維持費も安く、十分交通の流れに乗れ、昨今注目が高まっている「125ccクラス」こと原付二種のバイク。そんな中でも、新車が10万円台で買える「ホンダ車」があるんです。ちなみに110ccのスーパーカブ110の新車価格は約28万円。
なぜそんなに安いのかというと、中国のホンダの現地法人が現地生産・現地販売を行っているモデルでを輸入したものだからなんです。
「中国生産」というと色眼鏡で見がちですが、今やiPhoneも中国で生産されている時代……実際どうなのよ?ということで、新車価格16万9000円の「ホンダCBF125T」に乗って触ってチェックしてみました。
2020年10月21日追記:キーシリンダーの機能について誤って紹介していたため、訂正を行いました。
125ccでもちゃんとクルーザーの乗り味がある!
CBF125Tはホンダと、中国のバイクメーカーである新大洲・天津本田との合弁会社である新大洲本田で製造されるモデルで、エンジンは空冷OHC2バルブ単気筒。マニュアルミッションで、4段リターン変速を装備するクルーザータイプのモデル。
以前は中国現地で「CB125T」の名称で販売されていたが(昔、日本で販売されていた2気筒エンジンの「CB125T」とは全くの別物)、燃料供給方式をキャブレターからFIに変更して、ヨーロッパが現在施行している排ガス基準「ユーロ4」に適合させている。同時に、最高出力は8.2馬力から8.6馬力へと向上している。
また、燃料タンクはCB125Tから形状が少し変わって容量9.5Lから10.8Lへ。CB125T比で車重は1kg増しになっている。
ホイール径は前18インチ、後ろ16インチで、250ccのクルーザーモデル並みの立派なものだが、車両重量は118kgと125ccのマニュアルミッション車の中でも軽量な部類だ。シート高は710mmと低く、重心も低めなこともあいまって取り回しはとても軽い。
乗車姿勢は上半身がほぼ直立して、シートも座面が広く腰のある座り心地。サスペンションは実用車的ないかにもバネっぽい動きがあるが、座り心地のいいシートがそこを補ってくれてなかなか快適だ。
ステップはやや前寄りで、足を着く際にも邪魔にならず、ちゅうちょせず足を地面に下ろせる。ハンドル幅も793mmとクルーザーモデルとしては狭めで、小柄な人でも手が伸びきるようなことはないだろう。
シフトパターンは普通のマニュアルミッションのバイクと同様、下から1速・ニュートラル・2速・3速・4速となるリターン式。
シフトペダルはシーソー型なのだが、前側ペダルはブレーキペダルのような板状の形になっており、スポーツバイク的な「足の甲側でかき上げてシフトアップ」という操作は厳しい。そのため、シフトアップする際は後ろ側ペダルを踏む形になる。
エンジンのボア・ストロークは52.4mm×57.9mmのロングストローク型で、最高出力は125ccクラスでも控えめの8.6馬力だが、低中速域重視型のエンジンだという。シフトペダルの形に慣れていない段階でたまに2速発進してしまったものの、半クラッチを少々長めに使えばエンストもせず、発進できるほどだった。
走っていて一番快適な領域は4速40~50km/hだった。
それより上はエンジンのうなり音も相応に大きくなるが、こまめにシフトチェンジをせずともスロットル操作だけでしっかり加速してくれるトルクがあるうえに、バランサー装備のエンジンは振動も抑えられており、音の大きさ以外はそれほど苦しげでもない。各ギヤで引っ張っても結構頑張ってくれる。
ちなみに8000回転を少し超えたあたりでレッドゾーンになる回転計の針は、4速60km/hで5000回転付近を指し、この付近ではだいぶ「頑張ってる感」が増してくる。
個人的には、クルーザーモデルの場合は変に洗練されたエンジンよりも、多少なりともワイルドさが残っているタイプのほうがいいと考えているので、その点このCBF125Tはなかなかいい塩梅だと思う。
現地版のカタログには最高速度87㎞/hと書かれているが、流れの速いバイパスをえんえんと走るような使い方には少々不向きかもしれない。一方、加減速の多い市街地や裏道なんかをメインとする使い方であれば、これくらい割り切った特性のほうがのんびりとした走りを楽しめるだろう。
クルーザーモデルらしく直進安定性は良好で、それでいて軽めの車重と細めのタイヤがもたらすヒラヒラとした軽快感と機動性は「125ccクラスならでは」だ。
ホンダCBF125Tは装備面でもコスパ抜群
まだまだ実用用途としてバイクが使われる中国生まれのため、実用的な装備が充実している点も特徴だ。
ガソリンメーターやギヤポジションインジケーター、ウインカーガード付きのいかにも頑丈そうな大型リヤキャリヤ(ただしまたがる際スネを当てないよう注意)、センタースタンドを標準装備し、申し分のない内容。
リヤサスペンションもプリロードを5段階に調節可能だ。ディスクブレーキやチューブレスタイヤを採用しながらこの価格という点も見逃せず、コストパフォーマンスはとても高い。(車両価格だけで言えば、スーパーカブ110より10万円以上安く、125ccのスーパーカブC125の2分の1以下。質感の高さ、国内正規販売車である安心感といった面ではスーパーカブ110、スーパーカブC125に軍配が上がるが)普段使いでもバイクの楽しさを満喫したいという人にうってつけのモデルだ。
このホンダCBF125Tを販売しているのは全国に約50店舗のチェーンを展開しているバイク販売店「バイク館SOX」で、乗り出し価格は21万1000円~(加入する自賠責保険の期間による)となっています。
あくまで中国の企業が現地向けに生産したものを独自に輸入した「輸入車」となるので、日本のホンダのメーカー保証はありませんが、「バイク館SOX」による部品供給や2年間の距離無制限の保証などのサポートは受けられます。
全ての店舗ではありませんが、展示車を置いているお店もあるので、一度実車をチェックしてみてください!
CBF125T主要諸元
【エンジン・性能】
種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ 総排気量:124.8cc 最高出力:6.3kW<8.6ps>/7500rpm 最大トルク:9.26Nm<0.9kgm>/5500rpm
【寸法・重量】
全長:2012 全幅:793 全高:1048 ホイールベース:1306(各mm) 車両重量:118kg 燃料タンク容量:10.8L
試乗レポーター●高野栄一 写真●モーサイ編集部 編集●上野茂岐
バイク館SOX各店 https://bs-sox.com/