2020年4月4日に発売された今季最大の注目モデル、カワサキZ H2。スーパーチャージドエンジンを搭載したH2シリーズ初のネイキッドモデルだが、ニンジャH2のカウルを取り払って「はい、出来上がり!」というお手軽(?)バイクではない。
そこで、スーパースポーツのニンジャH2、そしてスポーツツアラーのニンジャH2 SXと細部を比較してみよう。
ニンジャH2 SXと同じバランス型スーパーチャージドエンジンを搭載

Z H2に搭載されるパワーユニットは、200馬力/14.0kgmを発揮するバランス型スーパーチャージドエンジンだ。これは、同じ76.0×55.0mmのボア×ストローク値を持つニンジャH2カーボンの231馬力/14.4kgmよりもややおとなしく、数値上はH2 SXと同じ。
しかし、最大トルクの発生回転数はH2 SXの9500回転に対しZ H2では8500回転に落とされており、低中速域でより太いトルクを発生させるようセッティングされているのだ。
半面、最高出力はH2 SX、Z H2ともに11000回転で発生し、パワーカーブにも大きな差はない。ちなみにニンジャH2の最大トルクは11000回転、最高出力は11500回転で発生する。

Z H2用に新設計されたトレリスフレーム

3車とも種類はトレリス(格子状)フレームだが形状は全く異なる。ニンジャH2はシートフレームが別体で、H2 SXとZ H2はリヤフレームを持つが、そのH2 SXとZ H2の形状も下の写真のように別物。3車それぞれの性格に合わせて専用設計されているのだ。単にフレームデザインだけでいえば、ネイキッドのZ H2が最もシンプルな形状と言えるだろう。



Z H2は両持ち式スイングアームを採用

ニンジャH2はカワサキ初となる片持ち式スイングアームを採用し、H2 SXもそれを踏襲。しかしZ H2ではニンジャZX-10RRの技術をフィードバックした、軽量化と高剛性化を可能とする両持ち式に変更されている。
なお、フレームの軽量化と剛性確保のため、エンジンの背面にスイングアームマウンティングプレートを締結し、そこにスイングアームピボットシャフトを貫通させた取り付け方法は3車共通となる。


6本スポークのキャストホイールはZ H2のみ

ニンジャH2とH2 SXのホイールは強度解析によって最適な剛性バランスを実現した星形5本スポークだが、Z H2はオーソドックスな6本スポークとなる。ちなみにH2とH2 SXのホイールもそれぞれ専用設計だ。
3車のタイヤサイズは、フロントは120/70ZR17で共通、リヤはニンジャH2が200/55ZR17、残りの2車は190/55ZR17を履く。


200馬力で200万円を大きく下回る
Z H2のコストパフォーマンス
基本部位を比べるだけでも大きな違いがあることがわかったZ H2だが、それらの変更により189万2000円という200万円を切る価格設定が可能となった。これはニンジャH2カーボン(363万円)の約半額で、ニンジャHS SX(244万2000円)よりも55万円も安く、スーパースポーツのニンジャZX-10Rやビッグアドベンチャーのヴェルシス1000SEよりも安価とは、もはやバーゲンプライスと言っていい。
にもかかわらず、トラコン、ABS、ローンチコントロールを統合制御するKCMF(カワサキコーナリングマネージメントファンクション)、クイックシフター、クルーズコントロールといった最新の電子制御システムもしっかりと搭載するのだから驚きだ。
リッターSS並みのパワーと1300ccクラスの大トルクを持つが気むずかしいことはなく、豊かな低中速トルクと電子制御によるアシスト、アップライトなライディングポジションによって街なかでも扱いやすく、頑張れば手が届く……それがZ H2なのだ。