の選考に何度か関わったことがありますが、女性限定の選考基準などは、特にありません。しかし、男性なら難なくこなせる内容でも、女性にとってはハードルが高いものもあり、結果的に女性をふるいにかけてしまう項目はあるかもしれません。
白バイ隊員になる前の選考には、オーディションのような期間が設けられていて、基礎体力、メンタル、バイクの取り回し、バイクの乗車技術等を男性、女性ともに審査されます。メンタル面では、白バイ隊員として勤務していく強い意志があるか、きつい訓練に耐える忍耐力があるか、なにより将来白バイ隊員として大型バイクに乗り、公道に出て一人で警察官の仕事ができる素質があるかが判断されます。明確な判断基準はないものの、最低限の項目として……
●倒れた状態のバイクを自分ひとりで起こせること
●センタースタンドを一人で掛けられること
●指示された訓練内容を文句を言わずに行えること
●キツい訓練でも弱音を吐いたり、露骨に表情に出さないこと
などの審査基準がありました。
身長制限については、私が新隊員の選出に関わったときには、特にありませんでした。現役女性白バイ隊員の中には、身長が150cm台前半の方もいましたし、実際に乗りこなしている方も多くいました。しかし、その一方、停止するたびに立ちゴケをしたり、自分一人でバイクを起こせないなどで選考基準を満たせず、白バイ隊員の道を諦める方がいたのも事実ですし、実際に審査側として落としたこともあります。



■白バイ専用の装備が施されたCB1300P。左右のケースや赤色灯、無線機器など諸々を装備すれば300kg近い車重となる。
女性白バイ隊員vsCB1300P【その2】新隊員への指導
女性白バイ隊員は、最初から300kg近いバイクを乗りこなせる訳ではありません。もちろん、男性隊員も同様です。まずは、大型バイクでの勤務に耐え得る体を作るため、最低でも数ヵ月間はバイクの乗車訓練と並行してランニングや筋トレを行い、基礎的な体力・筋力を養います。
また、体力や筋力などの腕力的な要素のみならず、バイクの取り回しの基本を学び、バイクを押す際のポイント、体の使い方、サスペンションの動きを利用した取り回しを徹底的に体に叩き込みます。
そして、公道に出てからは立ちゴケや転倒などは御法度なので、新隊員として入ってきた女性隊員を同行して指導する時は、最低限の取り回しや法規走行が出来ることはもちろん、乗車姿勢や目線、アクセル操作などに、細心の注意を払っていました。また、女性ということを理由に、仕事が出来ない言い訳をしない点についても指導していました。世間の目は厳しく、新隊員であろうとも、また男性女性に関係なく一人の白バイ隊員として見られていることを、徹底して教えるのです。

女性白バイ隊員vsCB1300P【その3】一番の難敵は、やはり重量!?

しかし、一番手こずるのは、やはりバイクの重量です。力の強い男性であれば取り回し等の時にバランスを崩しても、咄嗟に対応し、転倒などを回避することが出来る一方、女性の場合は限界があるのも事実です。次にネックとなるのが身長が低いことにより、足着きが悪く、立ちゴケをしてしまうことが非常に多いことです。
大型バイクvs女性ライダーの対策としては、一般には色々と乗りやすくするカスタムがあると思います。バイクのローダウンカスタム、シートのあんこ抜きなどによって身長のハンデをある程度対策することが出来ます。これにより、足着きの問題で乗れなかった憧れのバイクに乗れる可能性が高まります。費用は掛かってしまいますが、物理的にバイクを自分の体に合わせていくことが出来ます。
しかし、ローダウンカスタムに賛否あるのもわかります。ローダウンカスタム自体が走行性能に関してすべてマイナスに働くとも言えませんが、バイクメーカーが緻密に計算、テストして作った車両をデチューンする可能性もあるからです。
白バイの場合は、基本的にカスタムをすることはないのですが、実は足着きで不利な隊員のために、秘密のアンコ抜きシートが存在したりします。公にはなっていませんが、一部アンコ抜きされたCB1300Pの白バイが存在しており、身長が足りなくてどうしても足着きが厳しい隊員が乗っていました。
県警や白バイの部署の方針によって異なるとは思いますが、一部の交通機動隊ではアンコ抜きシートが存在していました。パッと見た限りは、純正とあんこ抜き車両の違いは、ほぼわかりません。ただし、当然ながらあんこ抜きにより、乗り心地が悪化したり、長距離走行での腰やお尻への負担は大きくなってしまうかもしれませんが……。
色々述べてきましたが、体格的なハンデはどうしてもあるのが女性です。しかし、身長150センチ前半だったり、一見華奢な体格の女性隊員でも男性隊員に勝る走りができたり、バイクの取り回し自体も問題なく行える隊員はたくさんいました。
厳しい訓練の賜物であることには変わりませんが、鼻から女子は重量級のバイクに乗れないなどという批判は出来ないことを、経験として目の当たりしてきました。つまりは、大型バイクに乗りたいという情熱を持って努力を重ね、さっそうと操れる技術を手にしたとき、女性ライダーは男性をはるかに上回って輝くのです。そして、そうした女性ライダーに、狭量な男性ライダーさんなどが妬んだりちょっかいを出したりもするのでしょう。
冒頭のダレノガレ明美さんとCB1300SFの話に戻りますが、CB1300SFのオーナーとして、個人的に美しい方が自分と同じバイクに乗っていることに、とても喜ばしく思います。そしてこれからもバイクに関する投稿を、たくさん発信してくれることを楽しみにしています。

文●睦良田俊彦 写真●モーサイ編集部

睦良田 俊彦(むらた・としひこ) 1986年北海道生まれ
趣味:クルマ、バイク
歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。
県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuber「臨時駐車場チャンネル」として活動。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。



































