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電動セローでふたりの少女が旅をするバイク漫画『終末ツーリング』
2021年4月26日にバイク旅コミック『終末ツーリング』第1巻がKADOKAWAより発売されます。
この物語はヤマハ セロー225(電動仕様)にふたりの少女、ヨーコとアイリがタンデムをしながら日本の関東エリアを旅をしていくというストーリー。しかし、その走る景色は都市やインフラがひどく荒れ果てていて、タイトルにもあるとおり、この世の果てのような世界です。
誰もいない終末世界を2人の少女がバイクで旅をする意味は? 世界はなぜこんなことに? といった謎めいたSF要素を織り交ぜたツーリングの物語といったところです。


作者は某バイク雑誌でバイク部品擬人化マンガも手掛けている、さいとー栄さん。実際にセローで日本各地を旅したこともあるそうです。
バイク漫画も時代はツーリング志向に?
今まで名作と言われるバイク漫画は色々ありました。
著名なところを挙げれば『バリバリ伝説』『ふたり鷹』『キリン』『風を抜け!』『あいつとララバイ』『750ライダー』『ばくおん!!』などなど、ざっくり並べただけでも枚挙にいとまがありません。
バイク雑誌がツーリング、レース、ライテク、バイクライフなど、カテゴリーが細分化されているように、バイク漫画とひと口でも言っても、クローズアップするテーマも色々とあります。
『バリバリ伝説』や『ふたり鷹』、『キリン』などはスピードやレースといったバイクの魅力をメインテーマにしています。
『湘南爆走族』『特攻の拓』などはバイクをアイテムとして使った「ヤンキーもの」といったところでしょうか。
漫画をきっかけにしてバイクに興味を持ち、実際にバイク乗りになったという人もたくさんいるでしょう。
キリンの影響で空冷4発のバイクに興味をもった人も多いと思いますし、元MotoGPライダーの中野真矢さんが現役時代にゼッケン56を使っていたのはバリバリ伝説の主人公、巨摩郡が使うナンバーに由来するというのは有名な話です。
ちなみに『少年キング』において『湘南爆走族』と人気を二分していたバイク漫画『ペリカンロード』は、作中で「KENZ!」に勤める「広瀬達也」なる、どこかで聞いたことのある名前の人物が登場します(笑)。まあこのキャラクターはツーリングに行きませんけどね。
少し話が脱線しました。
バイク漫画がテーマにしていた、速さやちょっとアウトローなアイテムというのもバイクの魅力であることは確かですが、先述したように細分化したリアルのバイクシーンでは、そういったことよりもツーリングやアウトドアへ出かける道具、キャンプといったほうへ興味を持つ方が多くなっています。
実際にアドベンチャーバイクは昨今人気のジャンルですし、ホンダのCT125・ハンターカブやレブルなど旅に出たくなるモデルが人気を集めています。
そういえばスクーターでゆるくキャンプするマンガも人気ですね。終末ツーリングもそんなイマドキのバイクシーンを反映した作品かもしれません。
さて、バイク漫画で注目したいのは作中で登場するバイクです。
『終末ツーリング』は化石燃料が失われた近未来のお話で、クルマやバイクは電気で動く時代のようです。
表紙で描かれている日産GT-Rや主人公が乗るセローも電動です。とはいえ、電動化された部分以外はパニアケースがついていたり、しっかり旅仕様で、旅の途中で太陽光を利用して充電していたりして、意外に電動バイクでツーリングも悪くないかも……なんて思わせてくれます。
彼女らが旅する風景も、作者のさいとーさんの実体験が反映されているのか、箱根ターンパイクや温泉、北海道・中標津のミルクロードなどリアリティに満ちています。ツーリング好きなら見たことのある風景が作中に描かれているかもしれません。

『終末ツーリング』第1巻では箱根から横浜、横須賀、有明などを巡っていきますが、主人公は旅の途中で様々なものを見つけ、出会っていきます。
世界がどんなに荒れ果ててしまっても、バイクツーリングの変わらない魅力は発見と出会いだと作者のメッセージにも思える部分です。
ちなみにさいとーさんのTwitter(@puru_sakae)では#セロー225レストアチャレンジというハッシュタグを使い、セローのレストアにチャレンジ中です。終末ツーリングの単行本同様この先が楽しみです。
書名:『終末ツーリング』
著者:さいとー栄
●第1巻発売日:2021年4月26日(電子書籍も同日発売)
●定価:737円(本体670円+税)
●判型:B6判
●ページ数:194
●発行:KADOKAWA
●月刊コミック誌「電撃マオウ」で連載中/webサイト「コミックウォーカー」にて無料配信中
レポート●飯田康博 写真●KADOKAWA/八重洲出版 編集●上野茂岐
■KADOKAWA『終末ツーリング』第1巻
https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000515/
■webコミック・コミックウォーカー内『終末ツーリング』ページ
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM01201885010000_68/