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金曜日の仕事終わり、バイクで向かうは大阪南港。一晩の船旅を楽しみ、朝日とともに愛媛へ上陸。仁淀ブルーやUFOライン、朝ドラ「らんまん」主人公ゆかりの越知町、佐川町など、愛媛〜高知は話題のスポットがよりどりみどり。そして夜には東予港からのフェリーに駆け込み、一晩休んだらそこは大阪南港。まだ日曜の早朝だ。そんな、忙しいようで実は効率的な旅を紹介する。
オレンジフェリーは四国ツーリングの最適解
寝ている間に愛媛へ!
22時に大阪南港を出港する東予港行きオレンジフェリーの乗船時間は、20時頃と早めだ。つまり出港2時間前には乗船できてレストランや大浴場をゆったり楽しめる。船室が全て個室というプライバシー重視の船内は静かで落ち着いており、リラックスできる雰囲気にあふれているのも新鮮だった。
やがて静かに出港した船は大きな揺れを感じることもないまま瀬戸内海を西へと進み、いつしかぐっすりと深い眠りへ誘われて……。おかげで翌朝、四国に到着する頃にはすっかり気分爽快、元気いっぱいになっているのだった。
オレンジフェリー最大のメリットは運航スケジュール。大阪を夜に出て、愛媛県の東予港へは早朝6時に到着。東予→大阪便も22時の出港だから、単純計算で14~15時間は四国を走り回れる。これだけあれば日帰りでもかなり広範囲を巡れるし、もちろん余裕のあるルート設定でのんびり旅だって可能だ。
フェリーの部屋は全て個室だから睡眠の質と量も問題なし。フェリーをホテル代わりに使えるオレンジフェリーは、愛媛や高知ツーリングのアクセス手段として非常に効率的なのだ。
<大阪南港発→東予港行き>
乗船可能時刻20:00〜
出発時刻 22:00
到着予定時刻 6:00
船内休憩 7:00まで
<東予港発→大阪南港行き>
乗船可能時刻 20:00〜
出発時刻 22:00
到着予定時刻 6:00
船内休憩 8:00まで
オレンジフェリー 関西航路(大阪南港〜東予港)料金表
※料金は期間により変動
■1人あたりの乗船料金 ( )内は定員 | 1月〜3月 | 4月〜6月 |
ロイヤル(2人) | 1万7500円〜 2万900円 | 1万7650円〜 2万1050円 |
スイート(2人・和室は4人) | 1万2400円〜 1万4800円 | 1万2550円〜 1万4950円 |
デラックスシングル(1人) | 9700円〜 1万1600円 | 9850円〜 1万1750円 |
シングル(1人) シングル+(2人) | 7900円〜 9400円 | 8050円〜 9550円 |
■二輪車料金(特殊荷物) | 1月〜3月 | 4月〜6月 |
125cc未満 | 4000円 | 4150円 |
750cc未満 | 5700円 | 5850円 |
750cc以上 | 7200円 | 7350円 |
にこ淵の奇跡のようなブルーに時間を忘れて
さて今回の一番のお目当ては、仁淀ブルーの名所として知られる“にこ淵“。愛媛県の東予港から約50kmほど。約1時間も走れば着いてしまう。国道11号など東西に走る幹線道路の交通量は多めだが、立ちはだかるようにそびえる笹ヶ峰や瓶ヶ森など四国山地へ向かう国道194号を行き交うクルマはまばら。急峻な山並みに続く道の勾配はやや急で、さらに適度に曲がりくねるワインディングロードは退屈する間のないほどの快走路だ。そして寒風山トンネルを抜ければ、もうそこは高知県である。
にこ淵は仁淀川の支流である枝川川にある滝つぼで、光の当たり具合によって色彩が変化する仁淀ブルーの名所中の名所。太陽が高い位置に来る季節の正午前後が特に美しいと言われるが、それに限らず滝や滝つぼ、それらを取り囲む木々の雰囲気には神秘的なたたずまいがある。地元の人が聖地と崇める理由も感じられるのだった。
東予港から近すぎるという贅沢な悩みを抱くなら、さらに国道を南下した所に位置する名越屋や、アニメ映画「竜とそばかすの姫」に登場し聖地となっている浅尾など仁淀川に掛かる沈下橋を先に巡って時間稼ぎするのもいいだろう。
「らんまん」ゆかりのレトロな町へ
ここまで来たら桂浜などのある高知の町に立ち寄るのももちろんオススメだが、今回は“オムライス街道“という気になる名前に引かれて日高村へ。フルーツのように甘いトマトを生産していることから、「トマト=ケチャップ=オムライス」という図式で日高村の名物となっている。お店によって味や見た目の異なるオムライスがある。今回は、レストラン高知のオムライスを頂いて大満足!
オムライス街道のほかにも、4月から始まるNHK連続テレビ小説「らんまん」で主人公のモデルとなった天才植物学者・牧野富太郎ゆかりの高知県佐川町や越知町にも立ち寄る。
牧野富太郎の出身地である佐川町は、古き良き時代の雰囲気が残る味わい深い町だ。彼にゆかりのある施設も多く、早くも盛り上がりを見せていた。
ほかにも、関東からも多くのお客さんが訪れるという仁淀川町の人気スイーツ店「池川茶園 工房cafe」などを巡り、最後は愛媛の道後温泉にまで足を伸ばしてしまった。
早朝に東予港から走り出し、丸一日ツーリングを満喫して、夜の乗船時間には再び東予港へと戻ってこられた。オレンジフェリーならではの贅沢で効率的なツーリングと言えるだろう。
愛媛・高知は絶対走りたい絶景ルートが密集!
UFOライン
四国山地の稜線沿いを走る、いの町道瓶ヶ森線(UFOライン)はダイナミックな山岳風景が魅力。全長約27kmでさらに西へ進めば今度は石鎚スカイラインの山岳風景を堪能できる。
四国カルスト
国道440号の地芳峠から東へ進めば現れる四国カルストは、台地に突き出した、まるで羊にも見える石灰岩が延々と点在するのどかな高原風景が楽しめる。例年4月頃までは冬季閉鎖
オレンジフェリーの魅力を大解剖!
魅力1 全室個室で安心安全
全室がプライバシーを重視した個室タイプになっている。中でも広々としたデラックスシングル以上の部屋には加湿器が設置されるなど、快適な船旅を過ごすための工夫が施されている
魅力2 広々船内は設備も充実
ホテルのようなエントランスは広いだけでなく壁やカーペットの色彩も美しい。マッサージチェアやお土産コーナーも充実。瀬戸内海に架かる明石海峡大橋や瀬戸大橋などの夜景も見逃せない
魅力3 ご飯がおいしすぎる!
オレンジフェリーに乗ったらぜひ食べてみてほしいのが、“日本一贅沢な卵かけご飯”とも評判の宇和島鯛めし。炊き込みではなくお刺身と卵で頂く繊細な甘露さが口の中に広がります
魅力4 お風呂が気持ち良すぎ!
時間制限などがあり乗船直後に大混雑……というのが多くのフェリーの常識なのだが、オレンジフェリーの大浴場は乗船中いつでも利用できるのがうれしい。夜景もきれいだ
今回の、大阪を夜に出発して早朝に愛媛に到着するオレンジフェリーを利用した愛媛/高知の最旬スポット巡りの走行距離は約220km。コースには、仁淀ブルー、にこ淵、いくつもの沈下橋、「らんまん」ゆかりのスポット、そして地元の特産物を生かした美味しい食べ物、さらにUFOラインや石鎚スカイラインにも匹敵するような山岳ワインディングまであり、バイクでの旅を十分に楽しませてくれた。
大阪南港を目指すフェリーの中では、「東予港を起点にしてまだまだいろんなコースを四国に描けそうだ」と次のツーリングを企んでいると、丸一日ツーリングを楽しんだ体を心地良い揺れが包み込み、いつの間にか深い眠りへと誘い込まれてしまうのだった。
report●廣瀬達也 photo●平島 格
○四国開発フェリー株式会社(オレンジフェリー)
営業時間:9:00~17:30
大阪 TEL06-6612-1811
東予 TEL0898-64-4121
https://www.orange-ferry.co.jp/