試乗インプレッション

新型=3代目ヤマハMT-09&MT-09 SP試乗「トガった走りは初代回帰? ただし最新電子制御で危うさは無し!」

迷ったら買い!「MT-09 SP」が3代目MT-09真の姿だ

そして、その部分を見事に解消し、MT-09の持つポテンシャルをパーフェクトに堪能できるのが、2代目MT-09から登場した上級グレード、ハイスペックな前後サスペンションを装備した「MT-09 SP」だ。

フロントフォークはインナーチューブに摺動性の高いDLC(ダイヤモンドライクコーティング)を施したKYB製フルアジャスタブル。スタンダードの15mm幅プリロード調整に加え26段の伸側減衰調整を装備するほか、圧側減衰力は高速と低速で別個にセッティングが行える。
リヤショックは専用設計のオーリンズ製フルアジャスタブル。調整幅はプリロードが無段階の8mm、減衰特性は伸び側30段、圧側20段と、スーパースポーツレベルの足まわりが奢られている。

総じてMT-09 SPではダンピングの効いた落ち着いた動きで、スタンダードよりも加減速でのピッチングが抑えられている。これは乗ってすぐに分かる。
前述のフルブレーキング時の安定性、あるいはコーナー進入時の過渡特性、さらにはコーナー立ち上がりのスロットルオンにおけるリヤの踏ん張り感など、そのメリットは様々な場面で如実に感じられる。

新型ヤマハ MT-09 SP。2021年7月28日発売で、価格は126万5000円。
新型ヤマハ MT-09 SP。車体色は写真のブラックメタリックX(ブラック)1色のみのラインアップ。

たとえばサーキットでの高速走行などで、スタンダードだとコントロールを意識するシチュエーションでも、MT-09 SPなら意識しないで済むし、コーナーのライン取りを誤った際に修正を加える……なんてことも容易だ。
走行ペースも明らかにスタンダードより速くなるし、何よりもライディングプレジャーというものをこれほど感じさせるモデルもそうそうないだろう。

限界付近の絶対性能ではなく、普通の人間の扱える領域の限界付近で、マシンをコントロールして好きなように走らせることが楽しいのだ。
そしてスロットルを開けたいという衝動にちゃんと応えてくれる、そのトータルパッケージのレベルの高さは素晴らしいと思う。

スタンダードとSPのエンジンは全く同じ仕様だが、足まわりのグレードアップによってSPはほぼ別物といえる存在になっている。あるいは、3代目MT-09の持つ実力をフルに味わえるのがSPと言ってもいいだろう。
税込価格で16万5000円の違いがあるが、その価値は十二分にあると断言しても良い。

なおMT-09 SP専用装備として、4〜6速使用時、速度レンジ50〜180km/hのクルーズコントロールも追加されるので「自分はサーキットを走らないから……」というライダーであってもSPを選ぶ価値はあるはずだ。

MT-09 SPはKYB製のフルアジャスタブル倒立フォークを採用。摺動部にDLCコーティングが施されるほか、アウターチューブはゴールド塗装となる。ホイールとタイヤはMT-09と同様。
MT-09 SPのオーリンズ製リヤショック。フルアジャスタブルで、リモートプリロードアジャスターも付く。
車体色の名前は「ブラックメタリックX」だが、タンク中央部にはシルバーとグレーのアクセントが入る(塗り分け)。
MT-09 SPはシート表皮も専用に。上面をスエード調、側面をカーボン調と二種類の表皮を使い分け、ダブルのステッチが入る。
MT-09 SPはクルーズコントロールを装備。速度調整をはじめ、各操作は左スイッチボックスで行う。

ヤマハ MT-09 SP(2021年型)主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列3気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:78.0mm×62.0mm 総排気量:888cc 最高出力:88kW<120ps>/1万rpm 最大トルク:93.0Nm<9.5kgm>/7000rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2090 全幅:795 全高:1190 ホイールベース:1430 シート高:825(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:190kg 燃料タンク容量:14L
[車体色]
ブラックメタリックX(ブラック)
[価格]
126万5000円

新型MT-09 SP

レポート●関谷守正 写真●山内潤也/ヤマハ 編集●上野茂岐 

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CONTACT

ヤマハ「カスタマー コミュニケーション センター」TEL:0120-090-819

ヤマハMT-09公式webサイト

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