ツーリング

そばを求めて峠を越える〜信州そば紀行2  新行/松川/唐沢/松本〜

信州、信濃、長野県・・・このそば処にはシナの文字あり。
長野県にはふたつのタテシナがある。蓼科山や蓼科高原の蓼科と立科町である。立科町は当用漢字の関係で立を使っているだけのことで、すべては蓼科山ありきである。ここでは”科”の文字に注目したい。かつて信濃国にはシナノキ(科の木)が多かったことから、科野と記したという説がある。そばの分類には更科そばというものがある。そばの実を挽いた際の中心の白い部分のみを使用した香り高く白いそばだ。
更科そばの発祥は東京都麻布。この地には伊那の高遠城主から会津松平家へと移った保科家の江戸屋敷があった。そこに出入りしていた科の木の樹皮から作る糸で作った信濃布を扱う堀井家があった。その八代目はそば打ちに優れ、保科家よりそば屋への転業を勧められたという。その時に『信州更科蕎麦所布屋太兵衛』 と看板を掲げた。更科の文字は信州そばの集散地であった更級に保科家の科の字を当てたといわれている。何気ない信濃という旧地名にもそばとの深い関わりがあるのだ。

■信州そばスポット5 新行
美しい北アルプスがあまりにも高いために、新行を平地に思わせるが、ここも標高900mの高原である。現在は大町市に属するが、かつては美麻村と呼ばれ、戦前は読んで字のごとく国内有数の大麻の生産地であった。麻の収穫後は秋そばを蒔くという二毛作でそばを栽培しており、麻の需要が減った現在もそばは特産である。

・多くの人に愛される素朴な味と佇まい 山品

美麻の土と水で育ったそばを石臼で挽き、手打ちするという理想的な環境で生み出される味を楽しめる。見た目も味も素朴ながら、そば自身の味と香りを純粋に味わえる。水溶きのそば粉を薄く延ばして焼いた薄焼きも香り高く、美味しい。店舗は外観も内観も素朴ながらハイシーズンには行列もできる。もりそば700円〜。


ほのかに甘みのある新行産の良質なそば粉を手打ちしたもりそばはもちろん、薄焼きそばも美味。

営業時間:10:30~そば終了まで
定休日:金曜
住所:大町市美麻新行 14658
電話番号:0261-23-1230

・地元の味を地元の手でそばとおやきの信州体験 麻の館

麻の産地であった旧美麻村の歴史を保存するとともに地元のおばさんたちが作るそばとおやきを味わえる。地元産のそば粉を使用した手打ちそばは薄味のツユと地元産のネギや大根、善光寺の七味などの薬味と相まって新鮮なそばの滋味をストレートに感じさせてくれる。予約をすれば、そば打ち体験も可能。ざるそば700円〜。


開業当初から地産・地消を心がけており、そばもおやきも地元の本物の味わいが楽しめる。

営業時間:11:00~17:00(LO16:30)
定休日:なし
住所:大町市美麻新行 14004
電話番号:0261-23-1738

■信州そばスポット6 松川
ルチンやビタミンBなどを多く含む健康食であるそばを食べる。安曇野から北アルプスの気高い山々を見て過ごす。人は美しい風景を見て感動すれば脳内にセロトニンという幸せホルモンがでるという。そして、美味しい湧き水と暮らす。そんな好条件の揃う松川村は2010年の男性長寿日本一(82・2歳)の村でもある。

・そばと温泉……信州の旅を堪能するレストラン鈴音

松川村営の宿泊施設・すずむし荘に併設。近隣のシンデレラ農園そば生産組合のお母さんたちによる手打ちそばが魅力。夏季限定の馬羅尾高原そば(写真・1100 円)や御長寿御膳もおすすめ。地場産の新鮮な野菜や果物を用いた和洋のメニューも豊富。温泉と合わせて、ゆっくりと時間を使いたい。手打ちそば800円〜。

営業時間:11:00~20:30(LO20:00)
定休日:水曜
住所:松川村 3363-1082
電話番号:0261-62-8500

・ツユのうま味で引き立つそば本来の豊かな滋味 そば処 みはらし食堂

地元産のそば粉を使用した手打ち麺をやや甘めのツユでいただく。そばとツユのバランスが良く、そばは麺とツユの両方が重要なであることを再認識させてくれる。麺類のメニューはざるそばとかけそば(月見・山菜) とシンプル。おつまみの馬モツも美味。松本盆地を見下ろす店名通りの見晴らしの良さも魅力。ざるそば650円〜。

営業時間:11:30~15:00
定休日:木曜
住所:松川村西原 3355-21
電話番号:0261-62-8993

・安曇野をいただく楽しみ 水と空気とそばに感謝 安曇野そば処 青崎

昭和45年の創業以来、地元の人々に親しまれてきた旧青崎山荘がリニューアルしてそば処青崎となった。選び抜いたそば粉と北アルプスからの清涼な水とで作られる絶品のそばは、細くてコシがあり、ほのかに甘さのあるツユでいただけば、そのまま“安曇野をいただく”と表現しても大げさではない。ざるそば700円〜。

営業時間:10:00~20:00
定休日:水曜
住所:松川村川西 3395-1
電話番号:0261-62-3385

■信州そばスポット7 唐沢
信州は名前の通った見所や走り処も多いがゆえに、見逃してしまいがちなエリアも多い。松本市の西部に位置する山形村もそんなエアポケットのような場所のひとつだが、ここには“唐沢そば集落”なる場所がある。約900mの集落に9軒のそば屋があり、それぞれが地元産や自家製の粉を使い、個性を磨き合っている。

・天然素材を活かした真面目で種類豊富なそば 石碾き蕎麦 水舎

季節やそばの種類によって地元産や木曽地方産などそば粉を使い分けている。さらに、そば粉のみならずツユにも醤油や塩など天然素材を使用し、そばの味とともに安心であることも追求している。十割そばや八割そば、木曽産の粗挽きそば、更科系のそばなどメニューの種類が豊富なことが魅力であり。悩ましくもある。八割そば800円〜。

営業時間:10:30 ~16:00(土日祝は20:00まで)
定休日:月曜(祝日は営業)
住所:山形村下竹田 7466-10
電話番号:0263-98-3002

■信州そばスポット8 松本
松本盆地は県内有数のそば生産地でもある。寒冷高所な土地というイメージではない松本の場合、戦前の栽培実績はほとんどなかった。現在の生産量は水田転作や町村合併によるもの。とはいえ、人口も観光資源も豊富な松本では多くのそば屋がしのぎを削り、味を競い合っているのも事実である。

・名物の三重ねそばは新感覚の味に出会える 女鳥羽そば

地元産のそばを自家製粉し手打ちで供している。つるりとした麺をやや辛めのツユでいただくざるそばも良いが、名物は三重ねそば。3段になったせいろは、1枚目がノーマルなざるそば、2枚目がとろろ、3枚目が抹茶という変わり種で、これをゴマやクルミの薬味でいただく。新しいそばの味わいが楽しめる。

営業時間:11:00~19:00
定休日:水曜&第3火曜定休
住所:松本市中央 3-4-8
電話番号:0263-35-8502

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モーサイ編集部

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