試乗インプレッション

スーパースポーツでも街乗り快適!? 電子制御サス仕様「ニンジャZX-10R SE」の意外な実力

2016年型のエンジンをベースに、フィンガーフォロワーロッカーアームの採用で最高出力を201馬力から203馬力に上げたエンジンを積む2019年型のニンジャZX-10R。2019年から国内仕様の販売も始まりましたが、このマシンには電子制御前後サスペンションを装備したグレードが設定されています。

ショーワ製電子制御サスペンションを装備したニンジャZX-10R SE(写真は2019年モデル)。

装備する電制サスは唯一無二のパーツ

まず始めに自己紹介をしておくと、私はプロのレーシングライダーでもなんでもなく、一介のバイク雑誌編集部員であります。しかしながら、2016年モデルのZX-10Rを所有しているという事情もあってこのZX-10R SEに興味津々だったのですが(2017年に海外モデルとしてZX-10R SEが登場した当初から”レア車両”として目をつけておりました)、職権を濫用(!?)しつつ試乗することが叶いました!

サスペンションメーカー・ショーワがWSBK(スーパーバイク世界選手権)で鍛えた技術をフィードバックして作った「BFF(バランスフリー・フロント・フォーク)」と「BFRC-lite(バランスフリー・リアクッション・ライト)」は、減衰力発生のタイムラグを最小化するためにシリンダー外側に減衰力発生機構を配置したサスペンションです。2016年モデルのZX-10R発売当時、市販モデルで装備しているのはZX-10Rだけで、私は見た目にもカッコいいこのサスに惚れました(その真価を試せるほどのウデはないのですが……)。
その後、「BFF」と「BFRC-lite」はスズキのGSX-R1000Rなどにも採用されましたが、この前後サスの電子制御版「SHOWA EERA」を標準装備しているのスーパースポーツはデビュー当初から今に至るまでZX-10R SEのみ。このバイクでしか味わえないサスなのです!!

ZX-10R SEに装着される電子制御サスペンションは「KECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)」と呼称されます。ちなみに、ホイールはWSBKホモロゲモデルのZX-10RRと同じマルケジーニ製のアルミ鍛造品です。ブレンボ製キャリパーも標準装備!

硬軟自在の頼れる「KECS」3モード

そんな唯一無二の電制サスを体感すべく、ROAD、TRACK、Mという3つ用意されたモードのうち、「日常走行用のソフトな設定」だというROADを選択して走行開始。サーキットではなく、市街地での試乗です。
するとどうでしょう、愛車のZX-10Rとはいい意味で全く異なる走行フィーリング! 具体的に言うと、足まわりがスーパースポーツにしてはとってもソフトな感触。私のZX-10Rのサスはサーキットメインのセッティングにしているので、ストリートではかなり硬質な、ある意味”スーパースポーツらしい”フィーリングなのですが、ROADモードの「KECS」はそれこそツーリングバイクのような穏やかさ。かといって、減衰力が弱くてフワつくようなことはなく、絶妙なセッティングです。
さらに、路面状況や走行状況に応じて瞬時に減衰力を最適化するという電制サスならではの機能のおかげで、少々スポーティな操作(強めのブレーキングや速度高めのコーナリング)をしても、しっくりくる特性のサスに”変化”するので安心です。

「KECS」のモード変更は手元のスイッチ操作で行い、メーターの右端に選択中のモードが表示されます。

左側フロントフォークトップキャップに記された「SHOWA EERA」と「KECS」の文字、そして制御用のコードが電制サスの証です!

続いて「スポーツライディング用のハードな設定」だというTRACKにモード変更。こちらのモードだと、より自分のZX-10Rに近い、硬質なフィーリングに変化しました。サーキット走行にマッチするセッティングのようで、アグレッシブな走りにもしっかり対応してくれそうです。一方で、こちらのモードでも街乗りしていて大きな違和感はありませんでした。これはおそらく、走行状況が街乗りレベルであるということを察知した電子制御により減衰力が調整されているためでしょう。

ふたつのモードを試した時点で思ったのは、電制サスは「いやぁ、本当に便利だ」ということ。普通のサスだと、例えば自走でサーキットに行く場合に常に快適でいたいと思ったら、まず公道用のセッティングで家を出て、サーキットに着いたら工具を取り出してセッティングをサーキット用に変更し、サーキット走行が終わったらまた工具を取り出して公道用のセッティングに戻して……という、なかなかに面倒な手順を踏むことになります。
しかし、「KECS」なら前後サスのセッティングをスイッチ操作でパパっと変えられます。タイムを詰めていくようになったらまた話は違うのかもしれませんが、スポーツ走行を楽しむ分にはROADとTRACKの切り替えだけで事足りるわけです。

今回の試乗では個人的に必要がないので使わなかったMモードですが、前後サスの伸側・圧側減衰力を15段階で調整可能です。

なお、プリロードは手動調整。フロントフォークは右側トップキャップにアジャスターが配置されています。バネレートはスタンダードのZX-10Rより柔らかい設定なので、体格や走行条件によっては締め込んだほうがフィットするかもしれません。リヤはアジャスティングナットを工具で回す方式で、カワサキ正規取扱店での調整が推奨されています。

そしてやはり、ROADモードの秀逸さは特筆モノです。スーパースポーツをツーリングに使う人も多いかと思いますが、標準設定のままでは基本的には硬すぎると思います。かといって柔らかくしようにもプリロードと減衰力のバランスを上手く取るのは、ちょっと手がかかります。それがROADモードなら一発!
街乗り・ツーリングユースがメインで、予算が許すのならば、ベースモデルのZX-10Rより10R SEのほうが断然オススメです。単にレアモデルというだけでなく、とってもラクに走れて”幸せ”になれますよ!

価格はZX-10R(KRTエディション)より約60万円アップとなりますが、KECSや前後マルケジーニホイール、傷を自己修復する特殊コーティング塗装「ハイリーデュラブルペイント」が施された燃料タンク&タンクカバーなどの装備を加味すれば、月並みな言い方ではありますが、オトク。エンジンも最高出力203馬力ながら、低中回転域では鋭すぎず扱いやすいです。


カワサキ ニンジャZX-10R SE(2019年モデル)

メタリックカーボングレー×メタリックフラットプラチナグレー

カワサキ ニンジャZX-10R SE主要諸元(2019年モデル)

【エンジン・性能】種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:76.0×55.0mm 総排気量:998cc 最高出力:149kW<203ps>/13500rpm[ラムエア加圧時:156kW<212ps>/13500rpm] 最大トルク:114Nm<11.6kgm>/11200rpm 燃料タンク容量:17L 変速機:6段リターン
【寸法・重量】全長:2085 全幅:740 全高:1145 ホイールベース:1440 シート高:835(各mm) 車両重量:208kg タイヤサイズ:F120/70ZR17 R190/55ZR17 【カラー】灰×つや消し灰
【価格】265万6800円

report●林 康平 photo●川崎泰輝

CONTACT

問い合わせ先カワサキ
電話番号フリーダイヤル0120-400819
URLwww.kawasaki-motors.com/mc/

 

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