TZR250(1KT)用FRPタンク爆誕っ!!
1985年に登場したレーサーレプリカモデルTZR250(1KT)といえば、ヤマハの技術を惜しみなく投入し、先代のRZ250Rをはるかに凌駕する高性能ぶりを発揮。30年以上経過した今でも、高い人気を誇っている車両である。
だがしかし純正の部品供給は芳しくなく、すでに外装品は軒並み廃番となっているという。なかでも特に困ってしまうのがフューエルタンク。サビが進行して穴が開いたり、転倒して破損してしまったとしても新品が出ないので、サビたタンクをなんとかして直すしかないのが現状だという。

TZR250(1KT)
そんな、現在絶賛お困り中のTZR250オーナーさんに朗報! 熊本県にあるショップ「デーククラフト モーターサイクルズ」より、TZR250(1KT)用のFRPタンクが発売されることが決定した!
しかも軽量かつ高剛性で、純正形状を寸分違わぬ再現した逸品だと言うではないか。いったいどんな製品なのか、じっくり紹介していこう。
report:日暮大輔 写真協力:デーククラフト モーターサイクルズ
「部品がない!」から始まったFRPタンク製作
「元は自分の愛車であるFZ750の燃料タンクが廃番になっていたことがきっかけでした」
と話してくれたのは、今回1KT用FRP燃料タンクを発売した、デーククラフトモーターサイクルズの井上達也さん。
TZR250と同様、FZ750も純正外装品はすべて廃番という状態。幸いにもカウル類は社外品が発売されているが、調べた限り燃料タンクはFRPタンクカバーが出ているのみ。
「ならば、自分たちで作ってしまおうと考えたんです」
そこで井上さんは知り合いのFRP屋さんとともに、FRPでFZ750用タンクを製作。続いて、同じく部品が廃番になっているRZ250/350用のタンクも製作した。それらのタンクをSNSで紹介したところ「1KT用のタンクをワンオフ作れないか」と依頼が来たのだという。

ヤマハ・FZ750用FRPタンク。言われなければFRP製だとわからないほどの出来映え。

ノーマル形状を忠実に再現したRZ250/350用FRPタンク。
タンクキャップは現行車のエアロプレーンタイプへと変更されている。
「FRP屋さんと試行錯誤しながら1KT用タンクをワンオフ製作し、それをSNSにアップしたところ、今まで以上の反響があったんです。そこでワンオフ依頼してくださったオーナーさんに許可をもらい、製品化することとなったんです」
それだけ「こんな製品をまっていた!」と言う人が多かったのだろう。
経年劣化に負けないFRPタンクを実現
多くの反響があったFRPタンクだが、ガソリンを入れるだけに強度や耐久性が心配になる人もいるかもしれない。井上さんも当初、「FRPは年数が経つと、接合部で割れる恐れがあるのではないか」という心配があったそうだ。
そのことを30年以上前からFRPタンクを製作しているというFRP部品製作会社の社長さんに相談したところ「じゃあこんな方法はどうだい?」と、解決策を提示してくれた。
いったいどのような方法なのかを簡単に説明すると、まずタンクのアッパーピースとロアピースを別々に製作して接着成型。その後タンク上面を切開し、内側から接合部にファイバーをさらに張り込んで補強してしまうというもの。
そして切開した給油口まわりをツライチになるよう再接合してしまえば、接合部から割れる心配のない、頑丈なFRPタンクができるという寸法だ。
軽量かつ高剛性で修理も可能
その出来映えは写真を見てもらえればお分かりいただけるだろう。純正タンクから精密に型取りして製作したFRPタンクは美しいのひと言で、パッと見た限りではFRPとわかる人はいないほど。
もちろん純正品より軽量だが、安全性と操作性を最重視し、乗り味に直結する剛性感が損なわれない作りとなっている。ちなみに転倒時に破損した場合でも修理は可能とのことなので、もしもの時でも安心だ。

タンクキャップは純正品がボルトオン。もちろん水抜き用のドレンもちゃんとある。

タンクキャップにたまった水を排出するホース取り付け部もご覧のように再現。
純正から型取りしているので、スポット跡なども再現されている。

苦労したという前側ステー部。それだけに強度は抜群。

燃料コックも純正品をボルトオンで装着できる。
ちなみに価格は、無塗装サフェーサー仕様で11万8000円、1KT初期型カラーに塗装済みで15万円(ともに税別価格・その他カラーは要相談)。
受注生産なので納期は約1カ月半と少々時間を要するが、愛車をさらに楽しむための待機時間と考えればそう長いものでもないはずだ。
現在NSR250R用タンクなど、その他のモデルでも製品化を検討中という井上さん。ワンオフ対応は随時しているとのことなので、どうしてもタンクが見つからないとお嘆きの方は、1度相談してみるといいだろう。
二輪旧車が国内でも人気を集めている昨今この手の問題はどの車種にでもつきまとうものだが、問題解決にはショップさんだけでなく、ユーザーの熱い思いが必要不可欠だ。多くの車両を後世に残せるよう、こういった製品が1点でも多く出てほしいものである。
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