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【元警察官】が答える!「アルコール検知器っていいもの?」性能は高いが、頼らないのが◯

■「アルコール検知器っていいもの?」イメージ

アルコール検知器っていいもの? その利用について

新年会が盛んになるこの時期は、とくに「昨日は飲み過ぎた……」と後悔する機会も多くなります。昨晩のアルコールが残っているのでは?と不安に感じたとき、役に立つのがアルコール検知器(アルコールチェッカー)です。
しかし、アルコール検知器の検査結果は信用できるのでしょうか? お酒を飲んでいないのに反応したり、あるいはお酒を飲んだのに反応しなかったりといったケースがあるのかも気になります。
アルコール検知器のことを詳しく知って、上手に活用しましょう。

アルコール検知器とは? 意外と知られていない検知の仕組み

アルコール検知器とは、息を吹きかけることで体内に保有しているアルコールの濃度を測定する機器の総称です。
ICレコーダーのような携帯タイプのものが広く市販されていますが、ほかにも据え置き型でPC・スマホと連動して複数の検査結果を管理できるプロ仕様タイプも存在します。
そもそも、アルコール検知器とはどういう仕組みで体内のアルコールを検知するのでしょうか? 人間が飲酒などによって体内にアルコールを取り込むと、そのアルコールは血液に溶け込みます。血液に溶け込んだアルコールは肺でガスに交換され呼気に含まれるので、その濃度を電気の力によって測定します。
携帯タイプの多くは「半導体式」が採用されており、アルコールの影響で電気抵抗値が変化することを利用しています。据え置き型の多くは「電気化学式(燃料電池式)」で、アルコールによって発生する電流の量で測定する仕組みです。

アルコール検知器は信用できる? タバコや歯磨き粉でも反応するってホント?

アルコール検知器は非常に精密な機械で、ごく微量のアルコールでも検知するように作られています。そういった意味では、アルコール検知器の検査結果は信用できるといえるでしょう。
ただし、アルコール検知器はお酒以外のものでも反応することがあるという点は覚えておいてください。
たとえば、食事やお菓子などには風味を増すためにアルコールが使われているものがあります。また、タバコを吸った直後は、タバコの微粒子や揮発成分がアルコールによく似ているため誤反応を起こすことがあるので注意が必要です。とくにメンソール系のタバコは誤反応を起こしやすいといわれています。
ほかにも、歯磨き粉やマウスウォッシュには殺菌・消毒のためにアルコールが含まれているものが多いので、使用後の検査は避けてください。気になる方はノンアルコールタイプを選ぶことをお勧めします。
酵素を含むパンや味噌、エナジードリンクなどを飲食したあとも誤反応が起きやすくなります。口腔内が不衛生だったり、虫歯があったりする場合にも誤反応を起こすかもしれません。さらに、ごくまれにですが体内でアルコールに似た物質を生成する体質の人もいるので、まったく心当たりがないのに誤反応を起こすようなら医師に相談してみましょう。

「アルコール検知器っていいもの?」イメージ

お酒を飲んだ直後なのに反応しなかった! 運転しても大丈夫?

アルコール検知器の検査結果は信用できますが、それでも絶対とはいえません。
たとえば、お酒を飲んだ直後や飲んでいる最中にアルコール検知器を使っても反応せず、数値が「0」になることがありますが、こんなときは要注意です。アルコール検知器は、血液に溶け込んだアルコールがガスになり呼気に含まれて吐き出されることでアルコールを検知します。つまり、アルコールが血液に溶け込む前だと、機械がアルコールを検知できないことがあるのです。
しかも、アルコール検知器はごく微量のアルコールでも反応するよう精密に作られており、反対に強いアルコールを検知させようとすると機械が故障してしまう可能性があります。
お酒を飲んだ直後や飲んでいる最中ではアルコール検知器が正しく働いてくれないので、検査結果が「0」だったとしても、絶対に運転してはいけません。飲酒直後や飲酒中ではなく、「もうそろそろ大丈夫だろう」などと考えがちな数時間後のほうが高い濃度が検知されるということを覚えておきましょう。

アルコール検知器は本当に信頼できる? 購入時のポイントは?

アルコール検知器そのものは信用できるものです。しかし、アルコール検知器によって検知されなかったからといって「運転してもいい」と判断するのは間違いです。
アルコール検知器に頼って運転の可否を決めることは、メーカー・販売者のいずれも保証していません。「アルコール検知器を使って大丈夫だったから運転したのに警察に検挙された」とメーカーや販売者を責めてもムダです。
もちろん、警察にそんなことを主張しても相手にしてくれません。そもそも検挙基準に満たない量でも身体にアルコールを保有している状態での運転はすべて禁じられているのですから、0.01ミリグラムでも検知されている状態なら運転は控えるべきです。

アルコール検知器を購入する際は「アルコール検知器協議会」の認定品かどうかも注目してください。アルコール検知器はさまざまなメーカーのものが販売されていますが、一般社団法人アルコール検知器協議会(J-BAC)が認定している商品を購入するのが安全です。
2024年12月1日時点での認定品は32団体・70機種で、基準をクリアした商品には「J-BAC認定品」の表記があります。
J-BACに加盟しているメーカーの商品でも審査基準をクリアしていなかったり、実際は認定を受けていないのに「認定品」と嘘を表記していたりすることもあるので、購入の際は同協議会のホームページで認定品かどうかを確認してください。

昨夜のアルコールが残った「うっかり飲酒運転」を防ぐには?

社会が飲酒運転に対して厳しい目を向けるようになり、法律による厳罰化も進んだので、お酒を飲んだ直後の飲酒運転は減少しています。しかし、前日のお酒が残っていた、一休みしたので大丈夫だと思っていたといった「うっかり飲酒運転」は後を絶ちません。
アルコール検知器はうっかり飲酒運転を防ぐために役立ちますが、一方で過信は禁物です。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」という言葉もあるように、アルコール検知器の存在に頼るのではなく、お酒を飲んだら絶対に安心できるだけの時間をおいてハンドルを握りる、お酒を飲む予定があるときはマイカーで通勤しないなどの対策を講じましょう。

レポート●鷹橋公宣

REPORT

◯鷹橋公宣(たかはし きみのり)

元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、「note」では元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。

 

◯「一般社団法人アルコール検知器協議会認定機器一覧」
https://j-bac.org/certified_devices/

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