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昆虫学者になりたかった日本人ビルダー・木村信也が手掛けるBMW R18 ベースのカスタム車The Wal MkⅡに心酔!!「メカというより生命体」「デザイン画も描かず手を動かして創る」

ストライキによりヨコハマホットロッドカスタムショーに間に合わなかった「The Wal MkⅡ」

ヨコハマホットロッドカスタムショーは、いまやワールドワイドの知名度があり、観客はもちろん、カスタムビルダーも海外勢が少なからずエントリーしています。当然、そうしたカスタムマシンは本国から船便や場合によっては航空便でやってくるのですが、今年はちょっとしたトラブル(L.A.で港湾労働者によるストライキ)で、残念ながらショーに間に合わなかったものもあったのです。

中でも、BMW R18をベースに、これまたワールドワイドで活躍する木村信也さんがカスタムした「The Wal MkⅡ」を楽しみにしていたファンは肩を落としたに違いありません。The Walは2021年に発表され、数々のメディア、動画サイトに走る姿まででていました。しかし、2022年のホットロッドカスタムショーに向けて新たにカスタムが加えられた「MkⅡ」は、世界で初めてのお披露目となるはずでしたから。これを書いている筆者も同様で、実車の印象や、特徴的なハンマートーンなどこの目で見ることをとても楽しみにしていたので、ショー前日に未着のニュースを聞き、ショックを受けました。

ともあれ、会場では木村さんへのインタビューもできましたので、The Wal MkⅡのご紹介とあわせてお届けしましょう。

2021年モデルからカウルが大型化されるなど、スタイリングが進化したThe Wal MkⅡ。サイドのアディショナルランプなど、いかにもスポーツエンデュランサーらしい雰囲気が増して、より「Only One」なコンプリートカスタムマシンになりました。
残念ながらホットロッドカスタムショーには海外のストライキで実車が間に合いませんでしたが、The Wal MkⅡのパネルや木村信也さんご本人が登場し、カスタムファンを喜ばせてくれたのでした。

The Wal MkⅡカスタムの方向性は「スポーツエンデュランサー」

木村さんがR18を初めて目にしたのは、BMWがプロトタイプを作ってすぐのことだったそうです。伝統と信頼、木村さんがBMWに抱く印象はこの二語に集約されるそうで、そこから出てきたカスタムの方向性は「スポーツエンデュランサー」すなわち、耐久レーサーというのがキーワードに。そこから木村さんのカスタムがスタートするのですが、意外なことに設計図はおろか、イラストすら描かないというのが木村さんの手法だそう。例えば、耐久レーサーらしく前後に長く上面がフラットなタンクも実車に合わせてベース板を切り出すと、手を動かしながら形を作っていくというスタイル。

バイクのカスタムを始める前は、昆虫学者になりたかったという木村さんの造形は、メカというより、どこか生命の息吹とか脈動を感じるもの。タンクから、シングルシートとシートカウルへの流れるラインにも、動物的な調和が感じられるのはそのせいに違いないでしょう。なお、Walというのはドイツ語で「クジラ」だそうで、見るものを圧倒するかのような存在感からは、言いえて妙なネーミング!

特徴的なフロントカウルもまた、耐久レーサーというイメージにはぴったりで、木村さん好みのライポジに合わせ低めで、大型というデザイン。もちろん、ハンドルもセパレート、ステップも低く下げられています。ライディングスタイルはレーサーと呼んでも違和感のないもの。ちなみに、The Wal が完成した際、木村さんは自ら700km先の展示会場まで自走していったというのは有名なエピソード。完成度の高さだけでなく、審査員は自走してきたことに感動し、プライズを与えたということです。

カリフォルニアにある木村さんのファクトリー「Chabott Engineering」このように車体を俯瞰して眺められるようにしてあるのはカスタムに「調和」とか「流れ」を重視する木村さんならではのアイデアでしょう。
耐久レーサー風にタンク上面はフラットで、レーシーな給油口が追加されています。また、日本のBACKDROP Leathersが担ったレザーシートの形状や、デザインにもご注目!
2021モデルの製作シーン。一枚の地金をフレームに当てながら、全体のスタイルをイメージしていく木村さんの手法がよくわかるもの。板金技術の高さにも目が奪われそうです。

エンジン、エキゾースト、足回りはカスタムなし!! ベース車両の性能を活かした仕上がり

エンジン、エキゾースト、そして足回りにはカスタムが加えられていません(クロームだったマフラーだけ、ブラックアウトされています)が、これは木村さんがストックのR18に試乗して、ご自身のライディングスタイルにとって「手を加える必要がない」ほど洗練され、高性能だったからにほかなりません。1.8Lという大排気量のボクサーエンジンは、たしかに評価が高く、またそのパワーを受け止めるシャシー、ハンドリングも世界が認めるパフォーマンス。やみくもなチューニングは野暮というものでしょう。

そして、2022ヨコハマホットロッドカスタムショーには当初、The Wal は2021に発表されたスタイルのまま運ばれる予定でしたが、急遽マイナーチェンジが加えられました。それは「走ってみて、スポーツエンデュランサーとしてはもう少しカウルが大きいほうがいいと感じたのです」という理由から。The Wal MkⅡでは、カウル前面が大きくなり、耐久レーサーらしく補助ランプが二つに増えました。また、タンクサイドについていたバックミラーもハンドルエンドに移動され、より実戦的なスタイルになっています。また、初代で特徴的だった粉体塗装は施されないまま、ハンマートーンもあらわな地金のままというのもしびれる見え方。これぞ手作りのカスタムマシンといった雰囲気で、カスタム好きでなくともため息が出るのではないでしょうか。

2021年に発表された初代The Wal には、名前のとおりフロントカウルに「クジラのひげ」が表現されるなど、全米、そして世界の話題をかっさらったもの。粉体塗装の銅金色もじつにスタイリッシュです。

The Wal MkⅡは12月25日までDEUS 浅草で実車展示中!!

なお、ホットロッドカスタムショーには間に合いませんでしたが、どうにか実車は上陸し12月25日まではDEUS 浅草にて展示しています。ぜひ、実車をご覧になってThe Wal MkⅡの存在感、カスタムの印象など目の当たりにしてください。普通のバイクとは明らかに違う雰囲気に圧倒されること請け合いですよ!

レポート/写真●石橋 寛 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

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