目次
■埃と錆にまみれていたコクピット周辺の手直しに着手。機能部分の再生作業には気を遣います。
ハンドル外しでの格闘から、研磨作業へ
今回も割と軽度な作業で終わるかと思ったものの、甘い考えでした。乗車時に視界に入る部分をやってみようかと手を出してみたら、案外大変でした。すっかり赤茶けていたハンドルは、外さずにできる部分を少し錆落とししておいたのですが、マスターシリンダーと一体のスイッチボックスやスロットルホルダーのネジが固くてなかなか外れず、ひとまず556を浸透させておいたのです。
しかし、スイッチボックスはプラスネジが錆で崩落してプラスのドライバーじゃ回ってくれず、タガネでドツキまくってマイナスドライバーを使えるようにしたり、スロットル側の6角の寸法がセット品の3mmや4mmではダメ。短絡的に4mmの6角をサンダーで削ったりという痛恨の失敗もありました。結局調べたら3.5mmって、ちゃんとあるじゃありませんか。取り寄せてみたらそれで外せました。
ハンドルはこれでようやく単体に出来、全体の研磨に取り掛かれました。それは良いとして、スイッチボックスの中の配線で外れやすい箇所やハンダの甘そうな部分は、後で点灯しないと困りますから、要チェック項目となりました。
そして、アッパーステムからひっこ抜いた上物を全部バラしてみましたが、ステアリング周りを外したついでに(今回掲載は省いていますが)、燃料タンク上に付いているメーターケースと左右タンク間に被さっているカバーの錆も落とすべく美化処置に掛かりました。
周りのゴム部材は簡単に取れたものの、薄いスチール板なので、曲げてしまわないよう木片の上に置いて、ポリッシャにあまり力をかけずに研ぎ、ジワジワと酸化皮膜と錆を落としました。
その際、下地の黒がなんだか炭化したような塗膜になっていて、ドライカーボンを削ったような乾いた微粒子が舞い上がるため、ゴーグルとマスクを活用。変に曲げずに剥がせたので、このカバーはしっかり脱脂した後、サフを吹いてからテスト的にソリッド(普通)のオレンジに塗ってみました。「ハーレーでブラックとオレンジなら悪くない組み合わせなのでは?」というシンプルな理由です。

■コクピット周辺を実際にバラす前の予行演習。ハンドルバーライザーは既にユルユルの取り付け状態。

■前ブレーキと一体の右スイッチボックス。+ネジが崩壊してたので強制的に➖️にネジ加工して外しました。

■スイッチボックス内も錆の粒子の侵食してなのか、アルミなのに赤かった。ハンダの箇所も何だか不安な状態。

■配線コネクターが緩んでいて、外れやすくなっていました。ここは対策しないと。

■スロットルホルダーの6角穴がセット形式の6角レンチにはない3.5mmサイズ。追加で3.5mmレンチを購入してきました。

■これでやっとハンドル単体に出来るようになった。コレは後日再クローム処理ですな。

■タンクのセンターカバーも機関車みたいな年季が……。これはポリッシャで剥がしましょう。

■240→400番と鉄素材の摩耗を気にしながら研磨。あまり念入りに磨かない程度で、タンクに置いてみる。

■概ねこれで良かろうというあたりでサフを吹いて、塗装にかかります。

■手持ちに丁度いいオレンジがあったので即決。黒とオレンジ、ハーレーには違和感が少ない配色ですね。

■上塗りは後日やることにして、縁ゴムを仮付けしてタンクに乗せてみます。だいぶ印象が変わりました。
別件作業で、リヤフェンダー部のスペーサーカラー製作
また別の軽作業としては、リヤフェンダーを留めているクロームのレールとフェンダーの間に入っていたスペーサーとして、ワッシャー数枚が使われていたので、アルミ材を旋盤で削り、一応専用のカラーを作ってみよう♪!と考えました。
しかし、手持ちの材料が無かったので、可愛い相棒カワサキKLX125で都内本所の非鉄金属専門店「大銅」さんへひとっ走り。草レースをしていた頃からいつも材料でお世話になっており、一般への小売もしてくれるのが有り難いお店です。カラーの長さとだいたいの近似値にカットしてもらい、上機嫌で帰着。
その後、旋盤で長さを合わせ、内寸をボルト外径より少し大きめになるまで中心の穴を拡大したらOK。鉄の大径ワッシャー5枚の重さよりも少し軽くなって、整備性も良くなっただろうとニヤリ。

■リヤフェンダーとフェンダーレールの間の固定用スペーサーが写真のワッシャー。細かいところですが、この味気ない感じが気になったので対策をしてみましょう。

■鉄の大きなワッシャー5枚の厚みを測ると、概ね7.5mm。この寸法を記憶。

■ここを外すとリヤサスの美化作業とサスの上下カバーも磨けますね。車体はフレーム下でジャッキがけ。

■20mm径前後のアルミ材が手持ちになかった。本所の「大銅」までKLX125でひとっ走りして調達。

■いつもお世話になる「大銅」の若旦那に、概ねの寸法にカットしていただきました。

■ショベルハーレーは、リヤフェンダー自体が割といい加減な作りなので、カラーは多少アバウトな寸法でもいいでしょう。

■ミニ旋盤でカラーの幅を調整したら、ジワジワと貫通穴も空けます。

■フェンダー側に付けた自作のカラー。これだけの事ですが、ささやかな満足感。リヤサスのピボットやサス自体もこの段階で錆落としと磨きを行いました。
ステアリング周りの取外しとライザー修正
比較的、楽ちんな作業の後が、問題のステム周辺です。実車を引き取りに伺ってトランポに積む際も車庫で動かす時も、ハンドルマウント部のグニャグニャ感が大きかったのと、力を入れるとハンドルが右に向いた状態がホイールの直進状態になるという”ネジレの法則”が発生。これをどうにかしたいわけです。
マウントに入っているであろうゴムブッシュが劣化していると想像がついたので、ネットで探してショベル世代のパーツをよく扱ってそうな販売店さんを捜索。前回プライマリーのガスケットでお世話になったお店とは別のお店に、ブッシュ類を発注しました。
そのパーツ捜索時に、「ハーレーは、年式によってブッシュとカラーを使ったラバーマウントと、ゴムブッシュを介さずにステムを固定するリジットマウントがある」ことが判明。そこで、両方発注してステムを挟んだ上下でマウントを変え、「両方の良いとこ取りが可能なのか?」を実行してみることにしました。
いい感じで腐食していたアッパーやハンドルライザーをほどほどに研磨し、フォークのトップボルトとステアリングピボットのキャップも軽く磨いておきました。後日クロームに出すかもしれないので、「研磨し過ぎると工場の作業者氏には却って困るかも?」と考えたゆえです。
そして、磨いたライザーの裏側から、処理済みのアッパーブラケットを純正のボルトで締め付けてみたところ、やっぱり並行が狂っていました。ものすごく脱力したのは言うまでもありません。
この日は作業をそこで終わりにして、数日後じっくりと並行を目指してライザーの底部修正作業をやってみました。まあ、何度外しては削って取り付けを繰り返したことやら……。根気と執念でどうにか許容範囲まで左右の歪みを矯正して、組み立てる事が出来ました。
この作業のお陰で、腰と背中が凝ってしまい、これをやった時期は銭湯で煮込まれるのがすっかり習慣に(泣き言です)。でも、この矯正によってハンドル周りが程よく固定出来たお陰で、取り回しが格段に楽になりました!

■再生作業の本題は、これらハンドルの支持部。ゴムのブッシュは想像通り、ゆるゆるに劣化。

■アッパーブラケットの、古いブロック塀みたいにヤレた質感が年月の重みを物語る。

■全部再めっきするより、塗装も良いのでは? と部品ごとに研磨具合を変えてみました。ステアリングのセンターナットも再めっきでしょうね(ここではまだ作業前)。

■銅下までで止めたハンドル固定カバー(上)と、程々まで研磨したアッパーブラケット(下)。

■アッパーブラケットを外してみると、フォーク上側はこんなふうにテーパー状になっていました。なんかテーパー部以外、エイプと構成は一緒で、フォークの突き出し量は「調整不可」なんですね~。

■ヘッドライトバイザーは、白サビだらけの年季の入った状態だったので軽~く研磨。

■ハンドルライザー(ポスト)下側を固定する部材を通販で購入。左が元々のブッシュ方式。HPで部品の状態が分かりやすいネオファクトリーさんやガッツクロームさんで、各種注文してみました。

■アッパーブラケットは防眩措置の発想で艶消しブラックに塗装。振動対策を重視するなら、こちらのゴムブッシュを介したマウント方式が良いのでしょうね。

■研磨を終えたライザーをアッパーブラケットに取り付けて、「気分は上々!」のハズだったのに……。

■おや? ライザーをきっちり締めるほどに、ハンドルとブラケットの平行が崩れていくぞ!?

■ハンドルのカバー(ここも艶消し黒に)は、ボルトが引っかかって回しにくいので穴を少し拡大。これだけの事ですが、ボルトがスルスル回って作業性は向上。

■ライザーの下面を何度も削って修正しては、ブラケットへの組み付けの繰り返し。

■夕方から始めて夜中まで削り&組み立てを試行し、ようやく妥当な感じになってきました。

■やっと、概ね並行に組み付けられた図です。予想外に難航したものの気分はスッキリ☆
というわけで、ハンドル周辺の作業、数枚の写真でご覧いただく限りだと苦労が伝わりにくいかもしれないのですが、結構時間がかかって苦心したんですよ。でも、その分ますますローライダーへの愛着が湧き、一層拍車がかかって他の部分の作業にも気合が入ります。劣化が進み過ぎて限界ギリギリ? という部品もあったので、次回以降にそのあたりもご覧いただきたいと思います。
それにしても、このショベルのローライダー。AMF時代のハーレーという時代背景もあって、昔の少々アバウトな作り込みが散見されます。外国製プラモを、タミヤやハセガワ製品の精巧さを目指して加工し直すような気分にもなりますね。 (時に辛くても楽しい♪努力は続く)

■タンクにもコンパウンドをかけて掃除をしてみました。当初の状態から、ジワ~っと進歩です。
写真と文●小見哲彦
小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。 大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。




































