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【マン島TT 2026】レポートpart.2 いよいよ決勝ウィークに突入するも、悪天候に翻弄される

■タイトル写真:5月29日の予選走行でのジョン・マクギネス選手(CBR1000RR-R)。ここは最も大きなジャンプスポットのバラフブリッジで、マクギネス選手はトップライダーの中でも特に高く、遠くまでジャンプする。写真は着地直後でフロントサスペンションがフルボトムした瞬間だ。

マン島TTレースは、1週間の予選ウィークを終えて、5月30日からいよいよ決勝ウィークを迎えた。しかし折からの悪天候のため、6月3日現在で消化できたのはわずか2レースのみだ。

今年最初の決勝レースはスーパーバイクTT

決勝レースは5月30日からスタートし、スーパーストックTTとサイドカーTTのそれぞれレース1が予定されていた。しかし予選走行中に発覚した技術的な問題のため、サイドカーはそれ以降の予選だけでなく決勝レースも中止となる異例の事態が起きた。伝え聞いたところでは空力特性に問題があるが、すぐに改良できるものではなく、なおかつ高速度走行ではマシンが浮き上がってしまい横転する危険を回避できない。そのため主催者は苦渋の決断としてサイドカーTTの中止を提案し、エントラントたちはそれを受け入れた格好だ(もちろん全員が納得できるものではないはずだが)。

そしてスーパーストックTTは悪天候のため中止となり、決勝初日はレースが行われることなく過ぎた。

開幕レースとなったのは翌31日のスーパーバイクTTだ。レースは序盤からディーン・ハリソン選手(ホンダ CBR1000RR-R)がリードし、後続を引き離し続ける展開でフィニッシュまで独走。1周約60kmのスネーフェルマウンテンコースを6周するスプリントレースを見事に制した。ハリソン選手にとってスーパーバイクTTでの勝利は今回が初めてで、これによってTT通算勝利数を6に伸ばした。

5月31日のスーパーバイクTTで勝利したディーン・ハリソン選手(CBR1000RR-R)。撮影場所はコース終盤のクレッグ・ニー・バー。

ちなみに、ハリソン選手の総合タイムは1時間43分08秒967で、平均時速は131.681mph(≒211.92km/h)だ。やや強引なたとえだが、東京から鈴鹿サーキットまで東名高速や伊勢湾岸道を走って2時間足らずで到着すると想像すると、公道でレースをするマン島TTのスピードがいかにぶっ飛んでいるかがわかるのではないだろうか。

2位にはピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)、3位にはマイケル・ダンロップ選手(ホンダ CBR1000RR-R)が入賞し、表彰台に上がった。

翌6月1日はレストデイ(休息日)でレースは行われず、6月2日にはスーパースポーツTTレース1、スポーツバイクTTレース1、そして悪天候で中止となり延期されていたスーパーストックTTレース1の3レースが予定されていた。

しかしこの日も悪天候で、目まぐるしく変化する天候にレースは翻弄された。正午に発表されたスケジュールはスーパースポーツTTのみで、晴れ間をついての開催となった。しかしその直後に、延期と思われていたスポーツバイクTTも行うことが発表された。

ミドルスーパースポーツの勢力図が見えてくる「スーパースポーツTT」レース

スーパースポーツTTはミドルクラスの多種多様なスーパースポーツが参戦可能なクラスで、市販車で公道を走るレースとしては最も見応えあるクラスと言える。近年はドゥカティ パニガーレV2の参戦が増えており、今年のスーパーバイクTTを制したのはやはりパニガーレV2を駆るマイケル・ダンロップ選手だ。

6月2日のスーパースポーツTTレース1で勝利し、TT通算勝利数を34に伸ばしたマイケル・ダンロップ選手(パニガーレV2)。撮影場所はガスリーズメモリアル。

ダンロップ選手は序盤こそディーン・ハリソン選手(ホンダ CBR600RR)にトップを譲ったものの、1周目の終盤で抜き去り、3周のレースをそのまま逃げ切って24.47秒差をつけ、3周のレースを総合タイム53分45秒857、平均速度126.318mph(≒203.289km/h)で勝利。ダンロップ選手のTT通算勝利数はこれで34回、スーパースポーツTTでは9勝目となり、キングの称号にふさわしい今年の初勝利を飾った。

2位にはハリソン選手(総合タイム54分10秒327、平均速度125.367mph≒201.759m/h)、3位にはピーター・ヒックマン選手(トライアンフ ストリートトリプル765RS、総合タイム54分33秒833、平均速度124.467mph≒200.31m/h)が入賞した。

なお、トップ20までのレース結果は次のとおりで、順位と台数を眺めるとミドルクラススーパースポーツの勢力図が見えてくる。

【スーパースポーツTT・レース1決勝リザルト】

※順位/ライダー/マシン/タイム(3LAP)
1位:マイケル・ダンロップ/Ducati Panigale V2/53分45秒9
2位:ディーン・ハリソン/Honda CBR600RR/54分10秒3
3位:ピーター・ヒックマン/Triumph Street Triple 765 RS/54分33秒8
4位:ポール・ジョーダン/Ducati Panigale V2/54分45秒4
5位:ジョシュ・ブルックス/Suzuki GSX-R750/55分03秒9
6位:ドミニク・ハーバートソン/Triumph Street Triple 765 RS/55分10秒7
7位:ジェイミー・カワード/Honda CBR600RR/55分16秒7
8位:ショーン・アンダーソン/Suzuki GSX-R750/55分17秒0
9位:イアン・ハッチンソン/Ducati Panigale V2 /55分19秒3
10位:マイク・ブラウン/Yamaha YZF-R6/55分25秒5
11位:デビッド・ジョンソン/Kawasaki ZX-6/55分48秒2
12位:コナー・カミンズ/Suzuki GSX-R750/56分01秒2
13位:ミシェル・リース/Honda CBR600RR/56分02秒4
14位:ネイサン・ハリソン/Honda CBR600RR/56分07秒6
15位:マイケル・エバンス/Triumph Street Triple 765 RS/56分22秒8
16位:ジョー・イヤーズリー/Suzuki GSX-R750/56分27秒0
17位:マイケル・ラッセル/Suzuki GSX-R750/56分30秒3
18位:ジェイミー・クリングル/Ducati Panigale V2/56分33秒1
19位:バズ・ファーバー/Triumph Street Triple 765 RS/56分34秒3
20位:ピエール・イブ・ビアン/Triumph Street Triple 765 RS/56分42秒3

※タイムの小数点2位以下は切り捨て

連日の悪天候に翻弄されているマン島TT

ロードクローズド(道路封鎖)した後、セーフティカーが1周走行してコース上の安全を確認する。

スーパースポーツTTレース1に続いてスタートする予定だったスポーツバイクTTレース1だが、天候急変により再度の中止となってしまった。最初の中止を受け、走行ラインの研究のためコースサイドに出かけていた山中正之選手だったが、急遽スタートが決まったため急いでピットに戻って準備をしていたが、結局中止となってペースを乱された。しかしこれもレース、マン島TTだ。

マン島の天候は変わりやすい。スーパースポーツTT走行中は快晴だったが、レース終了直後に雨雲が島を覆い、各地に雨を降らせた。

原稿を執筆している6月3日はスーパーストックTTレース2が行われる予定になっていたが、正午に中止が発表された。スーパーストックTTはレース1が延期状態で、今後どのようにレース日程が修正されるかは未定だ。

なお、現段階での今後のレース日程は下記のとおり。

6月4日 休息日
6月5日 スーパースポーツTTレース2、スポーツバイクTTレース2
6月6日 シニアTT(最終日)

島の主要道路を封鎖するレースを連日続けると、住民の生活に支障が出る。そのためレースを行わない休息日は不可欠だ。

しかしスポーツバイクTTはレース1が延期状態、スーパーストックTTはレース1、レース2ともに延期状態で、未消化レースが3もある。さらに天気予報は6日まで雨となっていて、余談はまったく許さない状況だ。今年のマン島TTがどうなるのかは神のみぞ知る……いや、神すらもわからないのではないか。

しかしマン島の天気は変わりやすい。それは晴れから雨だけでなく、雨から晴れも同じだ。今できることは、ライダー、チーム、主催者、マーシャル、ファン、レースに関わる全員で天候回復を願うことだけだ。

6月3日のコントロールタワー周辺は強い雨が降り、晴れた日には多くの観戦客で賑わうこの場所もひとけがなかった。

Report&Photo●Takeshi Yamashita(山下 剛)

CONTACT

マン島TTレース公式ホームページ

https://www.iomttraces.com/

 

山中正之選手のFacebook
https://www.facebook.com/masayuki.yamanaka.10

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