試乗インプレッション

ホンダ CBR650R試乗「約105万円で買える直4 CBR! 今の時代、四発好きの救世主かも」

CBR650R ホンダ 2021

ホンダ CBR650Rは「お買い得車ではないか?」

「最近の新車って高いなぁ」とお嘆きの方。
「気軽に買える4気筒バイク減ってきたなぁ」とお嘆きの方。
ホンダにダークホース的バイクがあるのです。

そのモデルとは、2019年モデルからラインアップされているCBR650R。
エンジンは648cc水冷DOHC4バルブ並列4気筒。フルカウル。迫力あるデザイン。大型自動二輪ながら車重206kgとそこそこ軽い。価格は105万6000円から。
そのうえ、CBR650Rの開発コンセプトは「エキサイティングな走りを堪能できる直4ミドルCBR R」。そう、四発であることがこのマシンの魅力としてすえられているのです。

超高性能・高価格のスーパースポーツ以外、メーカー・排気量問わず4気筒エンジンは激減しているわけですが、4気筒の多いホンダで同門対決をした場合でもCB400スーパーボルドール(104万600円〜)とほぼ同じ値段でCBR650Rは購入できるのです。

そこで600〜750ccミドルクラス4気筒が大好物で、「このバイク気になるなぁ」と言っていたバイク大好きツーリングも大好きカメラマン・小見哲彦氏(車歴はZ2を2台、Z650を2台、ZZR600を2台ほか多数)に1泊2日のツーリングテストをしてもらいました。

ホンダ CBR650R(2021年モデル)。2021年モデルとなった際のマイナーチェンジで、フロントフォークがショーワ製SFF-BPとなったほか、メーターの視認性向上、デザインの変更などが改良が行われました。
CBR650Rの車体色は「マットバリスティックブラックメタリック」(105万6000円)と、写真の「グランプリレッド」(108万9000円)の2色設定。

「これぞ4気筒フィーリング!」を味わえるCBR650Rのエンジン

乗ってすぐ、アイドリングすぐ上でクラッチミートさせたときのエンジン回転の上がり方に少し戸惑いました。エンジンサウンドは勇ましく、普段乗っているカワサキ ZZR600よりも吹け上がりが敏感。
わずかな操作でも反応してしまうというか、微調整が難しいというか、発進するような場面ではライダーの思惑以上に回転が上がってしまい、ズバッと飛び出していくような感覚があったんです。
というわけでこのCBR650Rとのファーストコンタクトは、デザインもアグレッシブだし「あまり優しいマシンではないのかな」というものでした。

ですが、回していくとやはり4気筒らしい回転感は気持ちいい。
そこで、街中のチョイ乗りだけでこのバイクのキャラクターはわからないだろうと、ちょっと1泊2日のツーリングテストも交え、少々長く乗ってみることに。

648ccの水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンは最高出力95ps/1万2000rpm、最大トルク6.5kgm/8500rpmという性能。
4気筒であることをアピールするがごとく、アンダーカウルのスリットからは輝く4本のエキゾーストパイプをチラ見せ。

すると──夜間走行、高速道路、雨の市街地と様々なシチュエーションを走っていくうちに印象が一変!
撮影を開始したころは、少しザラザラとした回転感で「ホンダ車というよりカワサキ車っぽいような……」と思っていたのですが、しばらく乗っていると「でも、やっぱりホンダらしい滑らかな回転感だなぁ」と感じてきたのです。

試乗車は走行数百kmというほぼド新車だったので、上まで回しつつ、距離を伸ばしていく間にエンジンに当たりがついてきたのかも!?
スロットル開け始めの敏感な反応も「そういうもの」と分かれば慣れで解決できる範囲で、スムーズなスタートが道中できるようになっていきました。

そして、やはり回していったときの4気筒らしいフィーリングは、き、気持ちいィィ。
カワサキのラムエアのように「キュイーン!」といった加速中の効果音こそありませんが、走行中、低く響く排気音以外に雑音は無いといったスムーズさがあります。

CBR650Rのサスペンションは抜群の安定性を発揮「特にフロントが凄い!」

と、ミドルクラス4気筒好きとしてエンジンは大変好印象だったのですが、一番驚いたのは足まわりかもしれません。
自分の体格が身長168cm・体重56kgと比較的小柄なせいもあるのでしょうが、サスペンションは全体的に硬めな印象だったので、リヤサスペンションのプリロードを出荷状態の位置(最弱から3段目)から1段緩めて2段目にしてみたところ、ちょうどいい感じ。
サスペンションがしっかり動きつつ、ダンピングも程よく効いてくれて、市街地でも高速道路でも実に快適。

ブレーキも制動力・フィーリングとも十分で、コントロールもしやすい。ウエット路面含め、ABSの作動感も自然です。
周囲の安全を確認したうえで、緊急のパニックブレーキ時を想定し、中〜高速域から一気にブレーキングということも試してみましたが、ストッピー転倒など恐らくすることはないであろう安定感。恐れ入りました。

ちなみに、急制動をかけるとハザードランプが点滅する機能つき(編集部註・ホンダが「エマージェンシーストップシグナル」と呼ぶもの)。メーター上でも片隅でチカチカチカッ!と煌めき、高性能スポーツカーみたいだなーなんてニンマリしてしまいました。

倒立のフロントフォークも大したもので、調整機能こそありませんが、荒れた舗装だろうが、トラックなどの走行で轍ができて波打っているような路面だろうが、不安感無し。外乱に惑わされることなく、自分が行きたい方向を頑として保持してくれるのです。かなりペースを上げていっても、ウォブルの気配なんてありません。

このフロントの鬼のような安定感は、現行型ゴールドウイングに似ていると思いました。以前、首都圏〜九州往復のツーリング撮影にゴールドウイングを自分で運転しながら行ったことがあるのですが、その走行感覚が記憶からよみがえってきたのです。

リヤサスペンションはリンクレスのモノショックで、プリロードを10段階に調整可能。標準状態は最弱から3段目。
フロントフォークはショーワ製「SFF-BP倒立フォーク」。SFF=セパレート・ファンクション・フロントフォークの意で、右側は減衰機構とスプリング、左側はスプリングとなっていて、軽量化にも貢献しているのだとか。
フロントブレーキは310mmダブルディスクと、ニッシン製のラジアルマウントキャリパーという組み合わせ。純正装着タイヤのダンロップD214は、路面を問わずグリップ感が良かったのも印象的でした。

CBR650Rにとって、高速走行は得意中の得意か

ジャンルもライディングポジションもゴールドウイングとは全然異なるので、高速走行時の快適性は「ゴールドウイング並み」とはさすがに言えませんが、横風などにもCBR650Rは強い。
スロットルを開け続けていけば、愛車のカワサキ ZZR600でクローズドコースを走ったときの経験からするに、200km/hは余裕で出てしまうでしょう。

CBR650Rはヨーロッパでも販売されている機種。むしろ、こうした中間排気量モデルは向こうがメイン市場でしょう。でもってアウトバーンやアウトストラーダも相応の速度でガンガン走らされるのでしょうから、さもありなん。
100馬力オーバー当たり前、200馬力のバイクなんてのも珍しくない昨今、95馬力という数字だけを見て「それしかないの?」と思う人もいるかもしれませんが、CBR650R、十分以上に速いです(ちなみに自分のZZR600はオランダ仕様で100馬力)。

一度、自宅ガレージに持ち帰り、自分のカワサキ ZZR600(1993年型オランダ仕様)とライディングポジションを比べてみたり、現代車ならではの車体構造を観察してみたり。

ライディングポジションに関しては、シート高は最新のスーパースポーツと比べるとそう高くなく、私の身長・168cmでも両足の足指の付け根は楽に着くし、片足停車ではカカトまで路面に着くので安心感は高いです。
また、カワサキ ZZR600に比べると、ライディングポジションの考え方も時代とともに変化しているのか「ハンドルの幅が少し広めなのかな?」と思ったのですが、2日ほど乗っていたら、すっかり慣れたようです。

むしろ、CBR650Rのライディングポジションはちゃんと練られているというか、広いハンドルには意味があって、ヒジが適度に開き自然と前傾する姿勢に導いてくれる。タンク後端の幅や形状、ステップの位置も含めて、減速時のホールド感もよくて、ブレーキング時にハンドルを突っ張る必要もなく、快適にスッと止まりやすいんです。
また、同じCBRでも「ダブルアール系」に比べれば、上体の前傾はキツくなく、アゴを上げた姿勢を保ち続けるための労力は少ないので、ツーリングも意識したポジションとなっているようです。

ホンダ CBR650の足着き性&ライディングポジション

写真はモーサイ編集部員・上野(身長170cm・体重58kg)がまたがったときの様子。
シート高は810mmで、足着きは両足では足の裏半分が接地、片足停車では足の裏の全面が接地した。ライディングポジションは上半身はそれなりに前傾。ステップ位置はスーパースポーツほどバックステップではないが、この位置が絶妙に加減速に対応しており、小見の個人的にはこのままサーキットを走らせても不満は無いと感じました。

ツーリングライダー目線で気になる部分

ライディングポジションに続きツーリングという観点で見ると、自分にとって欠かせない要素は、積載性・防風性・雨天時の安定した走りです。

積載性に関しては、CBR650Rに限らず最近のバイクおなじみの悩みなのですが、「荷物どう積もう」と思いました。荷掛け紐(表現が古い・笑)を引っ掛けられそうな場所はないか、何かちょうどいい紐はないかなど頭を捻った結果、自転車用のゴム紐を隙間を通してやりくりすることはできましたが……。

もちろん車体におけるマスの集中化は大事なことだし、運動性能の面では実感もしましたが、サイドケースや専用のステーを取付けないと荷物が積みにくいのは残念な点かも。純正アクセサリーでシートバッグなども用意されていますが、さすがに連泊のツーリングは少々厳しそうです。

防風性に関しては、ライディングポジションなりに伏せた姿勢をとれば十分な範囲だと思います。ジェットヘルメットでもアゴに風があたる感じはほとんど無いといった感じです。
ただ個人的には、より大きめで空力にあまりマイナスな影響が出ないスクリーンがあれば、純正オプションなり社外品なり交換を考えるかもしれません。

で、雨天時のお話。
今回割とガッツリ降られたので、本音で語りましょう。
ABSの作動感は先に述べたように自然でしたし、トラクションコントロール(編集部註・ホンダが「セレクタブルトルクコントロール」と呼ぶもの)は微量な滑りでも検知して作動している様子でしたが、制御は急激なものではなく、こちらも自然です。

ちょっと話はそれますが、恐らく雨天時の泥跳ね防止として、ナンバープレートステーに片側3枚の薄い樹脂のフィン状部品があります。このフィンの端っこや、あと、タンデムステップ内側のガード部分がやや鋭利な感じで、うっかり手をぶつけたときなどに傷つきそうな気がしました。サーフボードの先端で怪我をするようなイメージと言いますか。
安全性や機能性も徹底的に煮詰めていくホンダにしては、少しホンダらしくない部分かも? 自分で車両を購入したなら割と簡単に加工して改善できそうな部分ですが、泥跳ね防止は取っちゃうわけにもいかないしなぁ。

ABSを除けば、電子制御はトラクションコントロールがあるだけとシンプル。その分、リーズナブルな価格でもあるのでしょう。トラクションコントロールは作動レベルの切り替えはなくオン、オフ設定のみ。
自転車用の紐を仮にくくり付けてみたの図。紐で荷物を固定する場合、後ろ側に引っ掛ける部分がないのがツラい。

先端が割と鋭利なタンデムステップのガード部。リヤサスペンションの調整をする際など、手をぶつけるとちょっと危ないかも……。

ホンダ CBR650R総評「スポーティだけど、Fコンセプトを思い出す万能性も」

大きな悩みどころは積載性以外ナシといえる万能性。105万円という価格にこの性能、昨今貴重な4気筒エンジンを搭載したミドルクラスマシンであるうえ、実にコスパの高い傑作機という印象を受けました。大き過ぎないのもいい。

ちなみに1台目のカワサキ ZZR600はデビュー直後の1993年に買ったのですが、そのときCBR600Fと悩んだのです。
CBR600Fシリーズは、街乗りもツーリングもサーキットもこなす万能性=「Fコンセプト」を打ち出していましたが(そういうバイクが自分は好きなんです)、車名の末尾こそ「R」となっているものの、CBR650Rにも「Fコンセプト」のDNAが入っている気がするのです。

オールラウンドスーパースポーツを開発キーワードに、1987年に輸出専用車として初登場。1992年からは国内販売が始まったCBR600F(写真は1992年国内初登場のもの)。モデルチェンジを何度かして、CBR600RR登場後も海外では販売が続けられていた気がします。レーシーなRRとは違った需要があったということなのでしょう。
ホンダ CBR650Rのディテール解説&主要諸元

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