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インタビュー【ホンダMotoGP】2025年は巻き返しなるか? 昨シーズン後半の改良で戦闘力アップの手応えあり!

HRC MotoGPチーム「2025年は組織とマシン開発の方法を変え、パフォーマンス向上を図る」

2024年にホンダ=HRCのMotoGPチームから参戦した4人のライダー(レプソルホンダチーム:ルカ・マリーニ、ジョアン・ミル/LCRホンダ:ヨハン・ザルコ、中上貴晶)は、ランキング17位(ザルコ)、19位(中上)、21位(ミル)、22位(マリーニ)だった。これは2023年よりもさらに下がったもので、22位はMotoGPのレギュラーライダーでは最下位であり、同時に5メーカーによるマニファクチャラーズランキングも前年同様5位──近年のホンダの低迷はここに極まった。

しかし、成績向上に向けた明るい材料がそろいつつある。
ひとつは、HRCの二輪レース運営室長にダカールラリーでの優勝などオフロード部門のマネージャーとして手腕を発揮してきた本田太一氏が就任したことだ。

本田太一●1996年本田技術研究所・朝霞研究所入社。市販車、レーサーともオフロード車の開発に長く携わり、2018年からHRCへ。レース運営室・オフロードブロックマネージャーに就任し、2020〜2021年にはホンダ34年振りのダカールラリー2連覇へ導いた。2024年4月からHRC二輪レース運営室長に就任。

「責任者になって感じたことは、タイムが伸び悩んでいる原因は当然ながらマシンにあるのですが、チームの運営体制にも課題があるのではということでした。このため、2025年に向け組織改編を行い、詳しくは明かせませんがマシン開発の方法も従来から変えることにしました」(本田)

マシンに関しては、出力とドライバビリティ向上の両立などエンジン特性と、空力を中心に変更・改良したという。ここでポイントとなったのは、2024年から施行されたコンセッション(優遇措置)だ。これはレースにおけるメーカー間の均衡を図るため、成績下位チームに対して特例的に自由な開発を許すもの。
シーズン中は原則禁止のエンジン開発やプライベートテストが行え、タイヤの使用本数も増やせる。HRCチームはこれを利用して、シーズン中にマシンのアップデートを行っていた。

「具体的には、細かな仕様変更を5回程度、大きな変更を1回行いました。その大きく変更したマシンを投入したのが、第14戦エミリア・ロマーニャGPからです。ここから(前年比で)タイムと成績の向上を果たすことができ、確かな手応えを得たと感じています」とは、2023年10月から二輪レース開発室長を務めている佐藤 辰氏。

ジョアン・ミルとルカ・マリーニはミサノ公式テストで新しいエアロパーツとパッケージのテストを行い、トップ10のライダーと同等のペースを記録。さらにヨハン・ザルコは、第15戦インドネシアでホンダ勢シーズン最高位の8位と9位を獲得。ザルコ同様に新加入のマリーニもシリーズ終盤に成績向上が見られた。

佐藤 辰●1999年本田技術研究所入社。市販車の開発発部門でCBR600RRなどの車体設計を担当。2003年から朝霞研究所MSD(現HRC)に異動し、RC211V、RC212V、RC213Vの車体設計に携わる。2016〜2018年はRC213Vの開発責任者を担当。2023年10月よりレース開発室長に。

2025年の目標は「トップ6入り」

2024年型RC213V:ゼッケン36がジョアン・ミル選手、ゼッケン10がルカ・マリーニ選手のマシン。

ただし、コンセッションがそれほど有利だったかというと、そうではない。2024年は3月から11月までの約8ヵ月の間に20戦が開催されたため、現実的にはレースと別個にテストをする時間が十分にあったわけではない。

「結局、ニューマシンを投入しても、それをテストできるのはレースウイーク中のプラクティスや予選になってしまうのが現実でした。ある意味、これは相当厳しい状況となりました。何しろライダーはその短いスケジュールでニューマシンに慣れないといけませんが、それは容易な事ではありませんでした。だから、ライダーたちはいつも120%で走らざるを得なかったと思います」(佐藤)

終盤戦でジョアン・ミルに転倒リタイアが目立ったのは、そういう状況が影響したとも言えるだろう。だが、その裏側ではデータ収集はしっかり行えたそうだ。

「四輪F1の方法論を学ぶなどで研究開発自体を変えた成果が確実に現れていると思います。具体的な『オールホンダ』のリソースを投入して性能は間違いなく向上しています。もちろん、現場での対応の素早さなど、ドゥカティのアドバンテージは依然大きいと認識しています。それにどう対抗するのかは大きな課題です」(本田)

2025年のHRCチームには、元アプリリアのテクニカルディレクターと、2024年で引退した中上貴晶、アレイシ・エスパルガロをテストライダーに迎えるなど陣容の刷新が続く。ヨーロッパ現地と日本との連携強化が狙いだろう。
「2025年はまずはトップ6に喰い込めることを目標としています。期待していただければと思っております」(本田)

レポート●関谷守正 写真●ホンダ/上野茂岐

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