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【燃料タンク容量考察】大きければ良いってもんではないが、頻繁な給油は面倒だ

当たり前の話ではあるけれど、燃費性能とともに、バイクの航続距離(無給油で連続して走れる距離)に関係してくるのが、燃料タンクの容量だ。
ただし、そのバイクの用途によって適正な容量があって、通勤や買い物の足代わりのスクーターに20L以上ものタンクは不要だろう。ガソリン1Lで40~50km程度走れる小排気量の4ストエンジン車なら、買い物に2回出かけてようやく1L消費する程度。
そのためにわざわざたくさん燃料を積む必要はないし、なかなか消費しないガソリンのために余分な重さを背負って走るのも無駄と言える。そうした小排気量スクーターは4〜6Lのタンク容量になっているものが多い。
一方で、1日に300~500kmも走れる大型ツーリングモデルでは、そういうわけにはいかない。個々のバイクの燃費性能にもよるが、なるべく給油回数は少なくしたいから、燃料タンクは15L以上ないし20L前後は欲しい。
また、そうした大型ツアラーなら、燃料分で10~15kg重くなったところで、取り回しにも走りにも大きな影響はない。それよりもロングラン性能のほうが重要視されるだろう。
なお、参考までに付記すると、ガソリン1Lの重さは水1L(ほぼ1kg)よりは軽く、約0.75kgといわれている。ということは、タンク容量が20Lのバイクは満タンで約15kgの重さを背負うことになる。
というわけで、燃料タンク容量が当記事のテーマである。
前述したようにタンク容量は、バイクのカテゴリーや、排気量、使われる用途によって適正なタンク容量があるが、ならばどんなバイクが大きなタンクが必要かと言えば、やはり大排気量のツーリング系モデルだろうか。
大きなトップボックスとサイドボックスに荷物を満載し、1日に500km以上のロングツーリングを楽しむことを想定したバイクである。海外ではタンデムで何泊もするようなツーリングに使うユーザーも少なくない。となると、大容量の燃料タンクは必須とも言えるが──。
では、具体的にどのような車種が大容量燃料タンクを有しているのか。当記事では国産、輸入車問わず日本で買えるバイク(一品物のカスタム車などは除く)のスペックから、燃料タンク容量が多いモデルのトップ10を紹介してく。

10位〜5位はクルーザー、アドベンチャー、ツアラーのほか、意外な3輪バイクもランクイン!
10位:22.7L「ハーレーダビッドソン グランドアメリカンツーリング系/インディアン ツーリング系」


2社のアメリカ製グランドクルーザーが10位にランクイン。
ハーレーではタンクの基本を共用するストリートグライド系やロードグライド系モデル(1923ccないしは1977ccのV型2気筒エンジン搭載車)が22.7L。そしてそのライバルと言えるインディアンもパースート、チャレンジャー、ロードマスター系(1767ccないしは1834ccのV型2気筒エンジン搭載車)がタンクを共用していて22.7L。
ハーレーとインディアンのツーリング系モデルが、奇しくも小数点以下の容量までバチバチで同じなのが興味深い。
9位:23L「KTM 1290スーパーデュークGT、1290スーパーアドベンチャーS/R」


9位はKTMのスポーツツアラー1台とビッグアドベンチャーの2台がランクイン。1301ccの水冷V型2気筒エンジン搭載で、タンクを含む車体の一部を共用した3モデルで、燃料タンク容量は23L。十分に多めの容量と言えるが、他社ライバルのビッグアドベンチャーよりは少なめ。
「レディ トゥ レース」を掲げるKTMらしい運動性能をキープするため、それくらいの大きさが適切というこだわりがあっての設定か? ちなみに1290スーパーデュークGTは公称燃費である17.5km/Lで計算すると、航続距離は402.5kmとなる。
8位:24L「BMW R18B」

BMWの1801ccボクサーツイン(空油冷水平対向2気筒)が8位にランクイン。R18Bはアメリカ市場の趣向を重視して生まれたバガースタイルのクルーザーで、他のR18シリーズの3モデル(タンク容量17.9L)よりも大きな専用燃料タンク、大型のハンドルマウントフェアリング、ハードタイプのパニアケースを標準装備。フェアリング内にオーディオ、10.25インチ大型TFTディスプレーも装備し、ロングツーリングにも対応。公称燃費は17.2km/Lで、計算上の航続距離は412.8km。
7位:25L「BMW R1250RT」

続いて7位もBMWの1254ccのボクサーツイン(空水冷水平対向2気筒)が登場。快適なロングランを想定したグランドツアラーは、公称燃費の21km/Lから計算すると525kmの航続距離を誇る。日本仕様はパニアケースやアダプティブクルーズコントロールを標準装備。アドベンチャーモデル「GS」は1300ccエンジン搭載でモデルチェンジした現在、このR1250RTも新エンジン搭載の新型が出るか。
6位:26.5L「BMW K1600GTL/K1600GT」

ロングツーリングを得意とするBMWのモデルがまたも続くが、K1600シリーズは水冷の1648cc並列6気筒エンジンを搭載。シルキーな加速と頼もしいトルクで、350kg近い巨体を動かす。トップケースをはじめケース類をフル装備するGTLがラグジュアリーツアラーの位置づけ。GTはそれよりスポーティな走りを重視したモデルで、シート高もGTLの750mmに対してGTは810~830mm。2車とも公称燃費は17km/Lで、計算上の航続距離は450.5km。
5位:27L「BRP CAN-AM スパイダーF3」

2輪車ではないので番外編とも言えるが、前2輪、後ろ1輪の3輪バイク、カンナム スパイダーシリーズが5位にランクイン。搭載されるのはオーストリアのロータックス製水冷1330cc並列3気筒エンジンで、最高出力117ps/7250rpm、130Nm/5000rpmを発揮。27L容量のタンクはスパイダーF3シリーズに採用されるが、F3リミテッドスペシャルシリーズの場合の車体重量は448kg(乾燥)。燃費は非公表。
1位「30L」は同率で4車種。大型アドベンチャーモデル3車に、公道走行可能なラリーマシンが1車
以下4位と紹介するところではあるものの……調べうる限り、市販のバイクで最大となるタンク容量は30Lなのだが、該当する車種が4台。そのため、同率1位という結果に。BMW、ドゥカティ、トライアンフとヨーロッパメーカーの大型アドベンチャー3台のほか、意外なメーカーのダカールラリーレプリカ車(公道走行可能)というダークホースがランクインした。
同率1位:30L「BMW R1300GSアドベンチャー」

R1300GSをベースに長距離性能を高めたBMW最高峰のツーリングモデルと言える、R1300GSアドベンチャー。大型燃料タンクを装備するだけでなく、空力パーツなど外観のフォルムもR1300GSからかなり変更されている(フレームも一部異なる)。
その大きなボリュームに圧倒されてしまうところだが、停車時に車高が低くなるアダプティブ車高制御などで、取り回し性にも配慮。空水冷水平対向2気筒のボクサーエンジンは1300ccの排気量で、公称燃費値は20.4km/L。計算上の航続距離はなんと612kmになる!
同率1位:30L「ドゥカティ ムルティストラーダーV4ラリー」

スーパーバイク「パニガーレV4」をルーツとする1158ccV型4気筒エンジン搭載のアドベンチャー、ムルティストラーダV4シリーズ。このV4ラリーはオフロード走破性と快適性を両立したモデルで、専用設計パーツのひとつが30L燃料タンク。ツーリングバイク用に調整されているとはいえエンジンは高回転型で、最高出力170psを1万750rpmで発揮する。その分、燃費は若干厳しめで公称15.2km/L。計算上の航続距離は456kmとなる。
同率1位:30L「トライアンフ タイガー1200ラリーエクスプローラー/タイガー1200GTエクスプローラー」

1200ccをトップに、660ccのミドルクラスまでを揃えるトライアンフのアドベンチャーモデル・タイガーシリーズ。その中で大容量30Lタンクを装備するのが、エクスプローラーを車名に冠した2モデル。1160ccの水冷並列3気筒エンジンは、最高出力150ps/9000rpmのスペックを有する。ラリーエクスプローラーは前21/後18インチのホイールでオフロード指向の強いモデル、GTエクスプローラーは前19/後18インチのホイールでオンロード志向だ。なお、2車とも燃費値は非公表。
同率1位:30L「KOVE 450ラリー」

アドベンチャーモデル以外で同率1位となったのは、中国の二輪メーカー・KOVE(コーベ)が放つ公道走行可能なリアルラリーレプリカ、450ラリー。2023年にダカールラリーで3台が完走した同社のラリーマシンを一部仕様変更のみで市販化、2024年に日本でも発売となった。エンジンは中国・ゾンシン製で、DOHC4バルブの449cc水冷単気筒。日本仕様は最高出力42ps/9000rpm。
車体を適正にバランスさせるために、燃料給油口を左右2ヵ所に持つ前側タンク(14L容量)、テール部に給油口を持つ後部タンク(16L容量)に分散させ、ラリー競技での運動性能に配慮しているのも同車の特徴だ。燃費は公表されていないが22km/L前後と言われ、航続距離は600kmを優に超えるだろう。


まとめ●モーサイ編集部・阪本一史
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