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登場したてのニューモデルから、近日登場予定の参考出品モデルなど、注目モデルが目白押しで盛況だった東京モーターサイクルショー。実車に触れてまたがれるモデルも多数用意されていたから、新車購入予備軍には絶好の機会だが、物欲が徐々に減退中の年配ライダー(筆者)にも興味深いアイテムは、そこかしこに転がっていて……。というわけで、ベテランライダー層でもオッと思うアイテムを、独断と偏見でご紹介しよう。
Z1000Mk.IIレプリカ、ドレミコレクションの「Z900RS Mk.2 Style」
ドレミコレクションと言えば、カワサキ空冷Z系リプロパーツなどの豊富なラインアップで有名だが、人気旧車の難点と言えば、台数に限りがあり良質なコンディションの実車が時とともに減っていくこと。そんな状況ゆえに、良品があれば価格はうなぎ上りに高騰。庶民にはどんどん手の届かない価値が付いていくばかり。
そこで、ドレミコレクションが提案しているのが、現行車を旧車ルックに仕立てること。カワサキのヒットモデルで、そのベース車としても人気が高いZ900RSをZ1ルックに仕立てるパーツが豊富に揃えられて販売中だが、今回ショー会場で注目を集めたのがZ1000Mk.II風に仕立てられたZ900RS Mk.2 Style。
■展示車の脇には「開発チームが5年の歳月をかけたどり着いた渾身の【Z900RS Mk.2仕様】外装セット。ついにスチールタンクと純正素材同様のABS+素材のサイドカバー、テールカウルでの生産で本格的に始動します」と書かれたプレートが掲出されている。手前は塗装前のMk.2スタイル用スチールタンク。
■なお、本家のZ1000Mk.IIは、Z1(903cc)から排気量アップされた1015ccエンジンを搭載し、1979年の海外向けモデルとして登場(国内版は同意匠のZ750FX-Iが存在)。角型フォルムをまとった空冷Zの花形機種として人気沸騰。現在中古車相場では、良質な中古車では軽く500万円を超えるプライスタグが付けられている。写真は北米仕様の「KZ1000Mk.II」。
■ドレミコレクション製空冷Z系スタイルのベース車は、カワサキZ900RS。ソリッドなネイキッドフォルムと丸みを帯びたZ1的なイメージで、同車自体も好評販売中だが、空冷Z系フォルムを突き詰めてカスタムしていくと、内側に隠れたセンターモノショックのリヤまわりが、すっきりしすぎて物足りない?
ドレミの渾身作、角Zルックの一品ものスチール製燃料タンク
そんな絶版人気旧車のレプリカ外装をまとったZ900RS Mk.2 Styleは、市販予定の試作車として展示されていた。第一の注目ポイントは、造形から緻密にMk.2ルックとされたスチール製タンク。従来からのZ1 Style用タンクは、14L容量のインナータンクに丸みを帯びたZ1風のFRP製タンクカバーを被せる構成だったが、Mk.2 Styleでは専用のスチールタンクを開発。
角型の外観にこだわったほか、Z900RSの純正タンク(17L容量)から容量を減らさない造形として、純正のタンクキャップと燃料ポンプも移植可能な構造とした。試作品段階のため確定ではないが、Z900RSと同等かそれ以上の容量を確保しているという。
■モーターサイクルショーで配布された試作車Z900RS Mk.2 Styleのカタログ。「2024年発売予定の注目の製品です」とアピールしている。なお、外装セットの内容は以下の通りだ。
【Z900RS Mk.2 Style】車両仕様
Mk.2styleスチールタンク(キャップ・燃料ポンプは純正を使用)
同サイドカバー・フロントセクション
同サイドカバー
同テールカウル
同シートAssy
専用フェンダーレスkit
LED Mk.2テールランプ
角リフレクター赤
メッキフロントフェンダー
各種取付けステー
ポイントカバーセットVer.Mk.2(純正使用)
サイドグリップ
ジェネレーターカバー
スリップオンエキゾーストマフラー
Z2タイプミラー
Mk.2 LEDウインカー
フェイクツインショックVer.黒スプリング
ウインカーステーミドル
メーターアップステー
ヘッドライトアップステー
フォークカバーエンブレム
ラジエターコアガード
ラジエターサイドアクセサリー
エンジンスライダー
フレームプラグ
タンクエンブレム
サイドカバーエンブレム
動かなくたって目を引く「フェイクツインショック」実はフレームとタンデムステップを繋いでいるだけ
そのほか、ABS+樹脂製のMk.2 Style・サイドカバーやメッキ仕上げのフロントフェンダー、サイドカバーや角型テールセクションのほか、フェンダーレスキットなどで、ほどよくカスタムされた空冷角Zフォルムを見事に再現している。
中でも個人的に目を引いたのが、フェイクツインショック。近年ネオレトロ系やネオクラシック系モデルは根強い人気ながら、何か物足りないと思うのは、車体後部の造形。機能的には現代版モノショックのほうが断然性能は高いものの、2本ショックの不在でスカスカしている感じが……。
そこでドレミコレクションが開発したのがフェイクツインショック。これはZ1 Styleでもラインナップされているが、ショックの上側はシートレール部に取付け、下側はタンデムステップ部から伸びたステーに取付ける仕様。つまりリヤのスイングアームの動きとは関係がなく、ショック自体が伸び縮みしない位置に付く文字通りフェイク(ニセモノ)のツインショックだ。
とはいえ「アウタースプリングもちゃんとあり、ショックボディも可動するものです」とドレミのスタッフが語るとおり、ニセモノには見えない造形が好ましい。そしてZ900RS Mk.2 Styleのそれは、オリジナルの雰囲気を漂わせた黒スプリング仕様。硬派な角Zのイメージを引き立てている。フェイクではありながら、真面目にフェイクと取り組む中から生まれたアイデア製品に、機能とは別の特別な魅力を感じたのは筆者だけではないかも。
これら人気の角Zを演出するレプリカアイテムは、まだ試作品というが、スチール製燃料タンクと同様に、間もなくドレミコレクションのカタログラインアップに掲載されることだろう。
■フェイクショックの取付け位置(写真はZ1 Styleの場合)は、上側がシートレール部、下側がタンデムステップブラケットから延長された専用ステー部となる。可動しない部分同士で固定するため文字通り「フェイク」だが、ちゃんとスプリング付き(しかもプリロード調整の刻み付き!)で伸縮作動が可能だという。
■青玉虫カラーをまとったZ900RS Z1 Styleの展示車。こちらのタンクカバー外装セット(タンクカバー、テールカウル、サイドカバーフロントセクション、サイドカバーほか付属ステー)はすでに販売中で、価格17万500円。内部に必要なスチールインナータンク(14L容量)は別売りで5万4780円。
レポート&写真●モーサイ編集部・阪本 資料提供●ドレミコレクション