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120年以上の歴史を誇る英国の二輪ブランド「トライアンフ(TRIUMPH)」から、新型ロードスポーツ「トライデント800(TRIDENT800)」が登場! さっそく地中海に浮かぶキプロス島で、テストライダー丸山浩が斬る!
重量198kgとシート高810mmが3気筒の楽しさを身近にする
今回、トライアンフが新型トライデント800のために用意してくれたテストコースは、地中海に浮かぶ島で3番目の大きさを誇るキプロス島だ。1月とはいえ地中海の気候は日本の春先を思わせる暖かさ。街中から山間部を抜ける公道ルートは、距離にして約150km。ちょっとしたツーリングといえる行程だ。
こんな優雅なツーリングを楽しませてくれるとは、仕事とはいえ本当にありがたい。
それでは「またがり」からチェックしていこう。
スペック上のシート高は810mm。身長167cmの私だとつま先の腹が両方ともにしっかりと地面に着く。また、装備車重が200㎏を切る198㎏なのでサイドスタンドからの引き起こしが抜群に軽い! もうそれだけでも取り回しの良さを感じてしまう。
さらにハンドルはフラットバーだが、いわゆるストリートファイター系ではない。そのため、幅が広すぎてフルロックしたときにグリップが遠くなって困る、なんてことはない。高さも極めてナチュラル。上半身は気持ち前傾するくらいのアップライトなポジションだ。シート前方はそんなに絞られていないのに、足を真下にスッと下ろせるのも足着きの向上に一役買っている。細かいところでは、サイドスタンドの出し入れがしやすいのもうれしい。



心地いい鼓動が、7000回転で“ヤバい加速”に変わる
さっそくエンジンスタート。「SPORT」「ROAD」「RAIN」と3つあるライディングモードのうち、まずはROADモードを選び、キプロス島のストリートへ繰り出す。
第一印象は、全体的に柔らかい雰囲気でアクセルに対するレスポンスも鋭すぎない、というもの。搭載される798ccの水冷3気筒エンジンは最高出力115馬力、最大トルク84Nm。4000~5000回転まではアクセルに対して後から加速がついてくる感じだ。この4000回転くらいまでの低回転域では、バイブレーションがグリップやステップから体に伝わってきて、それが実に気持ちいい。“振動”ではなく“心地いいバイブレーション”。このバイブレーションが、いい速度感、いいペース感になるとスッと消えていく。そこもまた3気筒の気持ちいいところなのだ。そのエンジンの音色の移り変わりを、バイクと一緒に探していく。それがたまらなく楽しい。
前のクルマがゆっくり走っているので追い越してしまおう。さぁアクセルをひねるぞ。おぉ来た来たっ! 7000~8000回転あたりから爆発的な加速をみせて、一気に前走車をパス。この加速感もトライアンフ3気筒の楽しいところで、2ストロークの「ヤバい感」に通じる。
3気筒は回転次第でいろんな表情と出会えるから、面白さが尽きない。

しっかりとした接地感が生む「疲れ知らず」の旋回
市街地で楽しんでいるうちにワインディング区間の入口に到達した。
まずは5000回転くらいで流すように走ってみる。乗り心地は柔らかいと言ったが、ブレーキをかけたときのノーズダイブはコシがあって結構ゆっくりだ。ちゃんとスポーティにも走れるように設計されている。
ここでもやっぱり、前がクリアになると、そこから回していけるのが3気筒の醍醐味。エンジン回転の気持ちいいところと対話しながらいい景色を望む、それらが全部シンクロしていく瞬間が最高なのだ。
さてワインディングを走ってみると、ストリートトリプルとは異なるトライデントならではの大きな特徴が分かった。それはハンドリングだ。
フロントタイヤにクイックな軽々しさがない。ストリートファイターのようにフロント荷重を意識しなければならないというのではなく、ごく自然な形でワインディングを楽しませてくれる。タイトコーナーであろうが高速コーナーであろうが、どんなところでも前後輪に接地感をしっかり持たせてキレイにラインをトレースしていく感じなのだ。
加速しながら車体を切り返していく時に、あんまりフロントがクイックに反応するとステアリングをもっと低くしたくなるのだが、このタイプのアップハンでそれもかなりいいペースで走っているのにフロントを頑張って押さえこむ必要がない。
さすがに、海外ジャーナリストの日本の常識を超えた速いペースについていくと、フロント荷重を活用してグイグイ旋回させるストファイ系ハンドリングがほしいと思える場面もあったが、やっぱりツーリングも意識した公道環境なら、トライデント800のハンドリングのほうが自然でいいと思えた。
途中、日本でも割と見慣れたシチュエーションに出くわした。箱根の長尾峠と言えば関東近辺の読者には分かってもらえるだろうか。あそこに似たような道幅が狭く、路面にヒビ割れや凸凹が随所にあって、おまけに見通しも効かない、そんな感じのステージだ。
こうした環境では、前後輪の接地感がしっかりしていて、おまけに車体の動きもなだらかなこちらのハンドリングのほうが結果的に走りやすいし疲れない。
トライデント800は攻め攻め系ではなくマッタリ系に分類できるの。しかし、ゆっくりペースからかなりのハイペースまでこなせるのだから、実力としてはかなり高い。バンク角もかなりある。
とにかくどんなところでも3気筒の良さを味わうことに専念できる、そんなバイクになのだ。
ついでにライディングモードも試してみた。ROADからSPORTに切り替えると、劇的なキャラクター変更ではなく、それなりに元気の良さが演出される。ところどころ使い分けて乗りたくなる設定だから、各々ちゃんと出番はあるだろう。
そして最後の区間では、本格的な雨まで降ってきた。ここでも3気筒の持つトルク感・盛り上がり感・伸びきり感を余すことなく伝えてくれることを確認。
RAINモードはもちろんSPORTやROADモードでも安心して乗ることができたのは、やはり前後輪にしっかり接地感があったおかげと言える。
こうして街中から峠、そして雨と、さまざまなシチュエーションでトライアンフの3気筒を楽しんでいると、いつの間にかゴール地点に到着。とにかく楽しい行程だった。





124万9000円の衝撃。トライアンフが仕掛けるロードスポーツ下克上
モーターサイクリスト誌読者の皆様に、トライデント800がどんなバイクだったか総評すると、「あらゆるライダー、あらゆる場所で3気筒の楽しさ全て伝えることにフィーチャーした、いわばトライアンフ3気筒の基本形もしくは決定版といったマシン」だった。
価格もずいぶんと魅力的だ。日本では税込み124万9000円(黒)~126万9000円(灰、赤)。
これは同じ3気筒であるヤマハXSR900の132万円よりも安く、スズキGSX-8Tの129万8000円に対してもあちらが2気筒ということを考えると、トライアンフがいかに日本車を意識しているかが見て取れる。
日本でのデリバリーはこの2月に開始。新車選びの選択肢から外せない楽しいマシンが、ここにまた登場した。







トライデント800 主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷並列3気筒 DOHC 12バルブ
ボア・ストローク:78mm×55.7mm
総排気量:798cc
最高出力:84.6kW(115ps)/10,750rpm
最大トルク:84Nm/8,500rpm
変速機:6速
[寸法・重量]
全長:──
全幅:815mm(ハンドルを含む)
全高:1088mm(ミラーを除く)
ホイールベース:1402mm
シート高:810mm
タイヤサイズ:F 120/70 R 17
R 180/55 R 17
車両重量:198kg
燃料タンク容量:14L
[車体色/価格]
ブラック:124万9000円
グレー、レッド:126万9000円
Test Rider:Profile
みなさんこんにちは、テストライダーの丸山 浩です!
ジャーナリストとして偉そうに評論できる柄ではないので、あくまで数々のレース経験を通して、マシンテストを行う「テストライダー」、四輪では「テストドライバー」として活動しています。YouTube「MOTOR STATION TV」では、「モータースポーツを通して人々に活力を、そして文化へ……」と頑張って活動しています!
https://www.youtube.com/@motorstationtv






































