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昭和のバイクブームの時代にツーリングにのめり込んだライダーなら、きっと泊まったことがあるだろう「ライダーハウス」。オーナーや宿泊客との交流が一生の思い出になっているという人もいるのでは? 令和の今、ライダーハウスの現状はどうなっているのか、その一面をレポートする。
そもそも……ライダーハウスって何?
ライダーハウス、略して「ライハ」。ツーリングライダーなら名前くらいは聞いたことがあると思うけれど、「泊まったことないよー、どんなところ?」 という人のために、簡単に説明しよう。
ライハは、主にライダー向けの、低料金で気軽に泊まれる宿。かつてはツーリングライダーの聖地・北海道にはたくさんあって、食堂で食べれば無料で泊まれるとか、駐輪代を払えば休憩施設として宿泊OKとか、中には市町村が夏季に限って公民館などを開放してくれたりと、いろんなパターンがあったが、どこも基本は寝袋持参で相部屋(たいていは男女別)の雑魚寝スタイル。トイレ、洗面も共同でプライベートは全くないが、旅人同士やオーナーとの交流が楽しいし、宿泊費も安いので、ズルズルと何日も滞在する(“沈没”ともいう)人も時々いた。
現在こそ、低料金のゲストハウスがあちこちに出来ているが、昭和の時代には北海道を旅する貧乏な長旅ライダーはキャンプかライダーハウス、たまの贅沢でユースホステルという選択しかなかった。さらに、北海道以外にはライハはほとんどなく、本州を旅する貧乏ライダーたちは、「全国にライダーハウスがあったらいいのに」と切実に感じたと思う。
平成・令和のライハ事情と「ライハ連合」の取り組み
平成になると、そんなライダーたちの中から、「旅の間にお世話になったから」と、自分でライダーハウスを始める人がポツポツと現れた。北海道にしかなかったライハが、本州各地にでき始めたのだから、ツーリングライダーにとってはありがたい限り。しかも、昭和時代のライハと比べると快適なことこのうえなし。キチンと簡易宿泊業や民泊法で許可を取っているところがほとんど。沈没組もいないし、初心者や女性ライダーでも安心して泊まれるようになっている。
各ライハはそれぞれ個性的なオーナーが独自のやり方で経営しているが、数年前にライハ同士の繋がりを目的に、「ライハ連合」が結成された。ライダーハウスかなじ村(兵庫県)、ライダーハウス日本何周(滋賀県)、ゲストハウスきち(石川県)のオーナー3名が思い付きで発足させ、現在、30軒以上が参加しているという。特に決まりや会費などはなし。
そして今年5月8日、ライハ連合によって第4回となる「ライダーハウスオーナーミーティング」が開催された。筆者はツーリングマップル(編集部註:昭文社刊のバイクツーリング向け地図。30年以上の歴史を持つ定番品)の関西版担当ということで特別参加させていただいたが、19組23名が集まった今回のミーティングでは「一緒に何かできることを」と共通の手ぬぐい製作、モーターサイクルショーへの出展などの意見も出され、ライダーハウスの現状や今後のことなど、いろいろと話は尽きなかった。こういったライダーハウス同士の連帯も、今の時代の特徴と言えるだろう。
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