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夏祭りの会場周辺は警察官だらけ!
コロナ禍が続き、やむを得ず中止を繰り返してきた夏祭り。2022年の夏は、全国で「3年ぶりの夏祭り」が開催されていますが、久々の夏祭りが盛況だと困るのがマイカーの駐車場所です。
無料の駐車場は満車か、あるいは会場から遠すぎて不便。近場の有料駐車場なんて空く気配もないから、会場付近をグルグルまわった挙句に「みんな路駐してるし、このへんに駐めちゃえ!」なんて気分になりますよね。
でも、そこで気になるのは周辺にたくさん配置されている制服の警察官です。やはり駐車禁止場所に路駐してしまうと、切符を切られてしまうんでしょうか?
夏祭りの会場には、かならず大量の警察官が配置されています。たとえば、3年ぶりの開催となった新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」では、2日間(2022年8月2日、3日)でのべ4300人の警察官・市職員・民間の警備員が配置されて雑踏警備や誘導にあたりました。
警察署の年中行事のなかでも、夏祭りは大規模な警備体制を必要とするイベントのひとつです。会場の警備はパトカー勤務や交番のお巡りさんが所属する「地域課」の仕事ですが、もちろん、地域課の人員だけでは足りないので全署員が動員されます。観客の誘導、信号機の操作、会場内の私服警備、落とし物や迷子の対応など、夏祭りの会場は警察官だらけです。
配置されている警察官は交通取り締まりをする?しない?
日ごろは運転中に警察官の姿やパトカーを見かけると「はっ!」としちゃいますよね。シートベルトはきちんと装着してるかな、スピードを出しすぎないようにしないと……なんて、とくに違反をしていなくても何となく警戒するものです。夏祭りの会場周辺にはたくさんの警察官が配置されているので「取り締まりを受けるかも…」と怖くなってしまうでしょう。
夏祭りの会場に配置されている警察官には、それぞれに細かい任務分担があります。会場周辺の道路で交通整理や観客の誘導にあたっている警察官は、その任務のためだけに配置されているので、目の前で交通事故が起きたり、急病人が倒れたり、迷子を引き受けたりしない限り、ほかの仕事はしないのが基本です。
つまり、会場周辺で見かける警察官のほとんどが「交通取り締まりをしない」と考えておけばよいでしょう。こんなふうに説明すると「じゃあ、夏祭りの会場周辺では違反しても大丈夫だね!」と勘違いする方がいるかもしれませんが、そういうわけではありません。
会場の周辺道路には、交通課を中心とした交通取り締まりを任務とする班も配置されています。決まった場所に立っているのではなく、パトカーに乗って周辺を巡回しながら違反を見つけて取り締まりをする「遊撃」スタイルなので、油断していると切符を切られてしまうかもしれません。
それに、交通整理や観客の誘導にあたっている警察官は、ほぼ全員が無線をもっています。祭りではしゃいで無謀な運転をしたり、缶ビール片手に運転席に乗り込むところを見つかったりすると(そんな方はいないと思いますが)、すぐに遊撃のパトカーを呼ばれてしまうので、パトカーがいなければ逃げられるだろうなんてなめていると危険です。
「駐車対策班」が「駐めさせない」ために動く
夏祭りの会場周辺や会場へとアクセスする道路は、すべて警察の「駐車対策」の重点エリアです。とくに、毎回のように放置駐車が目立つ道路やクルマ・観客の往来が多い道路は、定期的にパトカー・警察官が巡回しています。
夏祭りの会場には「駐車対策班」も配備されるので、駐車禁止の場所で停止していると、パトカーのマイクから「ここは駐められませんよ」とアナウンスされてしまうでしょう。
もちろん、夏祭り会場の駐車対策は「違法駐車を取り締まる」のが目的ではありません。あくまでも「交通の流れを邪魔する違法駐車を排除する」のが目的なので、切符を切るよりも「駐めさせない」「放置させない」ことを優先しています。
すると、いつものように運転手がいないことを確認して数分は監視し、一定時間が経ったら違反処理という流れでは目的を達成できません。夏祭りの会場周辺では、ナンバーから持ち主を割り出して、会場にいる本人に「ただちに車を移動させるように!」と連絡する流れになるでしょう。
祭りの会場から離れていても、迷惑路駐は通報される
駐車対策班は会場から少し離れたエリアでも巡回しているので、「少し遠いけど、この辺りなら駐車していてもいいだろう」なんて考えて駐車すると、警察から連絡を受けてもすぐには戻れません。もちろん、その間は交通の流れを阻害してしまったり、周辺住民に迷惑をかけたりするので、やむを得ず放置駐車違反として処理されてしまう危険が高まります。
その場から排除しないと大きな妨げになる状況なら、レッカー移動されてしまうかもしれません。放置違反金とレッカー移動のダブルパンチだと軽く数万円の支払いになりますから、ずいぶん高い駐車料金になってしまいますね。
久々の夏祭りで気分が高揚しがちですが、毎年のように迷惑な放置駐車に悩まされている周辺住民の怒りや不快は想像以上です。会場から離れていても「また祭りの観客が違法駐車してるよ!」と通報されてしまうので、混雑が予想されるなら早めに出発して駐車場を確保するか、公共の乗り物の利用をおすすめします。マナーを考え、交通ルールを守って祭りを楽しみましょう。
レポート●鷹橋 公宣 写真●モーサイ編集部
元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、noteでは元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。