バイクを選ぶとき、またがった際にどの程度足が地面に届くか=足着き性を重視する人も少なくないのではないでしょうか。
足着き性が良ければ、停車時はもちろんのこと、Uターンなど低速走行時も安心感がありますしね。
その足着き性の目安となるのが「シート高」です(カタログ等にも記載されています)。軽量コンパクトな車体で扱いやすいイメージがある人気の250ccクラスですが、なかにはそのシート高の数値が大型バイク並みに高く、体格によっては少々注意が必要な車種も。
ただし、必ずしもシート高が高い=足着き性が悪いというワケではありません。車体の横幅など(股下の開き具合が影響)の要素もあるからです。
そこで、当記事では250ccクラスなかでもシート高数値が高いオフロード&アドベンチャーに身長159cmの女性ライダーが乗車し、実際に足着き性をチェックしてみました。なお、いずれの車種もシート高は800mm級となっています。
ホンダ CRF250L オフロード車らしく、シート高はかなり高めの875mm

ホンダ CRF250L。エンジンは249cc水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒で、最高出力24馬力。シート高875mm、車両重量144kg、最低地上高255mm。価格は50万7100円。
オフロードの走破性を高めるためフロント21インチ、リヤ18インチのホイールを採用し、最低地上高は255mmを確保。というわけで、シート高は875mmとかなり高い部類です。
身長159cmのテスターの場合、またがればサスペンションは多少沈み込むものの、足をそのまままっすぐ下ろすと両足では接地しません。サイドスタンドを払うのもやや苦労するレベル。ただ、またがってしまえば安定するので、足を着くのは片足だけと割り切ってしまえばギリギリ普通に乗れるレベルかも……とのことです。
なお、CRF250Lにはサスペンションをローダウンした「Type LD」というグレードが用意されています(スタンダード車と同価格)。こちらのシート高は830mmとなっているので、試乗車・展示車がある場合はまたがり比べてみてください。
カワサキKLX230 シート高はトップクラスの885mm

カワサキKLX230。エンジンは232cc空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒で、最高出力19馬力。シート高885mm、最低地上高265mm、車両重量134kg。価格は49万5000円。
クローズドコース専用のKLX230Rとエンジン・車体など基本構成を共用しつつ、公道を走れるオフロードスポーツ車として開発されたKLX230。
オフロード車の定番となるフロント21インチ、リヤ18インチのホイールを採用し、最低地上高も265mm確保されているのですが、半面、シート高は国産250ccクラスではトップクラスに高い885mmとなっています。
身長159cmのテスターの場合、シートに座ってしまうと両足は地面に届かず完全にプラ〜ンという状態。シートからそれなりにお尻をずらして、何とか片足が着くというレベルでした……。オフロードバイクに乗り慣れていない人や、初心者ライダーは少々注意が必要かもしれません。
ヤマハ セロー250 シート高830mmだが、多くの人から愛されるのにはワケがある!

ヤマハ セロー250(ファイナルエディション)。エンジンは249cc空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒で、最高出力20馬力。シート高830mm、最低地上高285mm、車両重量133kg。価格は58万8500円。
初代セロー225の発売から35年、250になってからも15年の歴史を重ねてきたセローシリーズ。
残念ながら2020年1月、セロー250ファイナルエディションの発売とともに生産終了のアナウンスがされましたが、今に至るまで多くのライダーから愛されているオフロード車です。
オフロード車としてはフルサイズとなるフロント21インチ・リヤ18インチのホイールを採用するほか、最低地上高も285mm確保されており、シート高は830mm。
数値としては高い部類に入りますが、サスペンションの沈みこみもあり意外なほど足着き性は良好なのです。身長159cmのテスターでも、両足でつま先から約1/3くらいが接地します。また、車両にまたがったまま安心してサイドスタンドを払うことができる点も安心感があるとのこと。
初めてのオフロード車としてセローを選ぶ人が多い理由はココにあるのかもしれません。
カワサキ ヴェルシス-X 250ツアラー パッと見、大柄だがシート高は815mm

カワサキ ヴェルシス-X 250ツアラー。エンジンは248cc水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒で、最高出力33馬力。シート高815mm、最低地上高180mm、車両重量183kg。価格は70万4000円〜72万500円。
四輪のSUVのように、オフロード車のテイストを取り込んだ「アドベンチャー」というジャンルが大排気量車では人気を集めていますが、250ccクラスにも「アドベンチャー」のトレンドが。
このヴェルシス-X 250ツアラーもその1台で、フロント19インチホイール、パニアケース、ハンドガード、フレームガードなど装備も大排気量アドベンチャー顔負けの内容です。
そのため一見大柄に見えますがシート高は815mmで、身長159cmのテスターの場合、両足つま先(というか指先)が接地します。内ももでタンクをホールドしやすいので、停車時には安定させやすく、足着き性の割に不安感は少ないとのこと。
ヤマハ トリッカー シート高は810mmだが、軽量スリムな車体で恐さなし!

ヤマハ トリッカー。エンジンは249cc空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒で、最高出力20馬力。シート高810mm、最低地上高280mm、車両重量127kg。価格は47万6300円。
オフロード車かと言われると違う気もしますが、トライアル車のようなスタイルでちょっとした林道走行などもこなせてしまうトリッカー。エンジン・フレームはセロー250と共通で、セローの兄弟車と言える存在です。
ホイールはセローより小径となるフロント19インチ、リヤ16インチとなっており、シート高は810mm。加えて、セロー同様に車体幅もスリムなので、足を開くことなくまっすぐ下ろすことができます。
身長159cmのテスターでは、両足で足の裏半分(つま先から土踏まず手前くらいまで)くらいが接地。810mmという数値からすると、意外なほど足着きはいいし、車体も軽量なので不安感もないそうです。
なお、2004年に登場し多くのファンがいるトリッカーですが、セロー250同様に間もなく生産終了となります。
スズキ Vストローム250 オフロード車のような見た目だが、シート高は800mm

スズキ Vストローム250。エンジンは248cc水冷4ストロークOHC2バルブ並列2気筒で、最高出力24馬力。車両重量は188kg(ABS仕様は189kg)で、最低地上高は160mm。価格はスタンダードが58万800円、ABS仕様が61万3800円。
Vストローム250も「アドベンチャー」モデルで、オフロード車の要素を取り入れたスタイルとなっています。
ただ、前後のホイールはオンロードスポーツ車定番の17インチということもあって(走りのキャラクターもオンロード志向の車種です)シート高は800mm。
身長159cmのテスターの場合、両足で足の裏半分くらい(つま先から土踏まず手前くらいまで)が接地しました。
車体サイズは大きく見えるものの、シートの中央が低いため足着き性は良好ですが、車体を傾けてしまうと重さを感じるのその点は注意したほうかいいかも……とのこと。
走破性を高めるため大径のホイールやストロークの長いサスペンションを採用し、車高・最低地上高を高くとるオフロード車はシート位置も高くなるという構造的な「必然」があるわけですが、オフロード車の要素を取り入れた「アドベンチャー」も(実際の機能面というより、スタイルとして取り入れている面もありますが)シート高が高くなる傾向にあります。
また、足着き性が悪くても対処法はあります。靴底が厚めになっているライディングブーツを選んだり、停車時に両方の足が地面に着いている必要はないので、お尻をズラして片足でしっかりバイクを支えたり──。
しかし、写真で見てきたようにシート高数値がそれなりにあっても車体幅がスリムだと意外に足着きが良い車種もあるので、数値に不安を感じても、バイクを選ぶ際はまず販売店で一度実車に触れてみてください!
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