日本人の心と適度な位置に
別に伊豆でなくても、気持ちいいワインディングや美しい風景、あるいは山海の幸にあふれたツーリング好適地は、全国各地にたくさんある。関東のライダーが伊豆をもてはやすのは、自宅から適度な距離にあるからという理由も大きいのだ。
【伊豆スカイライン〜 伊豆エリアで最もメジャーな道路〜】
伊豆半島東側の付け根付近に位置し、多彩なコーナーが配されたワインディングが約40㎞も続くとあって、古くから走りのスポットとして知られる道。昨今は二輪事故の多さが大問題となっている"伊豆スカ"だが、富士山ビュースポットとしてのポテンシャルは非常に高い。南北方向に走る道で、富士山が望めるのは主に北側。韮山ICから玄岳ICにかけて走るのが特にお薦めで、展望駐車場も多い。
道路の供用時間●6:00 ~ 22:00 通行料金●110 ~ 570円 ※125㏄以下走行不可
ぶっちゃけ、近畿圏のライダーなら高い有料道路代を払ってなにも伊豆まで来なくても、高野龍神スカイラインや淡路島や四国で、伊豆と同じような体験はいくらでもできる。
【西伊豆スカイライン〜その美しさに心躍る一瞬の破壊力】
かつては有料道路だったが、現在は通行無料。半島北西部に位置し、戸田(へだ)峠から達磨山や伽藍山の稜線上を南北に走って土肥(とい)峠まで、約10㎞のワインディングとなっている。草木に囲まれながら高原を走る気持ちよいルートだが、北側の戸田峠から3㎞ほど進んだ写真の場所は特に視界が開けて、爽快な富士山ビューが可能。南から北に走ると、路肩にバイク数台が駐車できるスペースがある。
ではあるのだが、それでも伊豆や箱根には、遠くからわざわざ訪ねる価値がある。日本の象徴と言えば富士山だが、伊豆箱根エリアにはそんな富士山を眺めながら走れるワインディングや、雄姿を望みながら休憩できるスポットが多数あるからだ!
「富士山なら長野あたりでも見られるし、富士山が目的ならもっと近づけばいいのでは?」と思ったそこのアナタは、やっぱり伊豆の魅力が分かっていない。長野で見る富士山なんてアポロチョコレートよりも小粒だし、近づきすぎれば裾野までの美しいシルエットが分かるポイントはかえって減る。
【芦ノ湖スカイライン〜富士山ビューポイントだらけの峠道〜】
地元では"芦スカ"の愛称でおなじみ。南側に位置する箱根峠付近の国道1号から、芦ノ湖北岸付近に至るワインディングで、箱根峠~湖尻峠まで約9㎞の一般区間と、湖尻峠~芦ノ湖北岸湖尻水門まで約1.7㎞の特別区間で構成される。その名のとおり眼下に芦ノ湖を眺められるポイントも多いが、一般区間に続く箱根スカイライン(全長約5㎞)と合わせて、富士山ビュースポットも点在する。 営業時間●7:00 ~ 19:00 通行料金●260円(一般区間:箱根峠~湖尻峠)、 50円(特別区間:湖尻峠~湖尻水門)※125㏄以下走行不可
伊豆エリアは、富士山と適度な距離にあり、視界を遮るものがない小高い山や海沿いの道が多い。つまり、日本人ならほぼ誰もが好きな富士山の姿をバイクで楽しむのに、ちょうどいい立地なのだ。
【静岡県道17号〜駿河湾越しに眺める富士山の美〜】
沼津土肥線と呼ばれ、沼津市内の国道414号交点と、土肥の国道136号交点を結び、主に伊豆半島西側の海岸線を走る。いかにも伊豆らしい狭くタイトな峠道の区間もあるルートだが、駿河湾の向こうに富士山を眺められるポイントが多い。愛車を止めてゆっくり楽しむなら、ルートの途中にある戸田の御浜岬公園に設けられた海沿いの駐車場がお薦め。もちろん食事は、新鮮な海鮮系で決まり!
【マーガレットライン(国道136号)〜静かに楽しめる快走ルート〜】 休日の伊豆は多くのクルマとバイクであふれるが、南伊豆まで足を延ばせば、比較的静かに楽しめる。マーガレットラインは、かつて西海岸の子浦と雲見を結ぶ有料道路として供用され、現在は国道136号の一部区間(全長約12㎞)となっている。お薦めの富士山展望地は、途中で脇道を500mほど入ったところにある石部棚田の展望台。まだ、関東のライダーにもあまり知られていない穴場だ。
( report●田宮 徹/編集部)