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実際どうなの?「ライダースジャケットのオーダーメイド」名門“ルイスレザー”での実体験をレポート!! 気になる価格やオーダーの流れも解説

他人とかぶるとチョット気まずい!? オシャレライダーの繊細な心理

ライダーの皆さんなら、誰しもお気に入りのライディング用ジャケットがあることでしょう。ド定番のライダースジャケットや、サーキットやスポーツ走行に適した多機能ジャケット、はたまた雨風をシャットアウトするようなサバイバル系ジャケットなど、それこそ千差万別かと。バイクの数だけ、ライダーの数だけ似合うジャケットがある、といっても過言ではないでしょう。

ところがそんなお気に入りのジャケットが、知らない人とかぶってしまったという方も少なからずいらっしゃるようです。人気ブランドのトップレンジなどではよくある話かもしれません。気にならない方もいないではありませんが、パーキング・サービスエリアや道の駅などで同じジャケットを着た人にバッタリ出会ってしまったら……やっぱりどこか気まずい雰囲気になってしまうもの。

そこで、今回ご提案するのはそんな気まずい思いをすることのない、一生の相棒となるようなジャケットを手に入れようというアイデア。平たく言えば、オーダーメイドでライダースジャケットを作るということで、これなら誰とかぶることもなく、自分の身体やライディングスタイルにもマッチして、しかもレザーならば長持ちだってしてくれるのです。

また、オーダーで作るということは値段もそれなりに張り込むものですが、満足度の高さも支払う金額に比例して高くなることは間違いありません。一流ブランドであれば品質や仕上がりだって既製品の比ではありません。一度、オーダーを経験してしまうと、既製品では満足できなくなるのはこうした理由からではないでしょうか。

そんなオーダーの醍醐味、そしてリアルな面を、実際にライダースジャケットを作ったライダーをご紹介しつつお伝えしていきましょう。

創業から100年以上の歴史を刻む名門中の名門「ルイスレザー」

今回「ライダースジャケットのオーダーメイド体験」を語っていただくのは、トライアンフ・ボンネビルT120にお乗りの河原さん。テレビ局で番組制作に携わるオトナなライダーであり、愛車のカスタムもかなりのステージに到達しています。

そんな河原さんが、ライダースジャケットをオーダーしたきっかけは「自分のバイクライフに合うジャケットが見当たらない」という切実なもの。たしかにライダースジャケットは一般的なアパレルブランドでも人気の商品で、世の中に流通しているものは星の数ほど。「その中から、自分の体形はもちろん、バイクに乗るスタイルにマッチするものを探すのはムリ!」なるほど、雑な選び方をすれば前述の通り他人とかぶったり、品質に満足できないなど、選び出すご苦労をお察しします。「ならば、オーダーしちゃえ!ということで、いろいろ吟味してたどり着いたのがルイスレザーだったのです」 

ルイスレザーといえば、創業から100年以上の歴史を刻む名門中の名門。数多くの有名人に愛され、最近でも甲本ヒロトさんや、EXILEのボーカルATSUSHIさんや、TAKAHIROさんなど、スタイリッシュな方々の名前がずらり。また、映画やテレビ番組に登場したことも数えきれないほど。最近ではお笑い芸人がこぞって仕立てていることもご承知のとおりです。

河原さんも、そんなルイスレザーの虜になったひとりなわけですが、人気のブランドだから選んだ、というわけでもなさそうです。

「ライダースのスタイルというかデザインがいくつもラインナップしていて、気に入ったものがあったこと、そしてオーダーできる箇所がきめ細かく、そのわりに目玉が飛び出るような値段でなかったことが決め手になりました」

ルイスレザーの国内サイトを覗けば、ジャケットのデザインだけでも30種近くあり、これならどんなこだわり屋さんも気に入ったものが見つかることでしょう。その中で、河原さんが選んだのスーパーモンザというダブル袷(あわせ)に低い立ち襟「マンダリン・カラー」を装備したモデル。

肩と肘にはダイヤモンドステッチ入りのパッドが加えられ、ウエスト周りにはアジャスターベルトが左右に2本ずつ備わるなど、ライディングジャケットとしての性能も抜かりありません。

ちなみに、このスーパーモンザは1985年にイギリスで公開された映画「The Good Father」で、アンソニー・ホプキンスが着用していたモデル。アイコニックなデザインという意味でも認められているライダースジャケットに違いありません。

今回取材にご協力いただいた河原一久さんは、トライアンフ・ボンネビルT120を手に入れて以来、シートやサイドバッグなど数多くオーダーメイドをしてきて、ようやくルイスレザーでのオーダーメイド・ジャケットが届いたという趣味人です。
イエローとブラックの切り返しが印象的。ルイスレザーのスーパーモンザというジャケットをオーダーで仕立てたもので、お値段は20万円ちょっとだそう。「クオリティのわりにお手頃価格で助かりました」と河原さん。

オーダーの流れを解説!! サイズ以外には何をカスタムできる?

河原さんは原宿にあるルイスレザー本店でオーダー、採寸などを行ったそうです。まずは、気に入ったジャケット(河原さんの場合はスーパーモンザ)の既存サイズを試着して、オーダーのベースに選びます。そこから身長、胸囲、袖丈などの採寸が始まりますが、ライディングジャケットゆえの採寸個所も加わるのがルイスレザーの特長。

「そもそもイギリスのバイクはアメリカに比べて前傾で乗る場面が多いようで、どちらかといえば着丈が長めの仕上げが多いようです。背を丸めた際、短いとジャケットがまくれてしまうのを嫌ったのだと思います」

さすが、トライアンフのオーナーだけあって、イギリスのスタイルにこだわる河原さんです。

実際、ルイスレザーでは身長やジャケットのスタイルなどを考慮したアドバイスをしてくれるとのこと。そうして、仕上がったジャケットのフィッティングを尋ねてみると「腰回りのフィット感が抜群で、アジャスターベルトもアクセサリーでなく、しっかり調節機能として役立ってくれます。ハンドルを握って、上半身を前後左右に動かしても自然な感覚で、気になるところはひとつもない。これほど身体にマッチしてくれるとは予想以上でした」と大絶賛。

そして、ルイスレザーではサイズ以外にもレザーの種類やカラーが選べるというのも見逃せないポイントでしょう。

「どうしてもイエローのジャケットが欲しかった、というのもルイスレザーを選んだ理由のひとつです。牛や羊の革も魅力的ではあったのですが、イエローが選べるのは馬革だったので、このジャケットも馬革で仕立ててもらいました。硬いイメージがあったのですが、それはまったくの杞憂で、言われなければわからないくらいしなやかです」

撮影の際、実物に触らせてもらったところ、たしかに柔らかく、それでいてしっかりコシもありました。また、革の手触りも絶妙で「いいモノ」感がひしひしと伝わってきます。なお、馬革のカラーは黒や茶色といったスタンダードカラーをはじめ11色がラインナップ。レザーの進歩やいいモノづくりにかけては、やっぱり老舗の底力だと驚きを禁じ得ない感触でした。

このほか、ジャケットの内張生地や、内ポケットの追加、ジッパーの種類などオーダーならではの選べるポイントが盛りだくさん。中でも河原さんがこだわったのが「襟の内側、切り返しの色をブラックにして、ポケットの縁もあわせてブラックにしました。イエローのアクセントにはちょうどよかった」とのこと。

ライダースのお約束、ボールチェーンもまた黒いライニングに映えるアクセントといえるでしょう。

身長やベルト位置など緻密な採寸ゆえに、後ろ姿にも抜かりがありません。ルイスレザーはイギリスの伝統として、アメリカ製ジャケットに比べ着丈が長めの傾向。ちなみに、ブラックレザーのサイドバッグもスペインにオーダーした特注品だそう。
肩と肘に施されたダイヤモンドステッチのパッドは、スーパーモンザのスタイルを決めているポイントのひとつ。一般アパレルのライダースジャケットでは、こうした機能的なディテールはなかなか望めないかと。
肘のパッドも飾りでなく、広い面積がとられた安心設計。また「パッドの厚みが、中の暖かさも保っているよう」とのことで、寒い日には嬉しい装備といえるでしょう。
2本のアジャスターベルトはライダースジャケットらしいディテールですが、きちんと採寸された位置にセットされているので、締めつけた時でも妙にきつくなることもなく「最高のフィット感」をもたらしてくれるそうです。
ポケットの縁取りにはブラックを差し入れて、デザイン的なアクセントに。また、ライダースらしいボールチェーンや、ジッパーの種類まで選べるというのはルイスレザーらしいこだわりと言えるでしょう。
こちらは左の袖につけられたポケットで、これまたオーソドックスなライダースジャケットではお馴染みの装備。わりと容量もあるので、実用性も高いものになっています。
このタグはルイスレザーが飛行機乗りむけの製品をリリースしていた頃のものだとか。また、REAL HIDEの表記は馬革だけが使うものとされています。その下の42はベースとなったジャケットのサイズを表しています。
ルイスレザーのブランドネームがプリントされたレザーパッチ。実は、こちらもオーダーメイドでは写真にある長方形か、楕円形の2タイプからチョイスが可能となっています。昔はこの長方形だけだったそうで、クラシカルに仕立てたい河原さんは迷わずこちらにしたそうです。

やっぱりバイクに乗るならライダースジャケット

さて、オーダーメイドゆえのフィッティングの良さや、お気に入りのブランドでこだわって作った満足感など、メリットは大きいものですが、実際のお値段や納期というのも気になるところ。

ジャケットが届いたばかりという河原さんによれば「総額で20万円ちょっとでした。2022年の5月にルイスレザーが全般的に値上がりしているのですが、僕の場合はその直前にオーダーしたので、助かりました。納期は、オーダーした時点では半年ほどと言われたのですが、オーダー直後に起きたウクライナ危機がEU全体に影響したようで、結局は10ヵ月かかりました。1年は待つつもりでいたので、届いたときは嬉しかったですね」

撮影当日は天気が良くとも激寒な状況だったのですが「このジャケットなら風を通さない上に、上等な内張がついているので、風を切って走ってもさほど寒くないですよ」と河原さん。

実際、厳冬期の2月にお会いしたにもかかわらず、ジャケットの下には薄手のインナー1枚という身軽さでした。絶妙なフィットによってバイクのライディングをより快適にするだけでなく、寒さもしのげるというのはレザージャケットならではの魅力に違いありません。

さて、ライダースジャケットをオーダーで仕立てるアイデア、いかがだったでしょうか。受けとめかたは人ぞれぞれかもしれませんが、少なくとも河原さんのように心から満足できることは否めないはず。バイクをカッコよく乗るのには、バイクが完調であることと同様、カッコいいアイテムもまた重要ということ。余裕ができたら、ぜひオーダーメイドにチャレンジしてみてくださいね!

レポート・写真●石橋 寛 取材協力●河原一久さん/Lewis Leathers Japan

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