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正規販売なのに「日本車でも輸入車」がある! 逆輸入車や並行輸入車とは違うのです

輸入車の定義とは?

「輸入車」という言葉から、どんなイメージが浮かぶだろうか。直感的には海外ブランドのモデルが思い浮かぶことだろう。とはいえ、ブランドイメージと輸入車であるかどうかは、ある意味で無関係ともいえる。

実際、JAIA(日本輸入車組合)の発表している統計データ(乗用四輪車)を見ると、2022年度の輸入車新車販売におけるトップはドイツのメルセデス(5万2703台)だが、4位にはトヨタ(2万8319台)、6位には日産(1万9199台)といった国産ブランドの名前も確認できる。

日本のブランドなのに輸入車扱いのモデルが存在しているのだ。

これらの多くは、各メーカーの海外工場で生産され、日本で正規販売されているモデルだ。トヨタでいえばハイラックス、日産ではキックスといった車種が海外生産されている。ちなみに、どちらもタイが生産拠点だ。

何をもって正しいというかは議論のあるところだろうが、自動車業界的には「輸入車」というのは、海外から日本に輸送され、日本で登録した車両を示す言葉というのが、業界の正しい定義ということになる。

二輪車にしても、たとえばホンダのCT125・ハンターカブは、タイの現地法人が開発から生産まで担っているのは知られている。グローバル化が進む中で、国産ブランドであっても「輸入車」であることは珍しくなくなっている。

日本メーカー四輪車の海外生産モデル例

トヨタ ハイラックス。「Toyota Motor Thailand」で生産されている。
日産 キックス。「タイ日産自動車」で生産されている。

■備考
トヨタ ハイラックスのwebで公開されている諸元表には「製造事業者:Toyota Motor Thailand Co.,Ltd.、トヨタ自動車株式会社 輸入販売元:トヨタ自動車株式会社」と書かれている。また、日産ではwebで各モデルの生産工場(国内・海外問わず)を公開している。

日本メーカー二輪車の海外生産モデル例

ホンダ CT125・ハンターカブ。タイの「Thai Honda」で生産されている。

ヤマハ YZF-R3。インドネシアの「ヤマハインドネシア モーター マニュファクチャリング」で生産されている。

スズキ Vストローム250。中国の「常州豪爵鈴木摩托車有限公司」で生産されている。

カワサキ ニンジャ400。タイの「Kawasaki Motors Enterprise (Thailand)」で生産されている。

「並行輸入」「逆輸入」の定義とは?

一方、販売店の現場では「並行輸入」や「逆輸入」という用語が使われていることも珍しくない。
こうした言葉の定義は明確ではなく、海外から持ち込まれた国産(日本ブランド)車ということで「逆車」(ぎゃくしゃ)といった言葉でひとくくりにされることもある。

それらもふまえつつ、輸入された国産ブランドのモデルを整理すると以下の3パターンがあるだろう。

ひとつには、冒頭で触れたようなパターンで、メーカー自身が自社の海外工場で作った車両を日本で正規販売しているケース。

もうひとつは、海外で販売されている車両をなんらかのルートで日本に持ち込み販売しているケースだ。この場合、車両の生産拠点が国内の場合と、海外の場合とにわかれる。

古くから逆輸入車と呼ばれているのは、おそらく前者のパターンが多い。日本国内では販売されないモデルや、国内販売されているモデルの海外仕様(馬力規制などがなくフルスペックになっている等)を日本に輸入するというスキームで、いったん日本から海外に輸出された車両が、再び戻ってくることから「逆輸入」という言葉が生まれたと考えられる。

「並行輸入」というのは、業界的には正規ルートではない輸入車を想起させる言葉だ。かつて四輪では海外ブランドの、正規輸入元では取り扱っていない左ハンドル車を好むユーザーニーズに応えるスキームとして使われることが多かった。

そのほか、トヨタ・タンドラなど北米市場向けピックアップトラックや、ホンダ・パイロットといった大型SUVなどを求めるユーザー向けに輸入・販売することも「並行輸入」と言われている。

昨今の二輪では、海外生産・海外専売モデルを輸入している場合に「並行輸入」という言葉が使われることが多い印象だ。

二輪車の「逆輸入車」例

映画『トップガン』で多くの人におなじみのニンジャことカワサキ GPZ900Rだが、1984年のデビュー時は「輸出専用車」だった。というのも、当時の日本メーカーでは国内販売モデルは上限排気量750ccまでという自主規制を行っていたためで、国内には750cc版のGPZ750Rが投入された。自主規制解除後、日本国内仕様が登場する1992年まで、GPZ900Rは逆輸入車でしか入手できなかったのだ。

日本メーカー四輪車で「並行輸入車」と呼ばれる例

トヨタが北米市場向けに販売する大型ピックアップトラック「タンドラ」。アメリカで生産されている。エンジンは3400ccのV6ツインターボ。

ホンダが北米市場向けに販売する大型SUV「パイロット」。アメリカで生産されている。エンジンは3500ccのV6。

日本メーカー二輪車で「並行輸入車」と呼ばれる例

ヤマハ FZ-X。インドヤマハが生産。エンジンは150ccの空冷単気筒。

ホンダ CB190SS。ホンダの中国の合弁会社である五羊ホンダが生産。エンジンは190ccの空冷単気筒。

「日本車なのに輸入車」その3形態をまとめると……

メーカー自身が海外で生産して日本に輸送して販売しているモデルについては、統計上は輸入車扱いとなるが、販売現場では国産モデルという認識で扱われていることが多い。それは、輸入車であることを殊更に意識する必要はないからともいえる。

一方で、日本で作った海外仕様をふたたび日本に持ち込む「逆輸入」や、海外生産モデルを独自のルートで日本に持ってくる「並行輸入」については、メーカーの正規販売ではないことが、レアなモデルという希少価値を生んでいる。

そのため、販売現場において「逆輸入」や「並行輸入」といった言葉が使われるのだろう。

改めて言えば「逆輸入」や「並行輸入」という言葉の定義がどこかで決まっているわけではない。
そのため海外生産の海外専売モデルも「逆輸入車」と呼んでいることもあるが、極論、それも間違いというわけではない。前述したようにメーカー自身による正規輸入車以外を「逆車」とまとめてしまうのは、ある意味で合理的といえるかもしれない。

レポート●山本晋也/上野茂岐(写真キャプション) 編集●上野茂岐

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