スタイリッシュなカウルをまとったスーパースポーツモデルを中心に、維持費のリーズナブルさや、だれでも気軽に乗れる車格も手伝って、エントリーユーザーからベテランライダーまで、幅広い層からに好まれている250ccクラス。
「そんなニーゴー(250cc)モデルを中心に、各社のバイクたちに意識があったら……」なんて“if”のお話。
今回は、暑い夏にエンジンを冷やしてバイクを助ける冷却システムのお話です。
作:もるん(@MOLN2RNG)
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水冷と空冷は何が違う!?
バイクは、エンジンの中で燃料を爆発させた力でピストンを動かし、その力をクランクという部品を通してタイヤに伝えることで動力を得て走っています。
エンジンの中で燃料を爆発させると、動力の副産物として熱が生まれます。
この熱をそのままにしておくと、エンジン内部の温度が高くなりすぎてオーバーヒートという現象を起こし、バイクは壊れてしまいます。
これを防ぐためにバイクは常にエンジンを冷却してあげる必要があります。
エンジンを冷やす方法には主に「空冷」と「水冷」の2種類があります。
『ニーゴーマン』作中のヤマハ SR400やカワサキ KLX230など「空冷」式のバイクでは、走行風を利用してエンジンを冷やします。
走行風がエンジンに当たることで熱が空気中に逃げ、冷えるのです。熱々のラーメンをフーフー吹いて冷ますのと同じ仕組みですね。
空冷バイクの場合、風に当たる面積を広くして冷却効率を上げるため、エンジンの外面には「フィン」と呼ばれるヒダ状の加工が施されています。「空冷」式は「水冷」式に比べると仕組みがシンプルなので、昔から多くのバイクに導入されてきました。部品が少なくて済むために軽量かつ整備が簡単なのも特徴です。
また、ヒダのついた「フィン」のデザインも魅力のひとつで「機械感があって見た目がシブい!!」という理由で空冷式のバイクを選ぶライダーもいるようです。
ちなみに、スクーターなどエンジンがボディに覆われていて走行風が当たりにくいバイクの中には、エンジンの回転力を使って扇風機の羽のような「ファン」を回し、エンジンに空気を送ることで冷却する仕組みを持つものもあり、これは特に「強制空冷」と呼ばれています。
一方、作中のホンダ CBR250RRやカワサキ バリオスIIなど「水冷」式のバイクでは、水を使って熱を逃します。
「水冷」式のバイクのエンジンは冷却水が循環する水路で囲まれており、この冷却水はエンジンの熱を吸収して温まったあと、ラジエーターという部品に送られます。
ラジエーターは一般的に走行風がよく当たる場所に取り付けられており、ラジエーターに走行風が当たることで内部の冷却水が冷え、冷えた冷却水はエンジンを囲む水路に戻って熱を取り、またラジエーターへ送られて冷える……という動きを繰り返してエンジンを冷やしているのです。
「水冷」式の利点は、外気温変化の影響を受けにくいことからエンジン性能が安定し、より強いパワーを出せることです。また、水分が振動を減衰するのでエンジンやトランスミッションが発する騒音(メカノイズ)が低減されると言われています。
一方で「空冷」式と比較すると、冷却水用の通路やパイプ、ラジエターなどが必要なので構造が複雑となり、整備性や製造コストの面でやや劣ります。
漫画●もるん まとめ●モーサイ編集部・中牟田歩実