実際に乗れて動くコライドンを作る!
2025年3月7日、東京・港区のホンダウエルカムプラザ青山においてホンダコライドンプロジェクトの発表会が行なわれ、ほぼゲームの設定と同じ大きさという「ホンダ コライドン」がお披露目されました。

コライドンは2022年発売のゲームソフト「ポケットモンスター スカーレット」に登場する伝説のポケモンです。ライドポケモンと物語の中では呼ばれていて、ゲーム内では主人公がまたがって縦横無尽に移動できるポケモン。
今回のプロジェクトは2024年にトヨタ技術会が製作した「トヨタ ミライドン」(2022年発売 ポケットモンスター バイオレットに登場するポケモン、ミライドンをモビリティ化したもの)に刺激され、ホンダの二輪技術者が企画し、二輪事業、パワープロダクツ、先進技術研究所など部署の垣根を超えた約40名のスタッフによって、2024年夏から推進してきたプロジェクトです。
企画にゴーサインが出るにあたって上層部から言われた条件は「ホンダらしいコライドン」を作ることだったそうで、企画自体は「面白そうだね」とすんなり通ってしまったとのこと。

ゲームの中でコライドンは「しっそうけいたい」や「ゆうえいけいたい」、「かっくうけいたい」などフォルムを変えることができますが、ホンダが製作したのはバイクのような形になりつつ、四つ足で移動する「しっそうけいたい」です。このフォルムでもしっかり自立できるようホンダの先進技術研究所がもつライディングアシストや、アシモの技術が組み込まれ、技術面においてホンダらしいコライドンとなっています。
今回の公開時はまだ動かない状態でしたが、今年の夏前くらいには実際に人を乗せ、自立し、四つ足を動かして移動できるようにしたいとのことでした。
なお、ホンダコライドンはタイヤのように見える丸くなった浮袋や尻尾の中に組み込まれた車輪の回転で前進し、四つ足は地面を蹴っているように動くようになるとのことです。

ここまでで難しかったことはカラーリング。プロジェクトメンバーそれぞれが思う、コライドンの色というのが少しずつ違っていて、それをどうやって現実世界の色に近づけていくのかが難しかったとプロジェクトリーダーの萩原さんは言います。
企画立案の坂本さんによれば、浮袋と言われている部分(タイヤのように見えるところ)を動かして駆動し、自立させる方法であったら簡単なのだけど、それではコライドンではなくなってしまうので、その解決に苦心したとのことでした。



完成後はトヨタ技術会の「トヨタ ミライドン」と並べて展示してみたいというホンダのコライドン。現在、シミュレーション上では動かせるところまできていて、時速10〜15kmくらいで移動できるよう、夏前の完成を目指したいそうです。また、手足だけではなく、目や口も動くようになるのでは? とのこと。
開発では乗車する人間は小学五年生くらいの体格(身長130cm前後)を想定していますが、耐荷重はかなり高めに設定していて大人でも問題なく乗れるように作られているそうです。とはいえ、「大人が乗ったら可愛くないですよね(笑)」とのこと。

リポート&写真●飯田康博