対策2:ニーグリップは7~8割の力で
伏せる姿勢の際には、ニーグリップもします。ヒザを閉じてタンクをはさみ、足首、内モモ全体で車体をはさみます。
力加減は、全力の7~8割程度。大きくフラれたときに100%の力ではさめるように余力を残しておくのです。コツがつかめれば、強い横風でも5割程度の力で安定させられるでしょう。なお、実際のツーリングなどでは、少しは脱力していないと、長時間もちません。力加減は風の強さで調整しましょう。
ステップは、下かやや後方に踏みます。土踏まずで踏むのが基本です(ライディングポジションによっては母指球付近のほうがコントロールしやすい場合もあります)。踏む力も7~8割程度力でいいです。
ハンドルは、これも全力で握らず、後ろから押す感じで5割程度の力で握れば十分です。ステップやハンドルに100%の力を入れない理由も、ニーグリップと同じです。
風が強くない通常の走行状況であれば、軽くニーグリップし、ハンドルに手を添える程度で脱力して乗ったほうがバイク自体の直進性を邪魔せず安定し、身体も疲れにくいです。ただし大型トラックを追い越す場合などは、少し力も入れて伏せたほうが安全です。
対策3:横風下での走行位置は、車線の真ん中か、やや風上側
強めの横風が続く場合、車体を風上側にやや倒す感じで風に対抗できます(ライダーはある程度、自然にやっていることでしょうが)。走る位置は、車線の真ん中が基本です。
ちなみに進行方向左側からの風なら、やや路肩側。
ただし車線の幅の1/3ぐらいは残します。風が一瞬強くなった場合、それに対抗してバイクを傾けたりしますが、その後で風は必ず弱まって路肩側に揺り戻されるので、その挙動への対処余地を残しておくためです。
一方右側からの風の場合は、右に寄り過ぎるのは危険です。
片側1車線なら対向車が、2車線なら追い越し車線の車両があるからです。走行位置は真ん中かほんの少し右です。
大型トラックを追い越す場合も、大型トラック側には絶対に寄らず、車線の真ん中かやや右が走行位置ですが、センターラインや中央分離帯には近寄り過ぎないでください。
対策4:ギヤは1速ないし2速落として駆動力を増やす
通常なら6速や5速(つまりトップギヤです)で走る状況でも、風が強い場合はギヤを落とします。ギヤを落とすとエンジン回転数が上がりますが、するとリヤタイヤの駆動力が増すので直進安定性が上がるのです。
6速ミッションなら5速、場合によっては4速でいいです。
風が強いときなど最高速度が低く制限されますが、スピードが下がるとエンジン回転数も下がるので、6速そのままでは直進安定性も落ちます。
6速がオーバートップ気味でハイギヤードなスーパースポーツなどは特にそうですが、どんな車種でも同じなので、ぜひ実践してください(多少燃費は落ちますが……)。
対策5:ウエアのバタつきを極力なくす
ウエアのバタつきも、フラれる原因になります。そのために大概のバイクウエアには、ソデや脇にバタつき防止用にアジャスターが付いていますから、これをしっかり締めてください(レインウエアも同じ)。
フードが付いたウエアなどは、脱着式なら風の強い日や、長時間高速走行に際しては外すことです。外せないタイプなら、上手く内巻きしてエリにまとめるなど、工夫しましょう(固定用ストラップがあるウエアもあります)。
まとめ
強風に対して安定して走るために、キチンと伏せることは多少慣れが必要です。高速道路を走るときなどに、練習してみてください。
ロードレースの直線でのライダーの伏せ姿勢は、伊達ではないのです。首、視線、ヒジ、お尻の位置などを見てください。MotoGPクラスのライダーはホントにキレイに伏せています。是非、参考に。
レポート●石橋知也 写真●ホンダ/カワサキ/八重洲出版『モーターサイクリスト』
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