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「沿道の見所は?」栃木県・日塩有料道路が12月11日より通行料無料化!

日光市と那須塩原市を南北に繋ぐ「日塩有料道路」

山々がその深さと険しさをいきおい増していく関東平野の北端部。
なかでも日光国立公園周辺は、いろは坂や金精峠、霧降高原道路などといった日本でも有数のワインディングロードが数多く点在するエリアだ。
その一角、栃木県北部に位置する標高1765mの鶏頂山の西麓を経由し、鬼怒川、川治温泉エリアと、那須、塩原温泉郷などを結ぶ山岳道路がある。
日光の「日」、塩原の「塩」と、ふたつの土地の名を関した日塩有料道路だ。

日塩有料道路は区間の多くが深い木々に覆われており、いわゆる山岳道路の荒々しいイメージは少ない。が、最高地点の標高は約1275mもあり、地図上ではまるで折り重なっているように見える道筋が、その険しさを物語る。

「もみじライン」の愛称を持つ日塩有料道路

「もみじライン」の愛称がある日塩有料道路。沿道からは様々なもみじを見ることができる。

日塩有料道路の愛称は「もみじライン」といい、その名の通り、紅葉の時期には沿線を色とりどりの木々の葉が彩る。
それゆえ多くの観光客が訪れる人気スポットなのだが、多くの観光客が押し寄せる時期には流れが悪くなりがちで、山道を楽しみに来るライダー・ツアラーたちからは少々敬遠されることも──。
また、途中に展望台や休憩施設がほとんどないにも関わらず、二輪車400円以上(*)という通行料を徴集されるのもそれに拍車をかけていた。

*令和2年12月上旬時点での料金は、軽車両等50円、軽自動車(2輪車含む)420円、普通車620円、大型車(I)940円、大型車(II)2190円だった。

那須塩原市側の信号機には愛称のほうの「もみじライン」による案内表記もある。

しかし、通行料金徴収期間が満了することに伴い、2020年12月11日から日塩有料道路は無料開放となった。

日塩有料道路の原型は1938年に建設された県道・藤原塩原線だが、道幅が狭く視界も不良だったため、1970年に改良工事を着工。1972年から総延長27.5kmの有料道路として供用が開始された。
ちなみに、当初は日塩有料道路完成の30年後から無料化の予定だったが、2002年に開通した「龍王峡ライン」(総延長2.8km)への延伸工事により約18年の期間延長となっていたのだ。
(最終的に「龍王峡ライン」を含み「日塩有料道路」となった)

日塩有料道路、那須塩原側(北側)の通行ゲート。
日塩有料道路、鬼怒川温泉側(南側)の通行ゲート。

日塩有料道路は走るとどんな道なのか?

「山岳道路」に見晴らしのいいイメージや、おみやげ物の並ぶ休憩施設などを期待しているのであれば、この道路はまったく期待外れだろう。それでも日塩有料道路に魅了される訪問者が多いのにはもちろん訳がある。

鬼怒川温泉側(南)から上りはじめた道は、しばらくの間ほぼ直線的に、緩やかに標高を上げていくが、1kmほど走った地点、太閣下ろしの滝入り口の駐車場付近でいきなりタイトなヘアピンコーナーとなって向きを変える。
同時に緩やかだった勾配はここからその角度を急に、そしてコーナーはその大きさをさまざまに変化させながら、ときにいくつも連続するコーナーとなってステアリングを、そして体重移動を忙しくさせるのだ。

道中にあるカーブの数を示す看板ももみじのロゴ。

最初のうちこそ「木々が多くて見晴らしが悪いなぁ」なんて独り言を言っていたものの、やがてあまりの操作の忙しさに文句の独り言を言う気にもならなくなっていることに気付く。
ときおりすれ違う対向車と出会ったとしても、相手にもまた余裕がないのが分かる。すれ違いざまに挨拶を交わしたり、顔を見ることもなかなかできないからだ。

それほどタフな山道の連続は、速度の速い遅いをどうこう言うのではなく、さまざまなコーナーを安全かつスムーズにクリアするための腕試しのような面白さがある。それが日塩有料道路の大きな魅力である。

日塩有料道路の沿道にはどんなスポットがあるのか

道の途中には小さな開拓集落とゴルフ場、スキー場などがある程度で自販機すら見かけることは少ない。「峠の茶屋白滝ドライブイン」が沿線途中の白滝脇にあるが、例年紅葉シーズンのみの営業で取材時は閉まっていた(なお2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、紅葉シーズンの営業も見合わせたとのこと)。

トイレが併設された「峠の茶屋白滝ドライブイン」。
峠の茶屋白滝ドライブインのすぐ近くにある「白滝」。

そのほかあえて「賑やかなところ」を探すとすれば、塩原側に「新湯」と呼ばれる昭和の雰囲気さえ漂わせる数件の温泉宿や、公衆浴場のある小さな温泉場があり、いわゆる温泉臭にあふれている。

また、道路脇には活動期が約6500年前と言われる爆裂火口跡があり、散策路を上がれば眼下に真っ白な爆裂火口跡を目の当たりにすることができる。ただし危険な硫化水素も噴き出しているらしく、アチコチに立ち入り禁止の規制もあるのを見て気後れする人もいるかもしええないが……迫力ある爆裂口を間近に眺められる機会も少ないし、沿線では唯一(?)の観光施設だから、素通りしてしまうのはもったいない。

新湯温泉宿「寺の湯」の裏側には新湯爆裂噴火跡が(白い砂と岩石がある部分)。散策路を歩いた先には爆裂火口跡を眺めることができる展望台もある。

この温泉宿にコンンビニなどの施設はないが、道路脇から新湯爆裂噴火跡へ上がる入り口横には公衆トイレや公衆浴場「寺の湯」(混浴で利用時間は7時~18時。入浴料300円)があり、ほかに「中の湯」「ムジナの湯」(いずれも男女別)がある。
そうそう、道を挟んで「寺の湯」対面には「上藤屋」という商店があり、ここには自販機も並んでいる。

新湯にある公衆浴場「寺の湯」。公衆トイレも併設されている。
新湯にある公衆浴場「寺の湯」は利用時間7時~18時、入浴料300円。

日塩有料道路、冬季の道路事情

12月11日より無料開放となるが、最後に気になる冬場の道路事情を。

最高地点の標高が1275mもあり、沿線にスキー場がいくつもあることから想像できるように、冬場はしばしば降雪積雪に見舞われるエリアである。
鬼怒川温泉側から北上する場合のサインとしては、前述した太閣下ろしの滝入り口にあるヘアピンまでに雪の気配があれば、二輪車は潔く問答無用で前進するのを諦めたほうがいい。

四輪車もチェーンを装着するのであれば、十分なスペースのある太閣下ろしの滝入り口の駐車場で装着しておくことをオススメする。その先は急な登りが連続する北斜面も多くなるうえ、チェーンを装着するための駐車スペースなどほとんどなくなってしまうのだから……。

レポート●廣瀬達也 写真●山内潤也 編集●上野茂岐

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