試乗インプレッション

KTMアドベンチャー「自分に合う1台を探せ!」 パワーとエキサイティングさを余すことなく使い切れる390アドベンチャー

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MotoGPの最高峰クラスにおいて初優勝を含む、2020シーズン2勝を挙げるなどオンロード界においてもその名を轟かせるKTMだが、メーカーの生い立ちを見るとオフロードバイクが太く存在している。

モトクロス世界選手権やAMAスーパークロスではチャンピオン争いの常連。ダカールラリーでは18連覇を達成するなど、王者の風格が漂っている。

最新のラリーマシンはモトクロッサーをベースにした要素が強いが、歴史をさかのぼるとBMW GSやホンダ アフリカツインなど、昨今人気のある「アドベンチャー」(*)のルーツとなるマシンがたくさんある。そのため、ダカールラリーにアドベンチャーのイメージを見る人も少なくない。

編集部註*荒れた路面への対応力を有し、長距離ツーリングも可能なマシンのジャンル。かつては「マルチパーパス」、「アルプスローダー」などとも呼ばれた。

なかでもKTMのアドベンチャーマシンは、イメージ以上にラリーマシンに近い存在だ。
フラッグシップの「1290アドベンチャー」は、ラリーマシン「950ラリー」の公道版マシンといえる「950アドベンチャー」の発展型である。

現在KTMはそうした1290アドベンチャー(V型2気筒)のほか、2019年に登場した790アドベンチャー(並列2気筒)、2020年に登場した390アドベンチャーの3機種のアドベンチャーをラインアップしている。

そこで、当記事では排気量の異なる3車を同時にテスト。まずはKTMアドベンチャーシリーズ最新マシン「390アドベンチャー」の魅力を検証していく。


KTM 390アドベンチャーってどんなバイク?

KTM 390アドベンチャーは、ビック&ミドルアドベンチャーの開発で培ったノウハウを注ぎ込んで開発された普通二輪免許で乗れるアドベンチャーバイクで、2020年モデルとして発売されたばかりの新作モデルだ。

ネイキッドモデルの390デュークをベースとしつつ、前170mm/後177mmと長めのサスペンションストロークが与えられ、林道ツーリングも楽しめる万能性を持つ。KTMのアドベンチャーシリーズでは最小排気量モデルながら、同シリーズが一貫して持つ世界観の再現に妥協はない。

エンジンは373ccのDOHC4バルブ単気筒で、最高出力は44馬力となっている。

KTM 390アドベンチャー。

シリーズ最小、最軽量ながら、パワー不足は感じないKTM 390アドベンチャー

KTMではもともと、スポーツネイキッドとなるデューク、そして同じパッケージングを用いつつフェアリングを装備したRCを390ccクラスモデルとしてラインアップしている。

本記事で紹介する390アドベンチャーは、それらの派生モデルとしてお手軽に加えたのかと勝手に想像したのであるが、しっかりと個性を主張しているだけでなく、これが出色の出来となっている。

元々高回転域でのパワフルさとエキサイティングさが身上(しかも使い切れる)の390シリーズであるが、その魅力を受け継ぎつつ、しっかりと新たな個性も備えていた。

シート高は中々に高めで「フレンドリーさでユーザー獲得!」といった軟派さはない。軽くてスリムというデュアルパーパス的なキャラクターを備えつつ、373ccという排気量は高速巡航であっても余裕があり、100km/h+αでの走行も非常に快適であった。

もっと振動が多かったり、パワー不足を感じさせるかとも想像していたが、不安な挙動を示すこともなく、今回の試走に同行していた兄貴分のKTM790、1290スーパーアドベンチャーSの足かせになることもなく長時間の移動を可能とした。

ホイール径は前19、後ろ17インチ。ブロックパターンのタイヤはコンチネンタル TKC70。WP製インナーチューブ径43mmの倒立フォークは減衰調整も可能。
ハンドルはテーパータイプのものを使用。ナックルガードは標準装備となっている。
メーターは5インチTFTを採用し、左グリップ部のスイッチでABS等のモード設定が可能。
シートは前後分割式で積載性も良好。

小回りのきく車体でワインディングが楽しい390アドベンチャー

決して得意分野ではないと想像できた高速巡航の合格点を獲得して一般道へ降りると、さらにその真価を発揮し始めた。

まず、乗り心地が悪くない。長めのストロークを持つ足周りであるが、価格相応プラスaのしっとりとしたフィーリングだ。高回転型ではあるもののトルクの薄さを感じることなく、スイスイとレスポンスする。マシンが軽量なこともあり、常用回転域でも非力感はない。

クルリとUターンをする、小道に入る。そういったオフロードへのチャレンジにもつながる身軽さは、街なかでも大きな武器となるのだ。そしてワインディングが楽しいのも想像以上であった。

俊敏な身のこなしで、大げさなアクションを起こす必要なくマシンが切れ味鋭く旋回していく。そのうえで当たりの良い足周りがスパルタンさをうまく抑えてくれている。トラクションコントロールの装備もアグレッシブな気持ちにうまくフィットしたもの。また、試乗した車両にはオプションのクイックシフターが装備されていたが、よりスポーティに走らせることが可能となっていた。

大柄になりがちなアドベンチャーマシンは、排気量によってはやや非力に感じられることも少なくない。絶対的パワーは高いわけではないものの、そのボディとパワーのバランスが非常に高く、満足感の高いマシンに仕上がっていたのだ。

次ページ:390アドベンチャーと兄弟車の足着き、スペックを比較

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