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ホンダ、原付二種の電動スクーター「CUV e:」を6月発売。公称航続距離は57kmだが、 開発エンジニアによれば「日常ではもっと伸びるかも」

ホンダ CUV e: 電動バイク 原付二種 EV

■ホンダ「CUV e:」

「エンジン屋」が「モーター屋」に

ホンダは、2025年3月21日(金)~23日(日)に開催された「第41回大阪モーターサイクルショー2025」の開幕に合わせて、電動二輪パーソナルコミューターの「CUV e:」を2025年6月20日から日本でも発売することをアナウンス。会場には実車も展示された。スマートフォンとの連携も深め、アップデート機能も搭載。モーターはホンダ独自開発で、「パワーユニットのホンダ」として静かに前進!

動力性能は110ccスクーターを超えるほど

ホンダは、欧州で販売するホンダ電動二輪の第2弾として2024年11月のEICMA(ミラノショー)で発表したCUV e:を、日本市場にも導入すると発表した。定格出力0.98kWで、日本では原付二種クラスに相当。タンデム用の装備もある。

全国のホンダ二輪EV取扱店で6月20日に発売され、価格は消費税込み52万8000円(車体本体+バッテリー2個+チャージャー2個の参考価格)となる。

大阪モーターサイクルショーで、開発責任者の後藤香織さんにお話をうかがったところ、「測定方法や表示方法などに違いはありますが、動力性能に関しては基本的に欧州仕様と同じ」とのこと。

最高出力は6.0kW(8.2ps)、最大トルクは22Nm(2.2kgf-m)となっており、最高出力では110ccクラスのICE(内燃機関)スクーターと同等(例えばディオ110は6.4kW)、最大トルクでは250ccクラスのICEスクーターに迫る(フォルツァは24Nm)。

車重は120kgで、そもそも軽量を誇る96kgのディオ110よりはだいぶ重いが、116kgのリード125とほとんど変わらない。シート高は766mmで、これも760mmのディオ110やリード125と同等。

これらのことから、もちろん動力特性や車体の重量バランスなどに違いはあるものの、CUV e:は既存の原付二種ICEスクーターと同じような感覚で操縦できることが推測できる。これについては後藤さんも、以下のように自信をのぞかせた。

「(日本仕様としては発表していないが)最高速度は83km/h。トルクがあるため、登坂についてはより力強さを感じられると思います。しかも今回のCUV e:は、3タイプのライディングモード(とリバースモード)を搭載。このうちスポーツモードは、EVならではの力強い加速やスロットルレスポンスの良さを、より体感していただけるようにセッティングしています」

ホンダ「CUV e:」の車名エンブレム。「e:」はホンダの電動スクーターシリーズで共通に使われている

ホンダ独自開発のモーターで、新たなステップへ

今回のCUV e:は、着脱式のホンダモバイルパワーパックe:をシート下に2個搭載。このバッテリーは、すでに広く活用されているが、スイングアームを兼ねたアルミ製パワーユニットケースに内蔵されているモーターは、新たにホンダ独自開発されている。

後藤さんによると、「完全新規設計により内製しています」とのこと。「詳しい回答は控えさせていただきますが、EVモデルのモーターというのは、ICEスクーターのエンジンに相当するので、できるだけ内製していきたいという想いがありました」と語る。

これまで、「エンジンのホンダ」あるいは「エンジン屋」と称されてきたホンダ。一方でグローバル目標として、2030年までに大型スーパースポーツを含む電動バイク30機種のリリースと、同年の電動バイク年間販売台数400万台達成を掲げており、そこにモーターは欠かせない存在だ。

後藤さんも、「もちろん、機種により最適な手段を検討していきますが」と前置きしたうえで、「基幹部品として、やはり生産技術を獲得していくことが重要と判断したのが、モーター独自開発の大きな理由のひとつ。CUV e:に導入したモーターを、今後のモデルに展開することも視野に入れています」と回答する。

「エンジン屋」が「モーター屋」になるかもしれない未来に向け、今後もEV二輪車に関するホンダの動向から目が離せない!

動力源としてホンダモバイルパワーパックe:をシート下に2つ搭載。
モーターは、新たにホンダ独自開発。

装備充実。“デュオ”になったホンダロードシンクがスゴい!

CUV e:は、スクーターとしての便利な装備も充実しており、フロント左側にはUSBタイプC電源ソケット内蔵のインナーボックス、その右側(ハンドル下部中央)にはカバンやコンビニ袋をかけられるフックを装備。スマートキーシステムも採用されている。

バッテリーを内蔵するため、シート下のラゲッジボックスは雨具や工具などが入る程度だが、これを補うトップボックスを簡単に装着できる大型リヤキャリヤも標準装備。純正アクセサリーとして、すでに2タイプの35L容量トップボックスも設定されている。

そして最大の注目ポイントは、7.0インチというスクーターとしては大型のTFTフルカラー液晶メーターと、スマートフォンとの連携を可能にしたHonda RoadSync Duo(ホンダロードシンクデュオ)の採用だ。

まずメーターは、反射を抑えて視認性向上に寄与するオプティカルボンディング技術や、車両が受信するGPSにより自動で時刻を補正する機能を搭載。左手側の新設計マルチセレクションスイッチにより、直感的に操作できる。

そして、2024年型から一気に導入車種を増やし、CBR400Rなどにも採用されているホンダロードシンクは、市販車初の“デュオ”仕様に進化した。スマホとの連携により、ハンドルスイッチで通話やミュージックアプリの操作、ターンバイターンナビの表示などができる点は従来同様ながら、“デュオ”は大画面ということもあり表示や操作がよりわかりやすく、フルマップのナビ表示も可能。

後藤さんによると、「一番の大きな進化は、車両側の情報をスマホアプリが読めるようになったこと。これにより、例えばナビで目的地を設定しているときに、そこまでの距離に対してバッテリー残量が足りないと予想されるときは、バッテリー交換ステーションを中継する最適ルートを自動提案する機能などが盛り込まれています」という。

ちなみにバッテリー交換ステーションは、エネオスと国内二輪4メーカーが共同で設立したガチャコが運営するバッテリーシェアリングサービスの設置場所を指し、現在は東京都を中心に大阪府と埼玉県にもある。電気自動車の場合、近隣の充電ステーションをナビ表示してくれるが、バッテリー交換ステーションの数と設置地域がより増えれば、同じような利便性を得られるだろう。

「そしてもうひとつ、OTA(無線通信を介して、ソフトウェアアップデートなどを含む車両とのデータ送受信を行なうオーバー・ジ・エア技術)ができるようになったこともポイントです」と後藤さん。これにより車両購入後も、メーター表示やモーター制御などに改良があったときに、スマホの電波を介してアップデートが可能となり、常に最新の状態で乗ることができる。これも、一部のクルマにはすでに導入されている技術だ。

大型キャリアを標準装備、フックも4つ設けられている
ハンドル左側にはマルチセレクションスイッチ
スマートフォンとの連携を可能にしたHonda RoadSync Duo(ホンダロードシンクデュオ)を採用
大型のTFTフルカラー液晶メーターを採用。航続距離など走行に便利な情報を表示
メーターは反射を抑えて視認性向上に寄与するオプティカルボンディング技術を採用

実際の航続距離は諸元値よりも長い?

最後に、EVと言えば何より気になるのが航続距離だ。ホンダモバイルパワーパックe:は、ホンダパワーパックチャージャーe:を使うとゼロから満充電まで約6時間。つまり、一般的な生活なら夜寝ている間に充電は完了するが、それでどれくらい走れるのかはとても気になる。

そこで主要諸元表を見てみると……、「1充電走行距離57km」とある。ちょっと少なく感じるが、これは日本での国土交通省届出地で、原付二種クラスは1名乗車時の60km/h定地走行テスト値(車速一定でのテスト値)となっている。後藤さんによると、「(国際基準となっている)発進、加速、停止などを含むWMTCモード値だと70kmを超えます。やはりEVは、高速域をずっと走り続けるほうが電力消費が多くなりがちです」とのことだ。

日本における原付二種の法定最高速度は60km/hだが、信号などのストップ&ゴーが多い都市部では、最高速付近で巡航するよりも、発進と加速と減速を繰り返すことのほうが多いだろう。WMTCモード値と同等の“電費”なら、片道5kmを毎日往復しても1週間は充電あるいはバッテリー交換ナシで持つ計算。まあ、これはあくまでも理論値だが、都市型パーソナルコミューターとしてはけっこう使えるのではないだろうか?

レポート●田宮 徹 写真●モーターサイクリスト編集部

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