2019年スズキが東京モーターショーに参考出品するのは、日本初公開となる油冷250㏄単気筒エンジンを搭載した2台のスポーツモデル。また、MotoGPの参戦車両であるGSX-RRも展示される予定だ。
report●片倉義明 photo●スズキ
日本でも好評なジクサーの上位モデル
日本でも好評を得ている154ccスポーツ、ジクサーの上位モデルとして2台のニューモデルが、今年、インド市場に投入された。
それが、フルカウル仕様のジクサーSF 250と、ネイキッドのジクサー250。搭載されるエンジンは、低コストとコンパクトをテーマに新開発された、スズキ伝統の“油冷”4ストローク単気筒OHC4バルブだ。
GSX1400以来となるこの油冷エンジンは、2015年の東京モーターショーに参考出品されたコンセプトモデル、「Feel FreeGo!」の油冷50ccエンジンを250ccで製品化したもの。
油冷エンジンは水冷と比較しウオータージャケットが必要なく軽量化できるのが特徴だが、この新型エンジンには従来のSACS(スズキ・アドバンスド・クーリング・システム)ではなく、全く新しいSOCS(スズキ・オイル・クーリング・システム)を搭載する。
さらに、MotoGPの軽量化技術やフリクション低減技術の採用、バルブ配置をOHC4バルブとしたことなどが小型化・軽量化に貢献し、高出力と低燃費を高いレベルで両立させている。
この250ccスポーツの2台が東京モーターショーの会場で日本初公開される。国内発売は未定だが、現地仕様ではなく日本市場向けの提案モデルとして展示されるというから市販化も十分に期待できそうだ。
GIXXER SF 250
スズキの大型スポーツバイクと共通イメージを持たせたフルカウルモデル。ヘッドライトからタンクまでの一体感あるデザインや、ボリュームのあるタンクとスリムなシートの対比がスポーティさを演出している。
GIXXER 250
ネイキッドモデルは、155ccのジクサーと同じく塊感のある力強いサイドシルエットを持つ。その一方で特徴的なのが、異質とも言えるほど薄型化されたヘッドライトのデザインだ。
特徴的な フロントまわりの造形
SFのヘッドライトはGSX250RやGSX-R125などと共通するワイドな形状。シールドはGSX250Rよりも大幅に小さく、GSX-R1000Rなどよりも小ぶりだ。横から見るとヘッドライト先端は鋭角で、GSX-S1000Fのシルエットに似ている。
ジクサー250は極限まで薄くしたLEDヘッドライトを採用。ヤマハMT-25やカワサキZ250のような上部カバーがないためオーソドックスな造形に見えるが、その形は円形ではなく、また155ccジクサーとも異なる個性的なデザインとなっている。
Specifications [ ]内はGIXXER 250
【エンジン・性能】種類:油冷4ストローク単気筒OHC4バルブ 総排気量:249cc 最高出力:26.5ps/9000rpm 最大トルク:2.26kg m/7500rpm 【寸法】全長:2010 全幅:805[740] 全高:1035(各mm) 価格:17万655ルピー(約25万8400円)[15万4800ルピー(23万4400円)]
※数値は出展車両。価格はインドの販売価格で、日本円に換算したもの
スズキのこだわり 新しい油冷エンジンの実力は?
オイルクーラーにより冷やされた潤滑オイルでエンジンを冷却し、特に高温になるシリンダーヘッド部分には直接オイルを噴射するSACSは、1985年登場のGSX-R750で初採用された冷却方式。
ジクサー250の新型エンジンではコスト低減と軽量化のため、高温部にオイル通路を設けオイルを圧送することで冷却する新方式、SOCSを採用している。
いったいどのような性能なのか、最新油冷エンジンもまた、日本正式導入が待ち遠しくさせている理由のひとつといえるだろう。