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A.S.H.クオリティの真髄 ⑤ちょい古空冷エンジンを熱ダレから守りたい!

空冷大排気量エンジンにとって鬼門の季節、それは「夏」。
冷却もオイルに依存するうえ、発熱量も多いとなると、エンジンの回転が不安定になったり、シフトフィーリングが悪化したりする熱ダレがどうしても起きやすいような気がします……というか実体験です。

特に、近年の夏場は気温が30度台半ばは当たり前、地域によっては40度近くにもなりますよね。
以前、空冷のナナハンマシンでそんな真夏日にツーリングをしていたら、帰るころにはアイドリングはブワンブワン不安定になるわ、シフトフィーリングはグニャグニャになるわ──。
走っていて気持ちが悪いだけでなく、エンジンを痛めつけてしまったような気分になり、楽しいはずのツーリングがガッカリ気分で幕を閉じることに、なんてこともありました。

設計の古い空冷エンジンにもフィットするPSE

しかし「空冷、キャブ、ナナハン、ヨンパツ」のノスタルジーに駆られ、うっかり最近カワサキZR-7S(2004年式)を手に入れてしまった筆者。
そんな苦い経験もついでに思い出し、本格的な夏の到来とともに「熱に弱いポリマーを増粘剤として使っていないので、劣化しづらい」というアッシュオイルで熱ダレ対策を行おうと決意したのでした。

ただ、ハイグレードの100%化学合成オイルを使うというのはちょっと違うような……。
というのも、旧車というほど古くはないけど、エンジンの原型は1970年代の“ザッパー”ことZ650に行き着くZR-7S。
さすがに滲んでくるってことはないとは思うものの、最新のバイクに比べればエンジン内部パーツのクリアランスが広そうだし、高負荷のかかるサーキット走行をするわけではないし。
でもって、できればお手頃価格のものがいいし!?

ナナハンとは言ったものの、じつは738ccの空冷4気筒DOHC2バルブエンジン。走行距離は3万8000kmで、燃料コックのまわりがサビていたり、フィンが粉吹いていたり、インシュレーターが微妙にヒビ割れていたり……と適度にヤレています。

そこで、アッシュオイルの製造を行うジェイシーディプロダクツの岸野 修代表にZR-7Sのような“ちょい古空冷バイク”に適したオイルを提案してもらったところ「鉱物油とエステル化学合成油からなる部分合成油で、欧州車や旧車などエンジン内部のクリアランスが広い車両と相性の良いPSEがおすすめです」とのこと。
というわけで、早速ZR-7Sに投入!

なお、今回のテストではよりPSEの特性を確認したいと思い、オイル交換から約1000km走行というそれほど使い込んではいない状態からPSEへと交換を行いました(ちょっともったいない気もしたけど)。

まずは1000km走ったオイルを排出。素人目に見ても、そこまで汚れていない感じ?
最近の車両ではカートリッジ式フィルターが当たり前となっているが……ZR-7Sは原型となったエンジンが古いせいか内蔵式だった。一応2000年代の車両なんですけど。

低回転域での変化

交換後すぐにわかったのは、アイドリング時の振れが落ち着きしっかりと一定に揃うようになったのと、2000~4000回転であったザラザラとした感触が消えてスムーズな回転感になったこと。
このザラザラ感、古い設計の空冷エンジンならではというか、男カワサキっぽいというか、ある種の「味」と思っていたのだが、う〜む……そういうわけではなかったらしい。

ちなみに約60km/h走行時、5速ではアイドリングちょい上の2000回転くらいなのですが、PSEを投入してからはギクシャクすることなくスーッと走り切ってしまうように。そこからスロットルを全閉にしてアイドリング回転域で走行させても……お〜こちらもしっかりと前に進む!
あまりにも動きが滑らかなので、5速に入れたままスロットルの微調整だけで40〜60km/hの速度域ではオートマ車のようにも走れてしまうほどでした。
エンジンの回転がしっかり保たれ、そのうえで回転が無駄なく動力として活用されている感じ?

さらに、真夏の渋滞する街中──高温なのに加え、走行風による冷却も期待できない過酷な状況でストップ&低速ゴーを繰り返しても、回転は常に安定していました。

ZR-7Sの純正指定粘度に合わせ、10W-40のPSE MOTO-SPECを使用。フィルターを交換したので、3.5Lを投入しました。

中〜高回転域での変化

低回転域で感じられたスムーズさは、中〜高回転域でも継承され、5000回転以上回していくと、4気筒らしい「フオォーン」という音というがクリアに聞こえ、高回転域での伸び感が出ている印象。

それって、メカノイズが減った→適切な潤滑が行われフリクションが低減している→しっかりとエンジンが性能を発揮している、ということだと思うので「実」のある嬉しい効果なんですが、ちょい古空冷エンジンならではの「エンジン内部で重いパーツがグルグル回っている感覚」もクリアに伝わってくる感じで、それも個人的にはポイント高し。
(消えたザラザラ感とは異なり、コッチは本当に「味」だと思います)

回転感がスムーズになったとは言っても、もちろんレスポンスなんかは現代の水冷多気筒エンジンと比べるべくもないわけですが、空冷エンジンには空冷エンジンの魅力があるのを実感させてくれるというか(笑)

また、高回転域を使っているときに気付いた変化で言うと、シフトダウンがキレイに決まるというのもありました。
具体的に言うと、これまで高回転時にシフトダウン操作でペダルを踏み込むと「踏み始めは軽く、踏み込んだ先でバシャン!とショックを伴ってギヤが繋がる」という反応だったのが、「踏み始めに適度な手応え(というか足応え!?)があり、その途中でスチャッと吸い込まれるようにギヤが繋がる」節度ある反応へと変わったのです。

フィーリングの変化が気持ちいいというだけでなく、歯車の先端までしっかりオイルに包まれているイメージと言ったらいいんでしょうか(実際それを目で見ることはできませんが)、ギヤを労っている感が得られて精神衛生上も気持ちがいいです。

真夏日でも安定したフィーリング

さて、最高気温が30度台半ばとなるのが日が続くなか、渋滞する街中から高速を使っての移動まで取材のアシとしてZR-7Sを使い倒しておりますが、今のところ熱ダレの気配は全然なく、あらゆる場面で安定しています。

ポリマーを使用しないことで「熱に強い」という特性を追求しているアッシュオイルですが、「ロングライフ」というメリットもあるといいます。
高温にさらされるとポリマーの分子構造は壊れてしまい、増粘剤として本来の効果が失われるどころか、オイルの汚れ=スラッジのもとになってしまうのだとか。
そのロングライフ性に関しては、しばらく距離を伸ばしつつ様子を見ていきたいと思いますが、この気持ちよいフィーリングが長続きという意味でも「安定」するとなれば、頼もしいことこのうえないです!

レポート●モーサイ編集部・上野 写真●モーサイ編集部

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