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カーボン部分が丸わかり! スッピン素顔のダカールラリー用バイク「CRF450ラリー」をオートサロンで発見

ダカールラリー参戦バイク、ホンダCRF450ラリーが生まれるまで

1986年から1989年まで4年連続でパリ・ダカールラリーを制したホンダは、その後、同ラリーにおいてワークス活動を休止。次にダカールラリーへ参戦したのは2013年のことで、24年ぶりの復帰であった。
(途中、ワークススケールではないが、1995年のグラナダ・ダカールラリーのエクスペリメンタルクラスに2サイクルエンジンを搭載したプロトタイプマシン、EXP-2では参戦している)

1989年、G.ラレイ(フランス)が駆ったNXR750。4連覇を達成し、この年を持ってホンダはパリ・ダカールラリーにおけるワークス活動を終了した。

EXP-2はワークスではなく、朝霞研究所員主体のチームとしての参戦。エンジンは後にCRM250ARに採用される「AR燃焼」の2サイクル402cc。吸気はインジェクション方式で、J.ブルシーが駆り総合5位の結果を残した。

活動休止中に開催国が変わったのはもちろん、単気筒シリンダー限定、排気量は450㏄まで、クランクケースは量産車のものを使用といったようにバイクの車両レギュレーションも大きく変わった。

24年ぶりのワークス参戦となった2013年にホンダが用意したマシンはCRF450X(エンデューロレーサー)をベースにしたCRF450ラリー。
開発期間が約6ヵ月と時間がないなかで、ナビゲーションタワーや大容量タンクなどを追加装備し、ホイールのリムやスポークの太さなど各部を高速域での走行に耐えられるよう変更。
エンジンに関してはキャブレターからインジェクションへと吸気方式を変更し、標高の変化に柔軟に対応できるようにした。とはいえ、参戦初年度のCRF450ラリーは関係者自ら「市販改造車」と語るレベルだったという。
2013年の成績は、H.ロドリゲス総合7位、J.ピゾリト同8位、J.キャンベル同40位と参戦した3人全員が完走。総合順位7位がホンダ最高位で、トップのKTMから1時間以上引き離されてのフィニッシュであった。

2013年のダカールラリーTEAM HRC。左からH.ロドリゲス選手(ポルトガル)、J.ピゾリト選手(アルゼンチン)、J.キャンベル選手(アメリカ)

2013年型CRF450ラリー。EXP-2の開発メンバーであった山崎勝実氏が2013年のチーム代表を務めた。EXP-2の透明なフロントカウルがCRF450ラリーにも引き継がれているのはそれゆえだ

2014年はライバルに遅れをとっていたトップスピードを向上させるためエンジンのカム駆動をCRF450XのユニカムバルブトレインからDOHCヘッドに変更。ラリーバイクに求められるタフネス性を維持したまま、より高回転、より高出力を達成し、この年のダカールでは13のスペシャルステージのうち6つのステージで優勝。
その速さを印象づけるとともに、8000km以上を走破するラリーをエンジン無交換で乗り切った。
(レギュレーション上ではスペアエンジンへの交換は認められていて交換1回目に15分、2回目に45分といったペナルティタイムが課せられる。CRF450ラリー参戦以前は休息日にエンジン交換をするのがワークスチームの常とう手段だった)
しかし、総合順位は5位が最上位。途中、不運なトラブルなどもあったが、速さが順位に結びつかないのも事実であった。
以後、2015年は総合2位、2016年総合4位、2017年総合5位、2018年総合2位、2019年総合7位と優勝をねらえる位置まで来ているが、いまだ第2期ダカールチャレンジは総合優勝を果たせないままでいる。

2020年は開催地がそれまでの南米大陸から、中東のサウジアラビアへと舞台が変わり、2020年1月5日から1月17日にかけて行なわれる。
全行程7800km、うちスペシャルステージは5100km、ルートの75%が砂漠地帯だ。ホンダは1月14日現在でR.ブラペック(アメリカ)が駆るCRF450ラリーが総合首位に立っており、悲願の初優勝をねらう。

終盤戦のステージ9、ワディ・アド・ダワシル→ハラドを走るR.ブラベック。ステージ4位につけ、総合首位をキープ(現地1月14日)。


未塗装スッピン状態のホンダCRF450ラリー
東京オートサロン2020「東レ・カーボンマジック」ブース展示車

ライダーを乗せた状態で風洞実験を行い、高速域での走行安定性を考慮したフォルム。外装はカーボンで、アンダーガードやシートを支えるサブフレームもカーボン製だ(それぞれ東レ・カーボンマジック製)。
東京オートサロンに展示されたマシンは2020年型ではないようでフロントスクリーン角度や形状、マフラーなどが最新型とは異なっている。

エンジンはいまだ外観が公開されていないが、DOHCであることは公表されている。
ボア・ストロークは97.0mm×60.8mm、排気量は449.4cc。モトクロッサーのCRF450Rは96.0×62.1㎜なので、それよりもショートストロークの設定で、出力は45kW以上(61.2馬力以上)とだけ公表されている。
砂漠での最高速が180km/h以上というデータがあり、KTM以上のトップスピードを誇るといわれている。

物々しいつくりのエキゾーストパイプ。アンダーガードはカーボン製

フロントフォークはインナー径51mmの倒立フォーク。ショーワのスペシャルで、ダカールラリーの前哨戦(テスト的意味合いが強い)であるモロッコラリーでは過去に電子制御サスも使用されたことがある。
2019年型の公式発表によるとフロントのストローク量は310㎜、リヤはストローク量は315㎜。ちなみにモトクロッサーCRF450R(2019年型)のストローク量はフロント305㎜、リヤは314㎜。

リヤサスペンションのリンク部分

砂ぼこりを避けるためエアインテークはタンク上に位置する。エアクリーナー本体はタンク真後ろに配置し、ここをガードするカーボン外装にも穴が開けられている

スイングアームは合志技研製のスウェージング加工で整形されたもの。
レギュレーションで車両に緊急用の水を搭載することが義務付けられているが、かつてはスイングアームの中に水を入れていた時代もあった(現在は空洞)。なお、今はアンダーガード内、クランクケース前に水タンクを装着している。
ホイール側が細くなっているのは、剛性バランス追求の結果で(意図的に弱くなる部分を作っている)ライダーがリヤタイヤの挙動を察知しやすくするため。

燃料タンクは前後左右に振り分けていて(写真はシート後部のタンク)、すべて合わせた総容量は33.7L。各タンクは独立していて、転倒などでのタンク損傷に備える。燃料ポンプはタンク外にあり、それぞれのタンクからの配管が集まる仕組み

レポート●飯田康博 編集●上野茂岐 写真●モーサイ編集部/ホンダ

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