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スズキ 新型カタナ開発陣が語る、新型カタナに込めた想いとは!?

かねてから注目を集め続けてきた新型カタナがついに日本デビュー。2019年5月30日発売で価格は151万2000円。カラーリングはシルバーと黒の2色の設定だ。3月に京都で開催された国際試乗会で開発スタッフに聞いた、日本のユーザーに向けたメッセージを紹介しよう。

まとめ●上野茂岐 photo●柴田直行/スズキ/編集部

 

新型カタナを鍛え上げた“鍛冶師”たち

チーフエンジニア 寺田 覚さん(左)
●GSX-R1000、ハヤブサ、GSX-S1000など、チーフエンジニアとして主に大型スポーツモデルを担当する。2017年まではMotoGPのプロジェクトリーダーも務めた。
エンジン設計担当 小薗江健一さん(右)
●二輪以外のエンジンを経て、2009年から二輪部門の先行開発に。出力諸元や給排気系などエンジン実験を担当し、GSX-R1000やGSX-S1000/750などに携わる。

 

アシスタントチーフエンジニア 佐々木達哉さん(左)
●設計、商品企画を経て、アシスタントチーフエンジニアとして、GSX-R1000/750/600や、GSX-S1000/750など大型スポーツモデルに携わってきた。
艤装設計担当 石川裕次郎さん(右)
●外装の設計を担当し、現行モデルのGSX-R750/600、GSX250R、レッツ、Vストローム650(12年モデル)などに携わる。また、大型モデルの風洞実験にも従事。

 

“カタナらしさ”の具現化

──2017年イタリア・ミラノショーをきっかけに誕生し、グローバルに販売される新型カタナ。日本においては、どのようなライダーを想定しているのでしょうか。

寺田●結構欲張りで、かなり幅広いライダーの方に乗ってほしいと思っています。かつてのカタナに思い入れのある方、乗っていた方にもぜひ乗っていただきたい。あと、私自身がそういう年代なのですが、若いころカタナに乗りたかったけど憧れるだけで乗れなかった、という人にも触れてほしいです。また、新型はとても許容力のあるバイクに仕上がっているので、かつてのカタナを知らない人がスポーツバイクの選択肢のひとつとして選んでくださっても、楽しんでもらえると思います。

──「カタナとは何か」を追求し、GSX1100Sファイナルエディションの開発に従事したライダーもテストに参加したそうですが、最も「カタナらしさ」の表現で注力したのはどの部分なんですか?

寺田●デザインです。乗り味もそれに合わせて仕上げていきました。具体的に言うと、ライディングポジションもアップライトなものですし、ベースとしたGSX-S1000からアグレッシブさを薄め、ニュートラルな方向にし、とても乗りやすいバイクになっています。このデザイン、このライディングポジションでちゃんと走れるようになるまでは非常に苦労しました。

小薗江●一方、エンジンはもともとトルクがあって扱いやすかったので、GSX-S1000をほぼそのまま使っています。スロットルの開け始めのところだけを少しマイルドにしましたが、元々許容力の深さがあるエンジンなので新しいカタナにもマッチしていると思います。

新型カタナのライディングポジションイメージ。幅広のアップハンドルを採用し、アップライトで快適なポジションを実現している。

 

KATANA3.0のデザインを再現するために

──プロモーション映像には、日本刀が様々な工程を経て仕上げられていく場面が多数登場します。それらから伝わってくる「日本の物作り」というメージもまた、「カタナらしさ」のひとつなのでしょうか。

石川●原案にうちのデザイナーが入っていないので、スズキの基準というのが入っていないんですよね。それをできるだけ変えず作っていくというのは設計だけでできることではなく、サプライヤーさん、スズキの生産技術、工場……みんなが協力してひとつのものを作り上げていく過程はまさに日本の物作りだと思います。スズキの基準であったり我々の評価基準を満たすため、やったことのないことにも一生懸命、ちょっとずつ形にしていく。そこにスズキ魂も出ていると思います。

●2017年、世界最大級のモーターサイクルショー、イタリア・ミラノショーにイタリアの雑誌社が出展したコンセプトモデル「KATANA3.0」。その外装デザインを手がけたのはイタリア人デザイナーのロドルフォ・フラスコリーニ氏(写真左の人物)。KATANA3.0のデザインに共感したスズキは、市販化にあたりフラスコリーニ氏のデザインに忠実な姿へとまとめ上げるべく開発スタッフは力を注いだ。

 

佐々木●個別の話をすると、パキッとした鋭角的なタンクの形状は特に苦労しました。やっぱり成型上とても抜きづらいんです。サプライヤーさんと何回も打ち合わせをしてなんとか形にできました。形が複雑なので最初は三分割しようかという話もあったんですけど……それだとカッコ悪くなるよねって、何度も調整してあのエッジの立った形を実現することができたんです。

寺田●リヤ周りをすっきりとスタイリッシュに見せるフェンダーもなかなか難しかったです。あのタイプの形状は我々としては作ったのが初めてで。特にリヤのターンシグナルはあの位置に付けて、品質をしっかりと保つのには苦労しました。

新型カタナのプロモーションムービー。鍛冶師が日本刀を鍛え上げるシーンが随所に見受けられる。カタナのデザインと日本刀の美しさの対比が、見る者の心を震わせる。

 

試行錯誤の末生み出された“現代のカタナ”

──カワサキ Z900RSやドゥカティ スクランブラーなどネオレトロというジャンルが様々なメーカーから登場し、今日人気を集めています。「名車の復活」という面では、そうしたブームの影響もありましたか?

寺田●レトロブームというのは認識していますけど、これは少し毛色が違うとは思っています。昔の形にしましたという復刻的な要素やレトロ志向はなくて、現代のカタナを作ったらこうなりますという認識です。

──2000年のファイナルエディション発売から新型の登場まで19年の空白となりました。 2005年の東京モーターショーでカタナシリーズをイメージさせるコンセプトモデル「ストラトスフィア」の発表などもありましたが、その間「次世代のカタナ」へ試行錯誤が続いていたのでしょうか?

寺田●カタナというのはスズキを代表するブランドのひとつですから、次のカタナはどうするかというアイディアや企画が出ることは何度もありました。ただ、やっぱりなかなか難しくて。昔の形を再現するのか、全く違うものにするのか……色々な意見が出るんですね。思い入れの強い人が社内にも当然いて、それぞれのカタナ像がある。なかなかここだというものを探るのは難しかったです。

──最後に、皆さんの考える「スズキのカタナ像」について教えてください。

佐々木●もちろんすごく大切な存在なんですけど、カタナだけあって簡単に触れない存在でもあって……。熱心なファンの方もいるし、変えてしまってはダメな部分もある一方、何も変えずにいるのも違うなと。 最終的に新しいものをこうした形でやっと出せたということで、良かったと思っています。

石川●初代のカタナが私より年上なんです。実車なんてほぼ見たこともない伝説のバイクでした。とにかくすごく大きい存在で。ですから、それを継承するモデルの開発に携われたことを光栄に思います。

寺田●私はかつてのカタナをリアルタイムに知っている世代ですし、スズキの中では大きなブランドであるというのは重々承知しています。今回チーフエンジニアとして担当するにあたって、やっぱり背負っているものの重みが違いました。ただ、せっかくやらせてもらうのだから、これまでと違うカタナをしっかり作って、一方でかつてのカタナのように長く皆さんに覚えてもらえるような車両となるよう取り組みました。

小薗江●私も自分がバイクに乗り始めたころに1100のカタナがあった世代です。でも、とても手が届かず、すごく偉大な存在だなと当時思っていました。それで、自分は250のカタナに乗ったのですが、カタナという存在はやはりみんなの憧れだったと思います。新しい時代のカタナも同じように、長く皆さんから愛してもらえるよう育てていきたいなと思っています。



 

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