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レギュラーガソリン1Lの価格が90円を下回っていたのは遠い過去の話。
近い将来“リッター200円時代”の到来も予測される今、「燃料1Lでどれくらい走れるのか」、つまるところ、「燃費」を知っておくことの重要性は増すばかりと言える。
「燃費」とは一定容量当たりの走行距離、あるいは一定の距離を走行するのに必要な燃料の量を示すが、単位は国や地域で異なる。
ちなみに日本ではおなじみの㎞/Lである。
ところで皆さんは「WMTCモード値」というものを知っているだろうか。
最近は2輪国内4メーカーのカタログなどの燃費表記でよく見るが、「名前は知っているけどよくわからない」、「要は燃費みたいなことでしょ?」といった方たちも多いだろう。
ここで改めて紹介させていただく。
「WMTCモード値」というのは、国連自動車基準調和世界フォーラムで制定された排出ガス試験法で、シャーシダイナモ(パワーチェックなどで見る、タイヤをローラー上で回せる機械)上で走らせた排ガスのデータから算出される数値であり、世界統一基準のことだ。
世界的に見ればWMTCモードで燃費を測定するのが一般的で、これは排気量と最高速で5つのクラスに分類されている。
5つのクラスごとに、“乗車1名、気温25度、タイヤはメーカー指定空気圧で走行した際の測定値、発進・加速・停止などの走行パターン”と、走行条件を細かく設定して計算されたのがWMTCモードのデータで、これまでの「定値燃費値」より現実に近い値になると言われている。
そこで今回、WMTCモードの数値と燃料タンク容量を掛け合わせた距離数を「満タン航続距離」とし、コミューターの利用者が多い90cc〜125ccカテゴリーで、満タン航続距離が長いモデルのランキングベスト10を作成した。
※なお、本記事は2019年3月14日に発売された「最新バイク図鑑[2019-2020]」からデータを抜粋している。
10位.SUZUKI アドレス110

満タン航続距離 254.3km
他のアドレスシリーズよりも少し小さい、112cc単気筒のSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)エンジンを搭載。車重は99kgと軽量で、48.9km/LのWMTCモード燃費と5.2Lの燃料タンクにより250kmを越える航続距離を実現。走行安定性を高める14インチの大型ホイールや、フルフェイスヘルメットとグローブなどの小物が納まる20.6L容量のトランクも特徴だ。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):21万3840円
9位.SUZUKI スウィッシュ/スウィッシュリミテッド


満タン航続距離 275.6km
燃焼効率アップやフリクションロスの低減によりWMTCモード燃費50.1km/Lを達成した124cc単気筒のSEPエンジンを採用。タンク容量は5.5Lで、取り回し性能に優れる10インチホイールによって街なかでは抜群の使いやすさを発揮する。リミテッドはグリップヒーターやシートヒーター、ナックルバイザーを標準装備し、冬の寒さに対応させたモデルだ。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):スウィッシュ 31万8600円
スウィッシュリミテッド 34万200円
8位.HONDA ディオ110

満タン航続距離 280.8km
燃費性能と共に、走りの軽快さや使いやすさも追求した108cc単気筒のeSP(エンハンスド・スマート・パワー)エンジンにはアイドリングストップ機構も搭載。タンク容量は5.2Lと大きくはないが、54km/Lの優れた燃費で長い航続距離を持つ。前後ホイールを14インチとして安定性を高め、左ブレーキレバーの操作により制動力を前後輪に適切に配分するコンビブレーキも搭載する。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):23万1120円
7位.YAMAHA NMAX ABS

満タン航続距離 287.8km
同社のスポーツスクーター、MAXシリーズの末弟で、優れた燃費性能と走行性能を両立する124cc単気筒ブルーコアエンジンを搭載。155ccモデルと同じ車体を採用しているため、走りを存分に楽しめる1台だ。その分やや大柄で重量もありWMTCモード燃費は43.6km/Lにとどまるが、6.6L容量の燃料タンクにより航続距離を増やしている。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):35万1000円
6位.HONDA リード125
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満タン航続距離 300.0km
10インチホイールにより車体を小型化しつつ、同社のディオ110よりも16cc大きい124cc単気筒eSPエンジンを搭載。アイドリングストップ機構ももちろん採用される。50km/LのWMTC燃費はディオに劣るものの、0.8L大きい6Lの燃料タンクによってより長い航続距離を実現。フルフェイスヘルメット2個を収納できる37Lの大容量トランクも魅力だ。
●メーカー希望小売価格(消費税込み)
・リード125 30万9960円
・リード125(ツートーン) 31万3200円
5位.YAMAHA アクシスZ

満タン航続距離 300.3km
10インチの小径ホイールを採用することで原付二種クラスとしては非常にコンパクトな車体を実現しながらも、5.5Lの燃料タンクと2つのヘルメットを収納可能な37.5L容量のトランクを両立。100kgの軽量ボディ、優れた環境性能と走行性能を併せ持つブルーコアエンジンにより、ヤマハの125㏄クラススクーターではトップとなる54.6km/LのWMTC燃費を誇る。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):24万3000円
4位.SUZUKI アドレス125

満タン航続距離 306.0km
124ccのSEPエンジンを搭載。
車体はアドレス110よりもひと回り大きいが重量はスウィッシュよりも5kg軽く、51km/LのWMTCモード燃費と6L容量の燃料タンクにより2車よりも長い航続距離を実現している。タイヤはフロントを12インチ、リヤは10インチとして取り回しの良さと安定性を両立し、フロントには制動性能に優れる大径ブレーキも採用する。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):22万1400円
3位.HONDA PCX

満タン航続距離 405.6km
150ccモデルと同じ車体を採用する原付二種スクーターの人気モデル。大柄なボディながらeSPエンジンやアイドリングストップ機構の採用、省電力化に貢献するLED式のヘッドライトやテールランプ、ウインカーの採用でWMTCモード燃費は50.7km/Lを達成。8Lという大容量燃料タンクの採用により400kmを越える航続距離を実現する。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):34万2360円
2位.HONDA PCXハイブリット

満タン航続距離 415.2km
PCXに高出力な48Vリチウムイオンバッテリーを追加搭載することで始動用のACGスターターモーターにエンジンのアシスト機能を持たせた、量産二輪車世界初となるハイブリッドモデル。モーターアシストの時間は約4秒間と短いが、燃料を多く消費する発進時や加速時にエンジンの負荷を軽減できるため、WMTCモード燃費はベース車よりも1.2km/Lアップしている。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):43万2000円
1位.HONDA ベンリィ110/プロ

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満タン航続距離 503.3km
最大積載量60kgの低くフラットなリヤデッキを持つビジネススクーター。
搭載されるエンジンは107cc単気筒で、WMTCモード燃費は50.3km/L。
注目は燃料タンク容量で、大きなボディに大容量タンクを装備するPCXをさらに2L上回る10Lを確保して長い航続距離を実現している。
大型リヤキャリアやフロントバスケット、フットブレーキなどを備えるプロもラインアップする。
●メーカー希望小売価格(消費税込み):28万800円
いかがだっただろう?
当然のように200kmを、たった数Lの燃料タンク容量で走るから驚きだ。
コミューターとしてだけでなく、不意にどこかへ走りたくなった時に楽々とそれを実現するツーリングマシンとしての面も十分感じられるだろう。
日常の、通勤の足として非常に人気の高いこのクラス。バイク選びの一助となれば幸いだ。

