新車

ロイヤルエンフィールド新型クラシック350は「ホンダ GB350と同じ土俵で戦える」

クラシック350 ロイヤルエンフィールド

ガッカリするのかと思いきや……?

興味津々ではあるけれど、もう少し後にして欲しい。ロイヤルエンフィールドの新作、クラシック350の試乗レポートを編集部から打診されたとき、僕はそう思った。
何と言ってもこちとら、少し前にモーサイwebの仕事でGB350の開発陣とじっくり話をして、クリアな鼓動感を構築する手法、ロングストローク型エンジンの美点、フロント19インチとフレーム剛性の関連など、旧車的な面白さの勘所を教えてもらい、ホンダの解析技術と斬新な手法に感銘を受けたばかりの身である。

そんな人間が同じジャンルと言うべき空冷ビッグシングル、新型クラシック350に乗ったら、いろいろな意味でガッカリしそうな気配が濃厚じゃないか……。
ところが、丸一日をかけて新型クラシック350を試乗した僕は、すっかりこのバイクに魅了されてしまった。軍配をどちらに上げるかは乗り手の感性によりけりだが、ロイヤルエンフィールドの新作はGB350と同じ土俵で語れるモデルだったのだ。

まあでも、改めて考えると、それは当然のことかしれない。イギリス本社の倒産や進化が停滞した時代はあったものの、1901年から2輪業界に参入したロイヤルエンフィールドは、1920年代初頭に初の自社製4ストローク350ccc単気筒を生み出し、以後は約100年に渡って空冷ビッグシングルの熟成を続けてきたのだから。
ちなみにクラシック350の原点と言うべきモデルは、初のスイングアーム採用車となった1949年型バレット350である。

ロイヤルエンフィールド新型クラシック350。試乗車は前後フェンダーやタンクをメッキ仕上げとした最高級グレード「クローム」(66万6000円)。

ロイヤルエンフィールドが行った「エンジンとフレームの近代化」

前後ブレーキディスクが左→右に移動したり、マフラーのデザインが軽快になったりという相違点はあっても、新型クラシック350のパッと見の印象は、先代とほとんど同じである。ただし、2021年に登場したクルーザー・メテオ350の技術を転用する形で生まれた新型クラシック350は、このシリーズで史上最大となる改革を受けているのだ。

中でも最も注目するべき要素は、クランクシャフトの前部に振動を抑制する1軸バランサーを設置したことだろう。そしてエンジンに関しては、動弁系をOHV2バルブ→OHC2バルブ、1次減速をチェーン→ギヤ式、ミッションのシフト機構をプレート→ドラム式に変更したことも、ロイヤルエンフィールドの新世代ビッグシングルを語るうえでは欠かせない要素だ。また、基本的には伝統のダイヤモンドタイプを継承しながら、剛性向上に寄与しそうなボルトオン式のダウンチューブを追加したフレームも、新型クラシック350ならではの特徴である。

言ってみれば新型クラシック350は、先代までとは異なる姿勢で要所の近代化を図っているのだ。そのアプローチは、現代の技術で旧車の魅力の再現を目指したGB350とは対照的で、なかなか面白い図式だと思う。

フレームは一見ダブルクレードル風だが、途中で上下に分割される「ツインダウンチューブスパインフレーム」を採用。先に登場したメテオ350と同様の構造だ。

新型クラシック350のエンジン「クリアではなくても、強烈な燃焼感」

ここからはインプレ編。まずはエンジンの印象を記すと、オーソドックスな1軸バランサーを採用した新型クラシック350に対して、当初の僕は「本来の味気が薄くなる」か「意外に雑」のどちらか、という予測を立てていた。バランサーの設定はそんなに簡単ではないはずだし、そもそも革新的な同軸(実質的には2軸)バランサーを採用したGB350のような、不快な振動を見事に除去したクリアな鼓動感の構築は無理だろうと。

そして実際、新型クラシック350の鼓動感はGB350ほどクリアではなかった。とはいえ、一発一発の燃焼感、ロングストローク型の内燃機関がしっかり仕事をしている感は、むしろ新型クラシック350のほうが上だったのだ!!

もっとも、全域で見事に振動を調教しているGB350とは異なり、新型クラシック350の振動は、低回転域では程よく制御されているものの、回転の上昇に伴って徐々に増幅してくる。でも先代と比較すれば増幅の度合いは非常に小さく、先代では苦行という説があった高速道路での100km/h巡行は至って快適。つまり、新型クラシック350はバランサーの設定が絶妙で、1軸式でもここまで出来るのか……と、僕は素直に感心してしまった。

メテオ350から搭載が始まったOHC2バルブの新世代350cc空冷単気筒。ロイヤルエンフィールドではこのエンジンを「Jシリーズ」と呼称している。
ボア・ストロークは72×85.8mmで、最高出力20.2ps/6100rpm、最大トルク2.7kgm/4000rpmという性能。

同じくフロント19インチだが、GB350と似ているかというと……

一方の車体に関して興味深かったのは、GB350の開発陣が斬新な思想と技術を投入して実現したハンドリング、フロント19インチならではの安定感と軽快感、優しくて心地いいセルフステア、リヤから伝わるビッグシングルならではのズ太いトラクションなどを、新型クラシック350がごく普通に、当たり前のように備えていたこと。

いや、もしかしたらロイヤルエンフィールドも、ホンダのような解析を行ったのかもしれないが、新型クラシック350の車体構成は、あくまでも先代の構成やディメンションを継承しながら近代化を図った結果で、開発陣は何か特別なことをやろうとしたのではないと思う。

ただし、新型クラシック350の実際の乗り味が、GB350に似ているかと言うとそうでもない。車重は350cc単気筒としてはかなり重い195kgだから(GB350は180kg)、ハンドリングはまあまあ重厚だし、峠道をソノ気になって飛ばし始めると、GB350より早い段階で、新型クラシック350は足まわりが頼りなくなってくる。

といっても先代と比べれば、新型クラシック350の車体の限界は相当に高くなっているのだ。以下はタラレバの話になるけれど、前後ホイールがキャストの「ダーク」だったら、あるいは、GB350と同じダンロップGT601を履いていたら(新型クラシック350のタイヤはインドのメーカーCEATのZOOM PLUS)、峠道ではGB350と互角の勝負ができるのかもしれない。

フロントブレーキは300mmディスクにBYBRE製キャリパーの組み合わせで、前後ブレーキともにABSが装備される。フロントフォークはインナーチューブ径41mm。
リヤブレーキは270mmディスクでフロント同様にBYBRE製キャリパーを組み合わせる。リヤサスペンションは6段階のプリロード調整が可能。タイヤサイズはフロント100/90-19、リヤ120/80-18。
キャストホイールの「ダーク」シリーズ。エンジンやマフラーがブラック仕上げとなるほか、メッキパーツは控えめとして、マット調のボディカラーを採用する。

新車の入手はクラシック350のほうが容易?

さて、ここまでを振り返ってみると、何となく新型クラシック350のほうが優勢?……みたいな展開になってしまったけれど、僕はGB350も大好きで、安易に甲乙は付けられないと思っている。とはいえ、旧車好きや旧車に憧れている人の場合は、旧車感が濃厚な新型クラシック350に好感を抱く可能性は十分にあるだろう。

なおGB350はコロナ禍の影響で生産遅延が続き、登場時から新車以上のプライスタグを掲げる新古/中古車が存在する異例の状況になっているが、現時点(2022年8月)での新型クラシック350は、一般的な納期/定価での入手が可能である。もっとも生産国がインドということに一部の人は不安を感じるようだが、年間生産台数が60万台に達した現在のロイヤルエンフィールドは、一昔前の輸入車の定番だったマイナートラブルはほとんど無いようだ。

ただし日本の輸入元であるピーシーアイは、念には念をという意識で、輸入車では長めとなる3年の保証期間を設定している。そして日常整備や立ちゴケなどで必要になる補修部品に関しては、ピーシーアイ自身の倉庫だけではなく、多くのディーラーがストックしていると言う。

レポート●中村友彦 写真●柴田直行 編集●上野茂岐

ロイヤルエンフィールド クラシック350主要諸元

[エンジン・性能]
種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ボア・ストローク:72×85.8mm 総排気量:349.34cc 最高出力:14.8kw(20.2ps)/6100rpm 最大トルク:27Nm(2.7kgm)/4000rpm 変速機:5段リターン
[寸法・重量]
全長:2145 全幅:785 全高:1090 ホイールベース:1390 シート高:805(各mm) タイヤサイズ:F110/90-19 R120/80-18 車両重量:195kg 燃料タンク容量:13L *全幅と全高はミラー除く
[車体色]
ハルシオン:グリーン、グレー、ブラック
シグナルズ:グレー、サンド
ダーク:ブラック、グレー
クローム:レッド、ブロンズ
[価格]
ハルシオン:63万4700円
シグナルズ:64万2400円
ダーク:66万2200円
クローム:66万6000円

ヘッドライト上部のカバー、補助灯、フォークカバーと一体型のケースなど、ヘッドライト周りはロイヤルエンフィールドの伝統を継承したデザイン。
メーター周りも伝統を受け継いだデザインだが、燃料計などを表示するモノクロ液晶を装備。ハンドル下にはUSBポートも設けられ、装備面でも近代化が行われている。
前後別体式で、グラブバーがリヤシートに直接取り付けられている点など、ロイヤルエンフィールドらしいデザインのシート。前後シートとも十分な肉厚がある。
燃料タンク容量は13L。タンクパッドは一部車体色では非装備となる。
CONTACT

ロイヤルエンフィールド(ピーシーアイ)

http://www.royalenfield-tokyoshowroom.jp/

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