【釧路の食を堪能する!】
夜が楽しくなる炉端焼きと横町めぐり

●釧路港に期間限定で特設される名物「岸壁炉端」の内部。とても楽しそうですね
人口17万人を超え、札幌、旭川、函館に次ぐ、北海道第四の都市として知られてきた釧路ですが、2018年になると苫小牧に抜かれてしまい、現在は第五の都市となってしまいました。確かに、釧路駅周辺の中心街は少し寂しい感じもあるのですが、とはいえ、ひがし北海道最大の都市であることに変わりはありません! 北海道一の水揚げ量を誇る港町、食を楽しむためだけに訪ねても十分満足感を得られます。では、その満足の詳細をご案内しましょう。
釧路と言えば炉端焼き。魚介類や野菜を炭火で焼く、一種のバーベキューですが、釧路は「炉端焼きの発祥の地」として市を挙げて売り出しており、中心部にも数多くの店が並んでいます。

●岸壁炉端は、残念ながら2018年は10月31日までの営業ですが、市街各地に炉端焼き専門店が並んでいます
好みの魚介類を好きなだけ、そして気軽に味わえるのがやっぱり炉端焼きの魅力。基本的には焼くだけですから、旬の素材本来の味が楽しめるのです。北海道一の水揚げ量のある釧路だからこそ定着したことが容易に想像できます。
味覚の秋、収穫の秋。秋味やししゃも、サンマにホッケ……と、秋は旬の魚が盛りだくさん。それを目の前の炭火で焼きながら味わいます。まずいわけがありません! 基本は屋内で楽しむ炉端焼きですが、川原で行うバーベキューのようにアウトドアな雰囲気を感じるのも魅力のひとつでしょう。共に旅する仲間との会話も自然と弾見ます。楽しい想い出になること間違いなしです。

●今回お邪魔したのは、フィッシャーマンズワーフMOOの裏手にある「炉ばた煉瓦」

貝付ほたて583円(1枚)、厚岸産の牡蠣269円(1個)、秋鮭切身370円、真ほっけ1343円など。旬の食材を好きなだけ……

●炭火で焼くと、旬の味覚をよりいっそう楽しめます。あ、もちろん焼き肉もあります
「ザンギ」を知っているか?
釧路に来たら食べ忘れてはいけないものがほかにもあります。それが「ザンギ」。北海道では唐揚げをこう呼ぶことが多いようですが、これもやはり釧路発祥なのです。バスガイドさんによれば、「釧路の食文化は炉端、つぶ貝、そしてザンギ。ザンギ定食はどこの定食屋さんにもありますよ」とか。名前の由来は中国語とのことですが、ではザンギと唐揚げでは何が違うかといえば、肉に下味がしっかり付いているのがザンギとの説もあるのですが……大差ないというのが実感(笑)。食べた感想としてもハッキリした差は分からないものの、本州ではザンギとして食べることはないですから、なんとなく違う料理を頂いている感じも(笑)。また釧路では、鶏肉だけでなく、鮭や蛸ザンギも一般的なところが違うかもしれませんね。いずれにしても、サクサクとしてジューシーなザンギを皆さんも釧路で味わってみて下さい。

●ザンギ(唐揚げ)も釧路で外せない味。鮭ザンギや蛸ザンギなどもお薦めです
さて、炉端焼きを楽しんで繁華街をぶらぶらと散策。すごく細い麺と、透明でアッサリとした鰹出汁のスープで知られる釧路ラーメンも味わってみたいところですが、残念ながら満腹だったので、北大通りを抜けて釧路川を少しさかのぼる方向に進んでいきました。そしてたどり着いたのは「赤ちょうちん横町」です。
- ●釧路の末広町。鮭を持つ男性像など、市街には様々な像が並んでいます
- ●ザンギ発祥の店と言われるのが、末広町にある「鳥松」
- ●釧路ラーメンは麺がそうめん並みに細いのが特徴
路地裏で、なぜかフレンチとシェリー酒を味わう

●釧路赤ちょうちん横町には、20以上の個性あふれる店が並んでいます
1952年にリヤカー屋台で露天営業から始まった「釧路赤ちょうちん横町」。その後、北大通り、白金町と移転しながら、1968年に現在の川上町で共同店舗を開設し現在へ。北海道では有数の歴史を持つ屋台村です。
その名の通り、各店舗に赤ちょうちんが掲げられているのですが、路地がかなり暗くて、1人で初めて訪れると少し躊躇するかもしれません。しばし考え、勇気を出して路地に入ってみると、各店舗は6〜7人入れば満席になりそうなこぢんまりした店構えですが、板前料理やジンギスカン、炉端焼きと、個性豊かな店舗ばかり。見る限り、観光客よりも地元の人の利用が多そうですが、地元の人から支持されているほうが安心して入れるというもの。その一軒「ル・マーシ」をのぞいてみました。

●2018年6月にオープンしたばかりという、カジュアルフレンチが楽しめる「ル・マーシ」。
「お、これはこれは……食材が足りるかなあ」と7名で訪ねた私たちに少々驚く石丸基司さん。確かに6席しかなく、ひとりは立ち席で無理矢理お邪魔しました(笑)。
このル・マーシは、2018年6月にオープンしたばかりというカジュアルフレンチのお店。北海道の食材をしっかり生かした料理とシェリー酒が売りとのこと。シェリー酒とは、スペイン・へレス周辺で作られる度数が高めの白ワインのことですが、いずれにしろかなりピンポイントのこだわり。聞けば石丸さんは、東京・銀座にある「しぇりークラブ」へ学生の頃に足繁く通っていたとのこと。そこでシェリー酒に魅せられて、ようやくご自身のこだわりを実現したわけです。お任せで用意していただいた料理も、食材の味が色濃く絶品。どれも屋台村とは思えないおいしさ……お店の良し悪しで、観光の印象も大きく変わりますね。釧路って、少し寂しさを感じる町という印象を持っていましたが、こんな楽しいお店があれば、また改めて訪ねてみたいと強く思ってしまいます。

●辛口の定番として知られる「ティオ・ぺぺ」(右)と、酸味と熟成感を味わえる「アモンティリャード」(左)

●赤ちょうちん横町を出てホテルへ……再び幣舞橋と対面。釧路の、とても風情のあるこの景観が気に入りました!
●炉ばた煉瓦
住所:北海道釧路市錦町3-5-3
TEL:0154-32-3233
営業時間:17:00〜23:00
●釧路あかちょうちん横町「ル・マーシ」
住所:北海道釧路市川上町4-1
TEL:090-4246-6230
営業時間・定休日:18:00〜25:00、不定休
>>「北海道ふっこう割」で ブラッと旅するひがし北海道-1
>>「北海道ふっこう割」で ブラッと旅するひがし北海道-2
【「北海道ふっこう割」とは?】
2018年9月6日に発生した平成30年北海道胆振東部地震による北海道の観光被害は356億円、宿泊予約のキャンセル数は114万9000人分に上るといいます(9月末時点)。このほとんどが、本当は通常どおり観光できるのに震災の影響が波及した、いわば風評被害。そう、北海道はほとんどのエリアでは普通に旅が楽しめます。この風評被害を払拭するための道や国の復興支援事業として、10月より「北海道ふっこう割」がスタートしています。当初は宿泊のみの割り引きでしたが、現在では交通手段も含む旅行商品にまで範囲が拡大され、最大で3万5000円オフに。例えば、4万円の旅行商品であれば50%オフの2万円で購入購入可能! 詳しくは特設サイトをご参照下さい。
北海道ふっこう割特設サイト
report●五十嵐重明 photo●岡田ナツ子/編集部
取材協力●北海道観光振興機構