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日本生産終了後も独自の発展をした「ホンダ車」 CG125の中国版と日本生産版を比較する

1974年に新興国向けに開発されたホンダの125ccバイク「CG125」。
過酷な条件で使用されることを想定した耐久性重視の設計で、アジアや南米などで多くの支持を集めたスーパーカブに匹敵するワールドワイドに活躍するバイクなのである。
CG125は日本で生産したものを輸出するエリアもあったが、現地生産が行われた国もあった(日本での生産は1990年代末に終了)。また、現地生産が行われる過程で、彼の地の需要を踏まえ独自の改良を行っていく国もあった。そのひとつが中国である。
FIも採用しているという中国生産版の最新モデル2019年型CG125は、「原型」の日本生産版CG125とどこが違うのか。日本生産版CG125(*)を愛用するライダーが自身のCG125と比べてみた。

*日本生産版であってもCG125は輸出専用車で、正規販売は行われていない


CG125

右が中国生産版の最新モデル。ヘッドライト下の「WUYANG HONDA」とはCG125を生産する中国現地企業の名。漢字では「五羊-本田」となる

CG125日本生産版最終モデル(1998年型) VS CG125中国生産版最新モデル(2019年型)

筆者のCG125は2000年に購入した1998年型の日本製で、現在までに7万km以上走行。この間、主だった修理歴はシート表皮の張り替え(現在のはノンオリジナル)とCDIの交換が1回、ホイール内ギヤの摩耗により速度計が動かなくなったのが1回、回転計のワイヤー切れ1回、ステムベアリングのガタつきを2回修理した程度。
あとは消耗品の交換で済んでおり今でも快調だ。

細かく言うとセンタースタンドを上げたときの衝撃を緩和するダンパーが劣化してバシャンと大きな音を立てるようになったりするなど、細部の経年劣化は免れないために買い替えようと思ったことも一度ならずあった。
が、そういう部分も手を入れていけばちゃんと直るし、維持費も安く、燃費はコンスタントに40km/L以上、うまくすれば50km/Lをマークする。
ほかにも「エンジン屋」と呼ばれるホンダの面目躍如たるOHVエンジンのフィーリングや、余計な装備は一切付かないシンプルさなどが気に入って、これまでにも原付から大型、国産、外車を問わず10台以上乗り換えてきた中でも一番長く付き合っている。

「CG125は中国バイク史における神話である」と言ってはばからない彼の地のマニアの区分法によると、この1998年型はシリンダーヘッドカバーの色が銀色(これより前のモデルは黒)であることから「銀猫」と呼ばれ、第4世代という位置付けがなされている。以下も、中国のマニアによる分類だが……

第1世代はCG125同様1970年代に登場したCB125JXと似た外観の丸目ヘッドライトで、第2世代で角型ヘッドライトを採用し燃料タンクやサイドカバー、シート形状を変更。ここまでは6Vのポイント点火で、それぞれ「白金1代」「白金2代」と呼ばれる。

CDIや12V電装を採用して1980年代末から1990年代半ばまで生産された第3世代は「三毛猫」と呼ばれ、第5世代から生産を中国に移管してセルスターターや5速ミッションを装備。
2008年に登場した第6世代で「OTR」と呼ばれる新型エンジンを採用、そしてFI化された現行型は第7世代……というくくりになる。

中国生産版が輸入車として流通しているのは知っていた。ただ、これまで自分が所有する以降の型の実物を見る機会は皆無といっていいほどなく、ウェブの写真などを見て「まだ現役だったか」くらいの認識しかなかったのだが……。
改めてじっくり実物と比較してみると、予想以上の別物へと進化していることが発見できた。以下、その主だったところを列記していこう。

■外観の比較

CG125 フレーム

手前が中国生産版。日本生産版よりフレームが露骨に太くなっている

中国生産の最新型CG125は、各種センサーや、蒸発したガソリンを外に出さないためのキャニスターなど、様々な補器類が追加されてだいぶ物々しい姿になった(近年の空冷エンジンのロングセラー車と同様だ)。
が、それより気になったのはエンジンの前に見えるフレーム。中国生産の最新型は自分の日本生産版1998年型と比べて1.5倍近く太くなっていて、まるでサラブレッドの脚と農耕馬の脚(?)くらいの差がある。
リヤウインカーの位置もリヤシート後端部まで移動しているが、この付近のフレームもかなり頑丈そうな作りに変わっている。なお1998年型CG125のリヤキャリヤはオプション設定で、現行型のものと比べて小ぶりできゃしゃな作りである。
(ちなみに日本生産版はシングルシート+大型リヤキャリヤ仕様に仕立てることもできた)
燃料タンクは全体の造形こそほとんど変わってないが、中国生産の最新型は給油口付近にくぼみが設けられている。

日本生産版のタンク

中国生産版のタンク。給油口の周囲にくぼみが設けられているほか、キャップの形状も微妙に異なる

■エンジンの比較

両車ともOHVで、ボア・ストロークも同じであるものの、よく観察するとシリンダーヘッドカバーをはじめとして造形は別物だ。特に腰下の造りはだいぶ異なる。
ミッションにも違いがあり、日本生産版1998年型CG125のミッションは1番下がNとなるボトムニュートラルの4段リターン式。シフトアップの際は前側を下に、シフトダウンは後ろ側を踏み込む。対して、中国生産の最新型CG125のミッションはは5段ロータリーで、シーソー式ペダルの前側を踏み込むとN→1→2……とアップしていき、5速から前側を踏み込むと再びNに戻すことができる。
マフラーも長さが変わっている。

日本生産版のエンジン。燃料供給方式はキャブレターで、キック始動のみ。外観のヤレ具合はご容赦してほしい

中国生産版のエンジン。燃料供給方式はフューエルインジェクションになり、キャニスターなどを追加。キックペダルは廃止されている

日本生産版のエンジン左面。中国生産版に比べるとスカスカで、シンプル極まりない。外観のヤレ具合は(以下略)

中国生産版はエンジン後部にはセルモーターが追加されている。ヘッドカバーはフィンの数を増やした形状に

■足まわりの比較

ホイール径やタイヤサイズはまったく同じだが(前後18インチ)、中国生産の最新型CG125はより大径ドラムのブレーキが装備されているされている。実際乗り比べると、効きも相応に強力になっていた。
サスペンションは日本生産版1998年型でも硬めだったが、中国生産の最新型CG125はいっそうバネっぽい「ボヨン」とした動きで、1名乗車ではフロントブレーキをかけてもほとんど沈み込まない
フレームと併せてヘビーデューティ化がいっそう進んでいる感じだ。

手前が中国生産版で、ブレーキドラムが拡大されている。日本生産版のスポークがサビているのは気にしないでほしい

■装備の比較

前後フェンダーのフチがていねいに加工されていたり、シフトペダルの造形が凝っている日本生産版1998年型CG125に対し、中国生産の最新型CG125はフェンダーのフチがグニャグニャした線を描いていたり、シフトペダルの造形がだいぶ簡素化されている点には思わず苦笑い。
生産環境の違いもさることながら、コスト重視の結果もあるのだろう、2000年に購入した際の車両価格は約20万円だったが、現在輸入されて流通している中国生産版は約16万円。実際、安いのである。
一方、中国生産の最新型はセルスターターにFI、大型リヤキャリヤ、シフトインジケーターなどが付いており、装備の充実ぶりは比べるべくもない。

日本生産版のメーター。ニュートラルランプとウインカーランプがあるのみのシンプルな構造だ

レッドゾーンが1万1000回転までとなる中国生産版。中央にシフトインジケーターが設けられているほか、左右それぞれのウインカーランプ、ハイビームランプ、エンジン警告灯なども追加

日本生産版のシフトペダル。ボトムニュートラルの4速ミッションである

中国生産版は5速ロータリーミッションに。ステップもシフトペダルも形状が変わっている

■なぜカタチは変わらないのか?

ここまで中身は変えておきながら、このデザインに固執し続けるのは日本におけるスーパーカブと同様に「この姿でなければCGにあらず」と考えるユーザーが少なからずいるためのようだ。
最近は違法コピーに対する姿勢や環境が変わってきたためすっかり見なくなったが、かつてCG125を忠実にコピーした模造品が中国市場で氾濫していたことからもそれはうかがえる(コピーであっても構わないから「CG125」が欲しい、という人気の裏返しなわけで)。

中国のWUYANG HONDA(五羊-本田)で生産されている2019年型CG125。全体の雰囲気は日本生産版と変わらない

レポート●高野栄一 写真●モーサイ編集部 編集●上野茂岐 取材協力●バイク館SOX

世界ではカブに匹敵する大人気実用車、ホンダCG125を知っていますか?

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