弊社のお肉大好き編集部員いわく、信州には様々な食事(肉)がそれはもう長い歴史に裏打ちされた“美味しさ”を誇るのだという。
そこで今回は、ツーリングライダーに人気の信州で食べることができる、多種多様なお肉を紹介しよう。
是非とも諸君のツーリング先での食事計画に役立てて欲しい。
豊富なワインディングと首都圏との近さから関東ライダーのツーリングエリアとして絶大な信頼が寄せられている信州、走りだけでなく食事でも楽しんでみよう。
※本記事はMotorcyclist2019年9月号に掲載されていたものを再編集しています。
りんごで育てた、「りんご和牛信州牛」
『すき楼』は銘柄牛をリーズナブルに食べられる店として地元でも人気。
長野県長野市三輪1-25-18 TEL:026-256-8203
『すき楼』で味わえる、『りんご和牛信州牛』のすき焼き。割り下は長野風で少し甘め。
お肉は5段階の真ん中、トモサンモモ(1人前3600円)でこのサシ。
しかし脂にしつこさや臭みはなく、柔らかでうまみが強く、するりとひと口で食べられてしまう。
サーロインステーキは200g/3200円と、銘柄牛としてはかなり安い。
こちらもジューシーでさっぱり。
りんご和牛信州牛はこの銘板のあるお店で( www.shinshugyu.net 信州牛生産販売協議会のホームページにもリストがある)
すき焼き鍋にひく脂はケンネ脂(牛脂では最上級の腎臓周りの脂)。
「鶏肉」は山賊焼と焼き鳥が熱い!!
居酒屋『一歩』で食べた『松本山賊焼』はしょうゆと味噌で味付けされ、かつ絶妙な揚げ具合で箸が止まらなかった。
松本発祥と言われる山賊焼には"松本山賊焼・五か条"なるものがあり、使うのは1枚もののムネ肉かモモ肉である。
市内では200店舗以上で提供されており、それぞれ味付けは異なるが、ショウガを入れることも五か条で決められている(価格は1000円)。
こちらは長野市内の『かよう亭』(TEL:026-234-5940)で食べた『焼き鳥コース』(2000円で計11品)の一部。
どれもこれも絶妙の焼き加減で、柔らかく鶏本来の風味が堪能できる。
焼き方を務めるご主人は「使っているのはそこらの鶏だよ」と言うが、三枚中一番上のレバーの色艶や味わいは、丁寧な下処理だけではないはず。
ご当地ポークが続々誕生! 「豚肉」
長野県における県民ひとり当たりの豚肉年間購入消費量は6kgで、全国24位と比較的多い(一説では後で紹介する味噌との相性が良いからとも言われている)。
県内消費量の約3割を占めるJAグループブランドの『信州ポーク』は、県全域で13の銘柄があり、中には牛肉同様、脂のオレイン酸含有量にこだわっている物や、養命酒の製造企業が飼育するSPFポークも存在している。
とんかつやポークソテーは、県下全域で手軽に食べられるはずだ。
長野でも最も古い食肉文化「馬肉」
馬肉で最も有名なのは熊本県だが、その消費量で1位の熊本に次ぐのは長野である。
したがって、豚肉同様に県下全域、それこそどの飲食店でも食べられるくらいにポピュラーな存在である。
そもそもは輸送や農耕に使われていた馬が廃馬になった際に食用にし、その習慣は明治時代にだんだんと広がり馬肉の需要は高まっていったという。
特に南信の飯田や伊那では、肉と言えば馬肉を指すほど古くから馬肉を食べていたようで、郷土料理『おたぐり』(馬のもつ煮。特に腸を使う)などは現在も伊那周辺で食べられる。
山里だからこそのジビエ「鹿肉 & 猪肉」
山深い長野は野生動物も多く、鹿や猪を始めとするジビエ(狩猟した野生鳥獣の食肉)の宝庫だ。
写真は諏訪湖にも近い茅野市にある『匠亭』(TEL:0266-73-4862)の鹿肉ステーキ(セット2100円)と猪肉丼(1500円)。
ジビエでは捕獲はもちろん、その後の下処理や保管方法で味や品質は大きく変わる。
的確に処理されたジビエは臭みもなく、滋味あふれる味わいだから、未体験なら一度は試してみる価値はある。
衛生状態も含めて長野県では認証制度を設けているので、このガイドラインをクリアした店で楽しむことをお勧めする(『信州産シカ肉認証制度』に沿った店舗は www.shinshu-gibier.net信
州ジビエのホームページに詳しい)。
「羊肉」といえば、やはりうまいジンギスカン!
長野のジンギスカンのルーツは、戦前の満州入植者で最も割合の多かった長野県出身者が羊料理を持ち帰ったことだという。
現在のジンギスカンは、衰退した羊毛種の代わりとして昭和57年に導入した食肉用のサフォーク種で、臭みのないより食べやすい羊肉はステーキや焼肉でも楽しめるようになり、店舗が並ぶ信州新町の国道19号沿いが『ジンギスカン街道』として評判になったのだ。
写真は『レストランむさしや』(TEL:026-262-2822)のサフォークラム盛り合わせ(3990円)とジンギスカンハーフ&ハーフ(1300円)。
高たんぱく摂取の知恵「虫」
虫は主に伊那谷地方で食べられていたもので、右から絹かいこ(カイコ蛾のさなぎ)、はちの子、いなご(いずれも煮付け。写真は盛り合わせだが先に紹介した『一歩』では単品で550円、はちの子は650円)。
珍味だが、酒のつまみにももってこいで、苦手でなければ是非とも試してほしい。
絹かいこは桑の葉の風味なのか、葉の香りと言える苦みが特徴。はちの子は多少パサパサした食感で、ほんのり甘い。
いなごは柔らかい小エビの唐揚げを食べているような食感で、味に特徴はない。
この他にザザ虫(水棲昆虫の幼虫)も有名だ。
信州味噌の起源「安養寺味噌」
信州味噌のルーツは、鎌倉時代に禅僧・覚心が中国から持ち帰った味噌作りの技法にあるという。
その覚心が開山したのが佐久市にある安養寺と言われ、周辺では味噌作りが行われていたという。
現在、安養寺の圃場で収穫した大豆を使った味噌を『安養寺味噌』として、佐久市内の和泉屋商店が製造販売している。
この味噌を80%以上使った味噌ラーメンが、佐久市内を中心とした18店舗で食べられる『安養寺ラーメン』だ。
いわゆるご当地ラーメンとしては比較的新しいもので、詳細は信州佐久安養寺ラーメンの公式サイト anyouji-ramen.comに詳しい。
写真はその中の、麺匠文蔵の安養寺らぁめん(780円)。豚骨味噌のまろやかな味わいが特徴で美味しい。
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