幅広い層のライダーに人気を博しているニンジャ1000がマイナーチェンジされ、モデル名にSXが追加されたニンジャ1000SXが2020年4月に発売された。
ロングツーリングに対応できるウエルバランスなエンジンとシャシーが好評のニンジャ1000SXであるが、細部の熟成を進めた新型はどのような乗り味なのだろうか。
快適で楽しいモデルに成長
走り出してすぐに感じる、エンジンのシルキーさが好印象。そのスムーズさには、思わず顔がほころんでしまうほどである。並列4気筒のエンジンでこのようなうっとりするフィーリングを持っているマシンは今どき珍しい。
電子制御スロットルとなったことや細かいセットアップの変更により、この感触に磨きがかけられた。無理に絞り出したかのような切迫感がなく、トルクフルで扱いやすい特性となっており、高速巡航ではワイドなトルクバンドとスムーズなレスポンスを利用して、幅広い速度域で快適に移動することが可能だ。
高荷重な設定ではない車体周りは、しなやかさを存分に感じられる。スイスイと軽やかな左右へのバンキングは、リッターマシンとは思えないほど。そのうえで、絶えず接地感を保ってくれているような優しさと安心感があるのだ。
従来モデルに対してもより軽快さを感じるのは、マフラーの4本出しから1本出しへの変更や、新しいタイヤの恩恵もあると思われる。ハンドリングはストローク感のあるサスペンションによる自由度の高さと手応えがあり、操作している実感を得やすい。
それでいて、アップライトなポジションからコーナーに切り込んでいく感覚は、まるで昔のスーパーバイクマシンを操っているかのような印象で、快適なツーリングマシン的イメージとはまた異なる一面も備え持つのだ。
安全性や快適性につながる電子制御も最新のものが与えられ、このマシンに対するメーカーの気合いが感じられる。マシン作りに携わっている人たちの意気込みや、バイクが好きだという気持ちが乗り味に現れているように感じさせてくれる点を評価したい。
ニンジャ1000SXは経験値の少ないライダーからベテランまで、満足感の高いマシンに仕上がっているといえるだろう。
分かりやすい挙動が安心な、旅力の高いオールラウンダー
ニンジャZX-10Rを彷彿させるレーシングライクなスタイリングを持ちつつ、ライディングポジションは意外なほどアップライトでリラックスしたもの。ヒップポイントはやや高めで、足着き性もご覧のとおりであるが、変更されたシートのクッション性も確保され、走行時の快適性は高い。シート高は先代から5mm高くなっている。
Favorite
エンジンのフィーリングが最高に気持ちいい。パワーは十分でハンドリングも分かりやすく優しいので、オールラウンダーな性格だ。グリップヒーターやクルーズコントロールの装備もうれしい。加速の際のキュイーン!というジェット機を思い起こさせるサウンドもグッド!
Request
ウインドスクリーンの調整機構はうれしいが、もう少し高い位置までアジャストできるとなおよし。アップライトではあるが、ハンドル切れ角が少ないのが気になる。バックミラーはもう少し視認性が欲しいところ。マシンの性格的にメーターはもう少し大きくてもいいか!?
ニンジャ1000SX 主要諸元
【エンジン・性能】種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:77.0×56.0mm 圧縮比:11.8 総排気量:1,040cc 最高出力:104kW(141ps)/10,000rpm 最大トルク111Nm〈11.3kgf・m〉/8,000rpm 燃料タンク容量:19L 変速機:6段リターン
【寸法・重量】全長:2,100 全幅:830 全高:1,190-1225 ホイールベース:1,440 シート高:820(各mm) 車両重量:236kg タイヤサイズ:F 120/70ZR17 R 190/50ZR17
【カラー】灰×黒、緑×灰、白×灰
発売日●2020年4月4日 価格●148万5000円
(report:鈴木大五郎/photo:山内潤也/まとめ:モーサイWEB編集部)