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【三ない運動の何が問題なのか?(4)】新たな「乗せて教える」交通安全教育で重要なのは高校生たちがどう変わったか知ること

交通安全教育の本当の意味とその効果とは?

高校生がバイクに乗ることに関し、「免許を取らせない」、「買わせない」、「運転させない」といった3つのスローガンを掲げ規制する社会運動が「三ない運動」。

近年、埼玉県はその運動の撤廃に踏み切った一方で、バイクに関する座学や実技講習を行うことで「乗せて教える」という交通安全教育を実施しています。
その新たな活動では、どのような方針で、どのようなことが重視されながら進められているのでしょうか。「高校生の自動二輪車等の交通安全に関する検討委員会」会長の稲垣具志氏に伺いました。

埼玉県が行った「高校生の自動二輪車等の交通安全講習」の様子。指導役は安全指導員や白バイ隊員。

モニタリングを行うことが重要

三ない運動をやめて、その代わりに“乗せて教える”交通安全教育に転換する方針を取った埼玉県。ただし、稲垣氏はこう続ける。

「教育というのは受けるもので、施すものではありません。受けた側が変わって、初めて教育なんです」

座学にしろ実技にしろ、何をどのように教えるべきなのか? 実技講習で教えている内容が公道を走る上でどう活かされるのか? そして(講習の内容や効果が実際バイクに乗る時いかに大切か)、その意味を受講生に明確に教える必要があると言う。

こうした点を精査する上で、とても重要な行程が(講習などを受けた高校生がどう変わったかなどを知るための)「モニタリング」だ。そのため、埼玉県ではモニタリングの組織委員会を立ち上げている。その点について稲垣氏に伺った。

埼玉県の「高校生の自動二輪車等の交通安全に関する検討委員会」で会長を務めた稲垣具志氏

モニタリングは事故抑止の観点から進めるべき

まず、交通安全教育と安全運転講習が本当に生徒たちの行動を変え得るのかどうかということ。座学と実技がリンクした状態で講習が進んでいるのか、また、問題になっている“隠れ乗車”していた子たちがどれくらい変わったのか。さらに、事故が起きているのであれば何が問題だったのか。

例えば、バイク事故が起きた原因が道路環境であるならば、それは二輪車事故抑止の観点から是正する必要がありますし、その原因が規制であるならば、モニタリング組織の中には道路管理者も入るべきです。モニタリング組織とは、高校生の安全な二輪車利用を一つの転機として、(交通社会全体における)二輪車の通行環境、走行環境、利用環境を考える組織でもあるべきです。

モニタリングの成果と指標とは?

定量的に(数値化し分析し)ベーシックな話をするのであれば、(必要なのはまず)受講者の数です。バイクに乗りたいという子の数、隠れ乗車をしていた子の数、さらにはやんちゃな子がどれくらいいて、そういう子らも白バイ隊員から指導を受けたという数です。

定性的(に効果などの性質を分析するの)であれば、講習会等で実施されるアンケート調査において、(高校生たちから)どのようなレスポンスがあったのかを知る必要があります。
また、(講習を実施して)2年、3年と経った時に、令和元年度の受講生に対して卒業時にアンケートを実施するということもあり得ます。
とにかく、当事者(の高校生たち)を抜きにした評価をしてはいけないと思います。なお、事故が起きたのか起きていないのかというのは基本中の基本として押さえるべきところかと思います。

教育は、効果を図る指標というのが本当に難しいんです。交通安全教育は試験をやるわけではないので、平均点が上がって良しというものでもありません。本当にちゃんと見ようと思ったら、その子をしっかり追いかけて交通安全に関する行動がどれくらい促進されたのかをモニタリングする必要があると思います。

三ない運動は家庭に帰ってくる

三ない運動のように、PTAから始まって教育現場に丸投げしていた「もの」がなくなると、実は(交通安全教育に関わる問題などが)家庭に帰ってきます。なので、家庭でどれだけ交通安全教育をやっているのかというところも重要です。
埼玉県では免許取得時やバイク購入時に誓約書を書いてもらいますが、その時に、親も同じリスクを背負うんです。生徒だけでなく、家で「乗っていいよ」と許可するので、家庭でも交通安全教育が促進されているのか、ということも追いかけたいところです。

※写真はイメージです。本文中の()内は編集部注

レポート&写真●田中淳麿 編集●平塚直樹

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