編集部さとうのVITPILEN 701日記

【編集部さとうのVITPILEN 701日記】06.rpm:“白い矢”と“黒い矢”を乗り比べたら予想以上にキャラクターが違った!?

バイクを買ったは良いものの休日にツーリングへ行く時間が作れていない二輪車WEBサイト「モーサイ」の編集部員、さとうです。
最近はバイクを眺め一服しながらビーナスラインを走った日のことを思い出し恍惚の表情を浮かべています(VITPILEN 701はタンクからテールにかけてのボディラインが非常にセクシーなんだナ)。

このVITPILEN 701日記を読んでいる方ならばもちろんご存知ですよね、黒い矢も。
そう、黒い矢はスウェーデン語にすると「SVARTPILEN」。つまりハスクバーナ・モーターサイクルズから発売されている同名のモデルのことを指します。

私が所有しているVITPILEN 701は白い矢の意味を持っているので、ハスクバーナ・モーターサイクルズのストリートモデルには「黒と白の2本の矢」、つまりVITPILEN 701とSVARTPILEN 701がある、というわけなんです。

セパレートハンドル・オンロードタイヤで公道でのスポーツ性の高い「VITPILEN=白い矢」と、アップハンドル・ブロックパターンのタイヤを履かせたフラットトラックレーサーのイメージを伝承した「SVARTPILEN=黒い矢」は共にエンジンやフレームなど各種装備を共通しています。違いと言ったら前述した通り、ハンドルとタイヤくらい。

では乗り味はどれ程違う?と当然の疑問が生まれます。

「ハンドルとタイヤ以外同じなら乗り味も同じでしょ?」
いえいえ違うんです奥さん。
その“ハンドル”と“タイヤ”がミソなんです。

「一体それがどれ程キャラクターの違いに影響するの?」という訳でさとう、乗り比べてきました!

 

そもそも何が違う?

SVARTPILEN 701が登場したときから、「VITPILEN 701同様デザインが非常に格好いい!」と思っていたので興味津々だった私。
ブロックパターンのタイヤを履くSVARTPILEN 701の方がVITPILEN 701より未舗装道路の走破性が高いことが容易に予想できるので、ステージの違うこの2台持ちもありかな? なんて思ったり。

そんな折、広報車としてSVARTPILEN 701をお借りできる幸運に恵まれたので、せっかくですから愛車VITPILEN 701とどのくらい違うのか比べてみたい! ……ということで、今回の企画が実現しました。

ではさっそく、両車の違いを詳しく見ていきましょう。

ハンドルとタイヤ以外に色、メーターの角度ヘッドライト周りのカウル、サイドゼッケンプレートを模したシートカウルの右サイド部分など、ぱっと見で違いがわかるのはこのくらい。
車体の各寸法もほとんど変わりはありませんが、シート高はSVARTPILEN 701のほうが5mm高い設定となっています。
この違いはサスペンションセッティングやタイヤサイズの違いによるものではないかと思います。

各所に細かな違いはありますが、やはり最大の違いはハンドルとタイヤでしょう。
特にタイヤは違いが顕著で、オンロードタイヤとブロックパターンタイヤという違いだけでなく、ホイールサイズも異なっているんです。

フロント・リアともに17インチホイールのVITPILEN 701に対し、SVARTPILEN 701はフロント18インチホイール・リア17インチホイールという構成。
通な方は「むむ!」と感じたことでしょう。フロントのホイールサイズがリヤよりも大きいということは、バイクの直進安定性が良くなるという利点がありますし、荒れた路面でもハンドルを取られにくくなるんですね。
これは未舗装道路走行を前提としているオフロードバイクやアドベンチャーバイクと同様のもの(とは言っても、それらのバイクのホイールサイズの違いは更に顕著)。

このことから、両者の乗り味はエンジンやフレームが共通でも多少差違があることが予想できます。
前置きはこれくらいにしてさっそく乗り比べてみましょう!

●ブレーキ・クラッチレバーは両車共に短め。4本指の操作には適さず、2本指で操作するのがベスト。クラッチは軽め

 

おぉ!? ぜんぜん違うじゃん!!

今回の試乗を行うフィールドは、千葉県の富津市および鹿野山周辺。当日は時に風速10mを記録する、荒れに荒れている空模様でした。
バイクをトランスポーターから出した途端雨が降り、遺憾なく雨男の肩書を披露してしまいました。いやはや、試乗するには良好とはいえないコンディションです。
ですがこの2台のバイクにはタイヤの空転を防止するトラクションコントロールが装備されているのでウエット路面も何のその! 悪天候でもあまり心配はないでしょう。

実際に走らせるために跨がってみると……ハンドルが異なるだけでこうも違うのか! と思ってしまうくらい、ライディングポジションをとったときに見える景色が違います。アップハンドルなので体が起きることと、VITPILEN 701より上半身の自由度が高いことが理由でしょう。

VITPILEN 701に比べて角度がついているメーターや幅広のハンドルが、なんとなくクルーザータイプのバイクに乗っているような感覚です。特にメーターは、VITPILEN 701よりも見やすい。
やる気にさせてくる乗車姿勢のVITPILEN 701と、優しくどこまでも走らせたいSVARTPILEN 701。跨っただけで既にこのような印象の違いを抱きました。

では、走行性能の違いはどうでしょう?
「どのくらい違いがあるんだろう!」なんて胸を踊らせながら走らせると、ん? あまり変わらない?
頭にクエスチョンマークを浮かべながらしばらく走り、ワインディングに入ったため加速しようとアクセルを開けてびっくり! 加速していく際の感覚がまったく違う!

エンジン性能は同一のため、実際に加速や出力特性に違いがあるわけではないのですが、乗り比べると面白いほどダッシュの印象が違うんです。
加速した際にGが腰から下に来るVITPILEN 701と、加速Gを体全体で受け止めるSVARTPILEN 701。個人的な感覚では、SVARTPILEN 701の方が強烈に加速している印象です。
当初「優しい」と思っていたSVARTPILEN 701も当然ながら「エキサイティング」なバイクなんだと思い知らされます。

とは言え、ゼロ発進から想定した速度に達するまでのスピードは、両車ともとてつもない鋭さを持っています。
アッパーミドルクラスのバイクの中でも超軽量な車体に備えるビッグシングルは、ピストンの上下運動がそのまま地面を蹴っているかの様な力強いエンジンフィーリング。
「ドドドドド!」というよりは「ダダダダダ!」と速足な印象を抱きます。

そして両者の違いが更に浮き彫りになったのはコーナリング。
自身が体重移動をし、それに合わせて機敏に反応し綺麗な旋回をするVITPILEN 701は、まさにオンザレール感覚のコーナリングマシンという印象。
対してSVARTPILEN 701は、VITPILEN 701よりもゆったりと旋回する感覚。アクションから1テンポ遅れて旋回する印象を受けましたが、恐怖を感じることもなく、軽快にコーナリングを楽しめます。
アップハンドルゆえに荷重がハンドルにかからず、VITPILEN 701に比べ自然にセルフステアが行われるのか、バンク中の感覚もより自然な印象です。
VITPILEN 701と異なる乗り味ではありますが、コーナリングが非常に楽しいバイクだと感じました。

上半身の自由度が高いSVARTPILEN 701はハングオンよりも、リーンイン・リーンアウトでコーナリングするほうが自然にマシンを操れます。コーナリングでバンクしている際も、実際より数度深くバンクしているような感覚を受けるため、体全体でバイクを遊ばせているような楽しさが感じられます。
また、ハンドルの切れ角がVITPILEN 701よりも広いのでしょうか? Uターンや取り回しがとてもしやすい(そもそも車体が軽量なので不安なく扱える)。
アップハンドルなので、低速域時の操作性が良好なのでしょう。コントロールが容易なのもうれしいポイントです。

タイヤと乗車姿勢の違いで、路面状況の悪い道でもSVARTPILEN 701はストレスな無く走ることができ、むしろ砂利道に入りたくなるような冒険心を刺激するマシンという感覚。両車の荷重のかかり方の違いやホイールサイズなど、さらに細かな部分はは素人の私にはわかりませんが、「この2台は全然違う!」ということだけはわかりました。

VITPILEN 701は速度を出せば出すほど面白いサーキットも攻められるバイク。SVARTPILEN 701はVITPILEN 701よりも低い速度からコーナリングを楽しめ、サーキットとは対極なフラットダート程度なら難なく楽しめる肩肘張らないバイク。
どちらも「乗っていて楽しい」というバイクにとても重要な要素を内包していますが、全く違うキャラクターのようですね。

どちらを買えばいいかと聞かれたら、「どんなツーリングをする(したい)のか」を考えながら試乗をすればいい と答えます。
ちなみにさとうは本気で2台持ちを考えました。と言うことで今回はここまで。
なお、嵐の中走った愛車は腰を抜かすほどに汚れており、「雨の日に行くんじゃなかった…」と思いながら洗車をするさとうでした。

 

ちなみにタンデムの乗り心地は?

ライダーの皆さんはタンデムを定期的にしたり、いつか気になるあの子を後ろに乗せたいという願望をお持ちの方が大半(?)だと思います。
となると気になるのはタンデムの乗り心地。VITPILEN 701のタンデム具合を紹介いたします。

私はタンデムをする機会が多いのですが、VITPILEN 701はタンデムシートが硬いのか、タンデマーは口を揃えて「尻が痛い」と言います(タンデムの時間は大体20分〜1時間ほど)。
まあそれは我慢してもらうとして……。ライダーはタンデマーがニーグリップをしてくれることが前提ですが、特に不安なく運転できます。

ライダー身長:170cm タンデマー身長:168cm

写真を見るとライダーとタンデマーの間に十分な隙間がありますね。
ライダーは多少前気味に座る必要はありますが、それが運転しづらい乗車姿勢に繋がる訳ではありませんので、普段と変わらず運転できます。

アップで見ると、タンデムステップの位置が高いのか少々膝が窮屈そう。
写真を見る限りではお尻も結構ギリギリで、タンデムシートはそれ程広くなさそうです。

では、タンデマーの意見も聞いてみましょう。
モーサイ編集部のひぐらしさーん!

ーー

はい、突如として「VITPILEN 701のタンデムシートに乗ってみてください!」と呼ばれたモーサイ編集部のひぐらしです。
乗車してみた感想ですが……「短〜中距離であればまったく問題ない!」といったところです。

触ってみた感じ固そうに思えるタンデムシートですが、実際に座ってみると想像以上に座り心地がいい! ちょっとコシの強めなシートとでも表現すればいいでしょうか? 若干固めながらも十分な沈み込みがあり、しかもグリップ性能も高いので、安心して座ることができます。
しかも前後長や幅がこれまた見た目より広いので、ポジションの自由度はかなりのもの。
ステップが高い位置にあるので膝まわりが窮屈ではありますが、短距離から中距離くらいのタンデムであればそれほど問題はないでしょう。
もし長距離タンデムでお尻がいたくなる場合は、ゲルザブなどを使うなどの方法も有効じゃないかと思います。

また、VITPILEN 701はライダーが比較的前傾姿勢で、かつフロントシートよりタンデムシートのほうが1段高い位置にあります。
つまり……すごい見晴らしがいい! タンデマーの前方視界はかなり広いので、景色を楽しむことも容易です。加減速の際にお互いのヘルメットがガンガン当たることもないですよ。

ただし、タンデムに乗り慣れていない人を後ろに乗せる場合は要注意。
ライダーとの距離があるのでタンデマーの体が固定しにくく、慣れていないと妙に力が入って疲れてしまうかもしれません。
適度なタイミングと強さでニーグリップを行ったり、加減速の際のコツをタンデマーも掴んでおいたりすれば、かなり快適にタンデムツーリングできると思いますよ♪

 

SVARTPILEN 701主要諸元

●メーカー希望小売価格:135万5000円(税込)
●エンジン型式:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
●総排気量:692.7cc
●最高出力:55kW(74hp)/8500rpm
●最大トルク:72Nm/6750rpm
●変速機:6速
●タイヤF/R:110/80-R18″/160/60-R17″
●ホイールベース:1436±15mm
●シート高:835mm
●燃料タンク:約12L
●車輌重量:約158.5kg(燃料除く)
●保証期間:2年間
●生産国:オーストリア
※主要諸元はEU仕様のものです。日本仕様では値が異なる場合があります。

 

CONTACT

問い合わせ先 ハスクバーナ・モーターサイクルズ・ジャパン
URL https://www.husqvarna-motorcycles.com/jp/
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