日本モータースポーツの礎を築いた
2023年12月18日、MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)による「モーターサイクルスポーツ殿堂」の顕彰者が発表された。
この「モーターサイクルスポーツ殿堂」は、日本の二輪モータースポーツの歴史を後世に伝え、輝かしい実績のあった選手や関係者を称えるために2018年に設立された。
今年の顕彰者は「功労者部門」を対象として4名が選ばれた。
永年にわたり、多くのライダーたちの安全に寄与してきた現アライヘルメット社長の新井理夫氏。
戦後復興期の1950年代後半、輸出に耐える国内二輪車/自動車産業の技術力向上を目的に企業間の二輪耐久レースを立案・開催して自動車大国への道を切り開いた石塚秀男氏。
戦後、二輪車を楽しむ若者たちの情熱を健全なスポーツへと導くためにアマチュア団体を組織してレースの場を提供してきた酒井文人氏と西山秀一氏。
いずれも日本のモータースポーツ界の礎を築きあげてきた恩人だ。
今回の「殿堂入り」については、2024年3月22日(金)〜24日(日)に東京ビッグサイトで開催される第51回東京モーターサイクルショーの会期中のステージにて顕彰式を実施予定となっている。
新井理夫氏
安全性を追求するアライヘルメット社長。理夫氏の父でもある先代社長の新井広武氏はMCFAJ二代目理事長も務め、親子二代でモータースポーツ振興にも寄与。二輪、四輪のヘルメットの進化に尽力。また、ヘルメットに限らずモーターサイクル用品部品業界の組織化をリードし、モーターサイクル界の発展に寄与した。2019年、国際モーターサイクリズム連盟(FIM)より、多くのライダーの安全に寄与したとして、二輪用装具メーカーとしては史上初のゴールドメダル「ニコラス・ロディル・デル・バレ・ゴールドメダル」を受賞。
石塚秀男氏
敗戦の痛手を受けたモーターサイクル産業の復興を目標に、日本初のロードレースを開催。日本自動車整備振興会連合会会長など歴任し、二輪・三輪自動車、四輪軽自動車業界を振興。1961年、日本モーターサイクルレース協会(当時/MFJ)を設立し、1998年まで会長を務めた。故人。1980年、勲二等瑞宝章受章。1992年、国際モーターサイクリズム連盟(FIM)より、FIMと国内外への貢献が評価され「FIMモーターサイクルメリット・ゴールドメダル」を受賞。
酒井文人氏
モーターサイクルの健全な楽しみ方を目標とする愛好者クラブ「全日本モーターサイクルクラブ連盟(MCFAJ)」を組織化。1958年にアマチュアライダーが参加できる初めてのロードレース「第一回全日本モーターサイクルクラブマンレース」の開催を挙行。今日のモーターサイクルスポーツの土台作りを務めた。バイク雑誌モーターサイクリストを刊行する八重洲出版の創業社長。故人。
西山秀一氏
酒井文人氏の思想具現化に生涯を投じ、日本初のアマチュアモーターサイクルスポーツ団体MCFAJを設立運営。初代事務局長を務め、二輪愛好者たちに本格レース参加の門戸を開く。現在のアマチュアモーターサイクルスポーツの堅固な体制作りに尽力した。故人。