試乗インプレッション

C400GT試乗「BMWに毎日乗る生活様式ってアリかも」通勤も遊びも1台でOK、普通二輪免許でもOK!

C400GT BMW

普通二輪免許で乗れるBMWのスクーター

「ニューノーマル」「新しい生活様式」なんて言葉が浸透し始めて、しばらく経つ。テレワークをするようになったり、公共交通機関を使わなくなったという人もいるのではないだろうか。
そんな生活環境の変化も少なからず影響しているのだろう、昨今ちょっとしたバイクブームが起きているということもあって、バイクは通勤手段としても着目されているようだ。

しかし、通勤のためだけに実用一辺倒じゃ味気ない、せっかくならレジャーにだって使えるとなおいいし、毎日触れるものだったら上質な物のほうがいい……という欲張りな願望を抱いてしまうのが人情である。そこで、少々キザな言い方かもしれないが「ビーエムをアシにする」なんて生活はどうだろうか。

「え?BMWってスクーターも作っているの?」と驚く人もいるかもしれない。というか、BMWがバイクを作っていることが意外に一般の人には知られていないような気がする(クルマ好きの人でも話すと驚かれることがある)。
BMWがバイクを作っていることを知っている人でも、BMW=水平対向エンジンのデッカいバイクというイメージが強いようだが、今や1000ccの直4スーパースポーツ、1600ccの直6ツアラー、スクーターなど多彩な車種展開をしているのだ。ちなみに、電動スクーターだってラインアップしている。
ま、クルマの方もSUV、コンパクトモデル、EVにと多彩なラインアップとなっていますが。

話をBMWのスクーターに戻すと、350cc=普通二輪免許でOKという嬉しいモデルを用意してくれているのだ。
バイクのメディアはついつい趣味性の高い大型二輪車ばかり取り上げがちだが……「中免」は昔取ったという人も少なくないだろうし、これから免許を取得するにしても「普通二輪免許」なら費用や時間のハードルは低い。そう、比較的気軽に乗り出せるのである。

そのスクーターとはC400GT。2018年が初登場で、都市部の移動をメインとしつつも、「GT」の名が冠されているようにツーリング用途も見越したモデルとなっている。

BMW C400GT(2021年モデル)。2021年モデルでエンジン、フロントブレーキ、電子制御機構、シート下収納の照明などが改良されたほか、グローブボックスにUSB充電ソケットが追加された。
BMW C400GT(2021年モデル)。価格は93万円で、車体色はアルピン・ホワイト(標準)、カリスト・グレー・メタリック(6000円高)、写真のブラック・ストーム・メタリック2(2万6000円高)という3種。

BMW C400GTのサイズ感「市街地でも問題なし」

実際、C400GTは市街地で毎日乗っても問題ないサイズとなっているのがいい。
全長は2200mm、車重は220kg(乾燥202kg)。250ccの国産ビッグスクーターよりはちょっと大きいが、駐車スペースから引っ張り出すのが億劫になる大きさ・重さではない。
ちなみに現在、国産車で400ccスクーターというとスズキのバーグマン400しかないが、全長2235mm・車重218kgと近い数字。
いずれにせよ、混雑した街中でもストレスなく走らせることができるレベルに収まっているのだ。

ライディングポジション・足着きも無理がない。
ビッグスクーターブームだった頃の国産250〜400ccスクーターはソファでくつろぐようなスタイルだったが、C400GTは上体が直立した「バイク」のような姿勢となる。
この姿勢正しいポジション、結構メリットがある。着座位置がそれなりに高いこともあって、遠くまで見渡せて、視界が良好なのだ。


C400GTの足着き・ライディングポジション

身長170cm、体重58kgのライダーがまたがったときの状態。
足着きは両足では、つま先から親指付け根が接地するといった具合。ステップボードにはちょうど足を下ろす位置に切り欠きがあり、車体に幅はあるが、足着きへの配慮がなされている。

ライディングポジションは、ヨーロッパメーカーのスクーターではおなじみの上体が立った姿勢となる。
ライダー側シートは十分な広さがあり、かなり様々な体格のライダーに対応しそうだが、筆者ではバックレストが腰を当たる位置に座るとハンドルに伸ばす腕が突っ張ってしまう感じに……。というわけで、残念ながら立派なバックレストの出番はなかった。
男性の平均身長が約180cmというドイツ人なら、きっとバックレストに腰を当ててちょうどいいのかもしれない。

前後左右とも十分なスペースのあるライダー側シート。バックレストには「GT」の刺繍が入る。シート高は775mm。

BMW C400GTのエンジン「GTの名は伊達ではない速さ!」

エンジンはかなり元気だ……というか「速い」。OHCの349cc単気筒、34馬力というスペックがホント!?と思うほどである。
スロットルを多めに開けると、40km/hくらいから二段加速的なものが始まり、強烈なダッシュ力を見せる(走行中のCVTの具合により加速がグンと増す速度域はバラつきがある)。販売店の試乗などで初めて乗るときは、最初は丁寧なスロットル操作で徐々に感覚を慣らしていった方がいいかもしれない。

エンジンサウンドもワイルドで、スパパパンという乾いた音はオフロードバイクに何となく似ている。ただ、いわゆる単気筒バイクのように粒の大きい「揺れ」があるわけではなく、微細なリズムなので不快な振動はない。

高速道路に入っても、俊敏な加速で100km/hまではあっという間だ。最高速はもちろん大排気量スポーツバイクに敵わないだろうが、高速道路で「キング・オブ・ハイウェイ」を目指さない限り、物足りないということはないだろう。

349cc水冷単気筒OHC4バルブエンジンは、最高出力:34ps/7500rpm、最大トルク:3.5kgm/6000rpmの性能を発揮。2021年モデルでは電子制御スロットルの採用、シリンダーヘッドやマッピングの改良で、スムーズさも向上させている。

BMW C400GTのハンドリング「ツアラーバイクのような安定感」

ただ「GT感」がより強いのは、ハンドリングの方かもしれない。
直進も曲がりも高速道路も、一切フラフラするようなことはなくビシーッと突き進むC400GT。スクーターといってバカにしちゃあいけません。名ばかりのGTではないのですよ。
……というと、直線番長的で曲がりにくいのでは?と思われそうだが、確かにヒラヒラ機敏に動くようなタイプはないものの、狙ったラインを忠実になぞってくれるオンザレールな感覚だ。

「安定しているな~」と感じさせてくれるのは、サスペンションの恩恵が大きい気がする。はっきり言って硬めではあるものの、バンバン跳ねる不快な感じではなく、一発でショックを収めてくれて、お釣りでユラユラするようなことがない。
だから、コーナリング中の路面の段差や凹凸など、バイクにはイヤ~な状況でも不安感がないのだ。スクーターというより、よくできたスポーツバイクに乗っているかのよう。
ただしこの乗り味は、「スクーター=ゆる~くマッタリ乗りたい」という人には不向きかもしれない。

足まわり繋がりで言うと、ブレーキも超強力。十分な速さを受け止めるしっかりした制動力があるから安心感がある。それこそスポーツバイクから乗り換えても、違和感はないだろう。

フロントブレーキは265mmダブルディスク。2021年モデルではブレーキレスポンスを向上させるため、キャリパーを従来までのバイブレ(ブレンボの新興国向けブランド)製からスペインのJ.JUAN(ホタ・ホアン)製に変更している。

エンジン・車体ともにしっかりした走行性能を持っているし、大きなスクリーンは防風性も高いので、週末は高速道路を使って長距離ツーリングだって楽しめる。パッと見、スクリーンは高さがあるように感じるが、身長170cmのライダーでは、スクリーン上端は視界のやや下になり、煩わしさがないのも美点だ。
ただ、速度域と着座位置によってはスクリーンによる負圧が生まれ、背中から巻き込み風で押されるような場面もあった(シートの前寄りに座るとその傾向が強かった)。

C400GTの快適性・実用性「収納は必要にして十分、安全装備とヒーターは大きな強み」

と、「走りが良い話」が続いてしまったが、スクーターならではの実用性・快適性ももちろんお伝えしていこう。

まず収納に関しては、シート下収納と2つのグローブボックスが用意されている。
シート下は「停車時」にはヘルメット1個と小物、「走行時」はA4サイズのバッグとレインウエアなどといった収納スペースで、ヘルメット2個を収納できる国産250ccスクーター(および400ccのバーグマン)に比べると小さいが、1名乗車・通勤用途には十分と言えるだろう。

「ちょっと待って、停車時ってナニ!?」と思った人もいるだろうが、BMWのスクーターはシート下収納後部が言わば袋状となっており、ロックを解除すると「底が抜け」収納スペースが拡大するのだ(筆者も初めて実車に触れたときビックリした)。「ヘルメットは駐車時にしまっておければ良い、そのためボディを無駄に大きくする必要はない」という割り切りなのだろう。
なお、ロック解除=収納拡大している状態ではエンジンがかからないようになっている。

BMWが「フレックスケース」と呼ぶ、停車時にスペースを拡大できるシート下収納スペース。写真はロック解除前の「走行時」のもの。
ロックを解除し、「底」を押し下げ容量を拡大した「停車時」の収納スペース。容量拡大部分で袋状となっているのは側面で、底板はある。

なので、タンデムをしたいユーザーは出先でタンデムライダーのヘルメットをしまっておくためトップケースを装備しておいた方がいいと思うが、タンデムライダーを乗せて走行しても、C400GTは挙動変化が少なくスムーズだ。後席も立派なスペースがあり、テスト走行で後席に乗ったライダーいわく「とにかく座面が広いから快適だし、グラブバーもつかみやすい形と位置で、安心して乗っていられる」とのこと。

忘れてはいけないのが、バイク通勤の悩み=「雨の日危ない」「冬は辛い」を緩和してくれる安全装備とヒーター類だ。ABSだけでなく、スリップを抑制するASC(*)を標準装備し、グリップヒーターだけでなくシートヒーターも標準装備されているのだ。

*BMWが「オート・スタビリティ・コントロール」と呼ぶもので、いわゆるトラクションコントロール。

BMW C400GT総評

街乗りメインなら車検の無い250ccクラスの方がいいという向きもいるだろうし、「BMWってお高いんでしょう?」と思う人もいるかもしれないが、C400GTの価格は93万円~。走行性能や実用性の高さを考えれば「割高感」は無いと思う。

また良く言われる「原付じゃないバイクをアシに買うくらいなら、軽自動車買ったほう便利じゃない?」という話題もあるが、快適性が高いとはいえC400GTでは雨に濡れるのを防げない。が、C400GTなら週末にオープンエアーの爽快感を味わいながら旅ができるという「ならでは」の楽しみがある。
通勤にも遊びにも使えて、2人乗っても快適な移動ができて、100万円以内で買えるビーエム。手元に置けば「新しい生活様式」だけでなく「楽しい生活様式」も始まると思うのだ。

BMW C400GT(2021年モデル)主要諸元

【エンジン・性能】
種類:水冷4サイクル単気筒OHC4バルブ ボア×ストローク:80.0mm×69.9mm 総排気量:349cc 最高出力:25kW(34ps)/7500rpm 最大トルク:35Nm(3.5kgm)/6000rpm 燃料タンク容量:12.8L 変速機:無段変速式
【寸法・重量】
全長:2200 全幅:780(ミラー除く) 全高:1435(スクリーン上端まで) ホイールベース:1565 シート高:775(各mm) 車両重量:220kg タイヤサイズ:F120/70R15 R150/70R14
【価格】
93万円(アルピン・ホワイト)、93万6000円(カリスト・グレー・メタリック)、95万6000円(ブラック・ストーム・メタリック2)

日常的に触れる部分も高機能と上質さを両立

メーターは最新のトレンドに沿って、スマートフォン連動の大型カラー液晶モニターを装備。ただし標準表示モードでは大画面の中央に速度表示がデ~ンと現れるだけでもったいないというか、ちょっと寂しい。C400GTには切り替え可能な走行モードもないし、スクーターなので回転計を表示する必要性もあまりないし、まあ仕方ないか。
メーターはBluetoothでスマートフォンなどとの連携機能があり、電話や音楽再生が可能。ただし、残念ながら日本国内でのナビ機能は現時点未対応。

左スイッチボックスには、メーターのメニュー選択などを行うダイヤル式スイッチ、メニュー切り替えスイッチ、ハザードボタンがまとめられている。
右スイッチボックスにはグリップヒーター、シートヒーターのスイッチがあり、それぞれ温度を3レベルに変更可能。
ブレーキのマスターシリンダーはフロント(右)、リヤ(左)ともバイブレ製。

ヘッドライト、ウインカー、テールライトと灯火類はフルLED。ハザードも備えている。ヘッドライ下のダクト状パーツは、4輪BMWの「キドニーグリル」と共通イメージなのか、偶然そう見えるだけか──。

スマートキーシステムを採用しており、ハンドル下には「メインスイッチ」が。ハンドルロックもメインスイッチの操作で行う。
メインスイッチの左右には2つのグローブボックスがあり、メインスイッチオフで電子ロックもされる。右側グローブボックスにはETC2.0が標準装備、USB充電ソケットも配置されている。

給油口は足元にあり、エアプレーンタイプのスポーティなデザイン。燃料タンク容量は12.8Lで、燃費はWMTCモード値(クラス3・1名乗車)で28.57km/L。

レポート●上野茂岐 写真●小見哲彦/BMW

CONTACT

BMWモトラッド

BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437

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