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燃料タンク内に水が溜まるってどういうこと? そうなると何が起きる??
クルマに乗ってガソリンスタンドに行くと、店員さんからこんな事を言われたりしないだろうか。
「今、水抜き剤をオススメしてます。タンクの中には結構 結露で水がたまっているんですよ〜」
う〜む、何か怪しい。「店員さん、そのタンク内の水を見たんですか?」とツッコミたくなるったのは筆者だけではあるまい。
でも燃料タンクの「水抜き」は実は大事で、クルマよりもバイクの方がその効果が大きいと思う。
なので私はバイクを乗ってる人を見たら言いたい。「水抜き剤いかがですか〜」と。
ではまず、燃料タンク内に水が入る理由と、それによってどんな不具合が生じるのかを説明していこう。タンク内に水が入ってくる経路は大きく3つある。
①タンクキャップからの浸水
これは車種や車両の劣化具合にもよるのだが……筆者の場合、BMWのK100に乗っていた時にコイツに悩まされた。タンクキャップの構造的な問題で雨が降った後にタンクキャップを開けると、微量の水がタンクの中に落ちていくのだ。
タンクキャップのパッキンが劣化していたこともあり注意していたのだが、バイクカバーをかけずに駐車していた日に限って雨が降り、その翌日走らせると「バスバスバスッ、ブーン、バスッバス」とミスファイア。エンジンが揺れるほどで、明らかに異常な事態だった。
で、まさかと思いガソリンを抜きオイルジョッキに溜めてみたら下に水が沈殿していた。最終的に燃料フィルターやポンプを交換、燃料ラインもインジェクターも清掃して無事に完治に至ったのだが……参った参った。
②タンク内の結露
雨水の侵入に比べれば結露はまだかわいい方かもしれないが、侮るなかれ。
乗る頻度が多く定期的に給油しているような場合はそこまで気にしなくても大丈夫だが、乗る頻度が少ない、保管番所の温度変化が大きいなどの要因が重なると、タンク内の空気に含まれる水蒸気が結露しタンク天面や側面に付着 → その水が垂れてタンクに沈殿。タンク内の上も下も錆びることになる。
また意外かもしれないが、ガソリン自体にも水分はごく僅かながら含まれており、その蒸発も結露の元になる。

③タンクキャップ(給油口)の水抜き穴のつまり
ほとんどのバイクのタンクキャップ付近には水抜き用の小さな穴がある。この穴がホコリなどで詰まって水が抜けなくなってしまう。完全に詰まってしまうとタンクキャップ周辺がプールになる → タンクキャップのパッキンからタンク内に浸水していく、という流れとなる。
スクーターの給油口は足元にあることが多いが、それゆえホコリなども滞留しやすい。給油口にフタがあるからと油断していると危険だ。
また、水抜き穴からの水を排出するパイプ(ドレーン)はタンクの中を通って下に落ちていく。そのパイプが錆びて詰まったりするケースもある。コッチが詰まっても水抜き穴から水が流れていかなくなってしまうし、見えない部分なので厄介だ。
最悪の事態として、水抜き穴が何らかの原因で詰まる → タンク内に水が侵入 → ドレーンパイプの錆が進行して崩壊……というコンボを食らうことも。


ガソリン、水、添加剤を混ぜた状態を「見える化」してみる
で、ここからが本題。
水抜き剤も色々なものがあるが、性能差もある。これまでかなりの数の中古車を入手し、それぞれを自分でメンテナンスしてきた経験から言うと、筆者はワコーズ・フューエルワンに信頼を置いている(毎度自分で買っておりますが、いつでも“案件”お待ちしています・笑)。
フューエルワンは「水抜き剤」ではなく、ワコーズの説明では「清浄系燃料添加剤」という商品だ。エンジン内部のクリーニングや燃料タンク内の保護などを目的としたものなのだが、「水を抜く」効果も有している(なおワコーズは大々的に水抜き効果はうたっていない)。

その効果を、一般的な水抜き剤との比較を交えて紹介していこう。
一般的な水抜き剤はエタノール(アルコール)を主成分としたものが多い。
水と油は混ざらないが、水とアルコールは混ざる。アルコールは燃焼するので、その混ざった水も一緒に燃焼室へ送り込まれる……というのが大まかな仕組みと言える。
実際どんな状態になるのか。タンクの中は見えないが、ガラス容器に入れてその変化を見えるようにした。まず、ガソリン500ccを入れた容器に水を50ccほど注いでいくと、比重の重い水は下に溜まっていく。棒でかき混ぜても、これはどうにも変わらない。


一般的な水抜き剤を入れた場合
そこに一般的な水抜き剤を入れてかき混ぜていくと……白濁していく。これはエタノールが混ざった水を「細かく砕いている」で状態で、ガソリンに溶けているわけではない。とはいえ、底に溜まっていた水分を全体に「まきあげる」ことができ、燃焼室にブチこめる訳だ。
だが、時間が経つと水は分離して元のように沈殿してしまうのだ。つまり「しばらく乗る予定ないから水抜き剤を入れておこう」はあまり効果的でなく、水抜き剤を入れたら速攻で走って燃料タンクを空にするのがある意味正しい使い方!?


フューエルワンを入れた場合
一方のフューエルワンは「最高純度のPEA(ポリエーテルアミン)とIVD (インテークバルブデポジット)清浄剤を組み合わせ高濃度に配合」しているといい、これらが堆積物などを分解&取り込みつつガソリンとともに燃焼室へ送り込んでくれるので「洗浄」が行えるわけだ。ザックリな説明だが。
では同じように、ガソリンと水の混合液にフューエルワンを入れて混ぜてみる。やはり濁りが生じるのだが、液全体に満遍なくその濁りが撹拌されているような感じになる。換気など安全を確保したうえで、その状態の液を抽出して着火すると、しっかり燃えることが確認できた。つまり「水抜き効果」があるということだ。
また、そのままガソリン+水+フューエルワンの混合液に封をして1週間放置してみる。すると、一般的な水抜き剤を入れた時と同様に水が底の方に滞留するも、濁り感は維持されている。
一方、容器の内側には結露も生じてきた。まさに燃料タンク内で発生することである。その状態の容器を軽くシェイクすると、結露の水も取り込みつつ、再び満遍なく濁った状態に戻った。
ここから、フューエルワンは「水をガソリン全体に撹拌する力」と「水を取り込む力」が強いのがうかがえる。






体感だけでなく、かつてこの実験を行ってみてから(今回は撮影のため改めて実験した)信頼感は増し、中古バイクを買うとまずタンク内の水を「散らす」ために必ず使うようになった。
そして梅雨が終わった後や、盛大に雨に打たれた後などにも使用している。継続して使うなら半年から一年に1回の頻度で使うと良いと個人的には思う。
そしてフューエルワンは1本200mlで、2000円ちょいで販売されているもので、べらぼうに高い商品ではない。
燃料20〜60Lに1本使用ということでバイクの燃料タンク容量なら2回使えるし、本来(?)の洗浄作用や保護作用もありがたいものだ。
お守り代わりに取りあえず入れておく。そうしても決して損ではないと思う。

レポート&写真●バイク北村バイク 編集●上野茂岐
*実験は換気など安全を確保したうえで行っています。
モデル●望月ミキ
バイク整備好きおじさんの話相手。「バイク乗りと女優のハイブリッド・バイク女優」を名乗り、各地のステージで活動する舞台俳優・タレント。愛車はスズキ SV1000S、ホンダ CBR250RR。バイク雑誌のライターとしても10年以上のキャリアを持つ。バイクとフェリーに乗るのが好きだが、休みが確保できず東京湾フェリー以外になかなか乗れないのが悩み。
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追記2025年5月3日:記事文章の一部を加筆しました。
職業カメラマン。そしてただのバイク好きおじさん!?
中学生からモトクロスをし、高校生になるとキャブセッティングのアルバイトをしていた…そんな根っからのバイク好き(バイク狂?)。
その熱量は写真業にも向けられ、単身渡米しニューヨークで武者修行。
コロナ禍ではバイク熱が再燃しバイクを6台にまで増やした。最近の趣味は2ヵ月に一回車検に行くこと。






































